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 集まれ!ニート消防団   作者: 月草 イナエ
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第一話

 この小説は、作者の脳内で構成されていますので、実在する消防団ではありません。御近所の消防団に事実確認、苦情を言っても笑われます。絶対に止めて下さいね。作者との約束だぞ!


<i99484I8198>


http://8198.mitemin.net/i99484/



 澄んだ空と桜の蕾も綻ぶ三月十五日。


 私は高校に落ちた…………






 あの日、合格発表の掲示板の前で立ち尽くす私は、周囲で喜び合う受験生が、地球に初めて来た事を喜ぶ宇宙人に見えた。


 あの日から一週間。

 私は部屋に引き籠もって、一歩も家を出なかった………




 そして、八日目の朝も部屋のベッドで毛布にくるまり寝ていると、部屋のドアを母親がノックもせずに開けて、毛布を私から剥ぎ取る。


えんッ!いつまで、寝ているつもりなの! 落ちたんだから仕方ないでしょ! 七日も寝て体力回復したんだから家の八百屋、手伝いなさい!」


「……私は何処までも墜ちて逝くわ……精神の回復に、あと三日寝なくちゃ……」


「寝るなぁー!」


「……母さん、もう放って置いて! 私はこのまま家で八百屋の看板娘で死ぬまで生きるって決めたの! ネットのアンケートの職業欄に[家事手伝い]って打ち込んだの!」


「だったら仕事手伝えや! ボケェェー!!」


「キャァァー! 大根で叩かないでぇー!」






 朝から母親とのスキンシップを終えた私は、遅い朝食を食べると、Yシャツとジーンズに着替え、エプロンと三角巾を着けると、店先の掃除を始めた。


 三月下旬。世間一般では入学や新学期、入社に備えて期待に胸を膨らませた人間がちまたに溢れ、引っ越し業者とデパートの衣料店が暴利をむさぼるこの時期。

 その恩恵を全く受けない商店街の八百屋には、地物じものの旬の野菜は少なく、季節を感じさせないハウス栽培の野菜や、暖かい地域で栽培された野菜が並んでいる。

 そんな野菜を横目で見ながら、私、│水野淹みずのえんは店先の掃除を続ける。

 その後は客足が増えるまでレジの前に座ってボーッと通りを眺めていた。

 通りを行き交う人達を見ていると、笑顔の一つ一つが私の心に色濃い陰を落とす……


 そして、私の頭に南瓜かぼちゃも落ちた……



「痛あぁぁーーい!!」


「淹、そんな顔で商品の前に居るんじゃないよ! 鮮度が落ちる!」


「だったら大事な商品、娘の頭に落とさないでよ! 痛いでしょ!」


「……ごめんなさい。痛かった?」


「南瓜に謝らないで!」


「そんな顔じゃ野菜が可哀想だって言ってるの……アンタにはちょっと気分転換が必要みたいね? 丁度、町内で臨時の職員探してたから頼んでみる?」


「……中卒でもいいの?」


「大丈夫じゃない? 毎日じゃ無いから、八百屋の手伝いしながらやればいいのよ」


 そう言って母さんはどこかに電話を掛け始めた。

 私が頭をさすりながら、その様子を眺めていると、電話を終えて母親が私の処へ戻って来る。


「明日の十時に契約書持って来るってよ? 分かった?」


「……あの、ありがと。母さん」


「頑張んなよ! えん


 母さんは笑顔を見せ、私の頭を撫でてくれたが、南瓜が落ちた処だったから、ちょっと痛かった……



 翌日の十時頃、家に現れたのは天色あまいろの着物に腰の帯に時代劇で見た事がある煙草入れと、猫みたいな兎みたいなぬいぐるみを下げた三十代位の長身の男の人だった。

 その人はレジに居た私にツンツンの頭を下げると、渋めの声で話し始める。


「此方に、水野淹さんはいらっしゃいますか? 俺は、昨日お電話を頂いた黒澤太郎と言います」


 年上の人に頭を下げられた事の無い私は、緊張しながらも挨拶をする。

 私の名前を聞いた黒澤さんは少し驚いた様子だったので、理由を聞くと、町内会の会長から名前しか聞いていなかったので、男性の名前だと思い込んで、女の子だと思わなかったそうだ。


「……あの、女子では採用されないのでしょうか?」


 少し不安になった私が聞いてみると、女性の人も数人採用していると教えてくれた。

 ほっとしていた私に、黒澤さんは笑いながら腰のぬいぐるみを取り出し、私の前に持って来ると、さっきの渋めの声とは全く違う高音質な声で喋り出した。



「僕と契約して消防団員になってよ!」



 私は何を言われたか分からず、黒澤さんに聞き直すと、元の渋めの声に戻って首をかしげる。


「……あれ? ウケなかった? 契約で掛けてみたんだけど……」



「……消防…団員?」


「そう、消防団。みなみ町消防団第2分団ぶんだん第10です」


「消防団ですか! 聞いてませんよ! ちょっと待って下さい!」


 私は慌てて家に走り込むと、台所でお茶を飲んでいる母親に問い詰める。


「母さん!臨時の職員って消防団なの? 聞いて無いよ!」


「聞いて無いでしょ?」


「……たっ、確かに聞いて無いけど……でも、教えてくれても良いじゃない!」


「普通はどんな仕事か聞くでしょう? それに、アンタもやる気満々だったでしょう?」


「私が何時、消防団やりたいって言ったのよ!」


「昨日言ってたじゃない?……『私、ネットのアンケートの職業欄に[火手伝い]って打ち込んだの!』って、言ってなかった?」




 私は母親の話を聞いて、私が高校に落ちたのは、母親が原因じゃないかと本気で悩んでいた…………


 

 





 





 初めまして、月草イナエと申します。

この小説は、私のもう一つの作品、「銀拳」の執筆を休んでいた時に気分転換(執筆消失の現実逃避)で考えていたものを執筆しました。私の気分転換小説です。1話分しかストックがありません。マイナス気分が溜まったら、コネコネして作ってます。





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