第五章 バグとしての“誤作動的な起動”
1. 頭部への衝撃や事故による突然の才能開花
興味深い現象として、頭部に強い衝撃を受けた後、まったくの素人だった人物が突然、数学の難解な公式を操るようになったり、絵画や音楽の分野で天才的な才能を発揮するようになったケースが報告される。医学的には“後天性サヴァン症候群”と呼ばれる事例であり、症状の一つには「事故前と事故後でまるで別人のようになる」ことが挙げられる。
ストレージ学派はこれを**「バグ的な起動」**とみなす。すなわち、通常ではロックされているジャンクDNAの一部が、事故や外傷というアクシデントによって誤って“解凍”されてしまった状態だというのだ。その結果、当人には数学や芸術の高度な出力が可能になっても、なぜそうなるかのプロセス――いわば“アプリ”が動作する仕組み――が理解できないという矛盾が生じる。
2. 不可解な創造力と“説明不在”の理由
こうした誤作動的な解放がもたらす特徴として、**“天才的な結果だけが先に出てくるが、理論的説明は欠落している”**という点がある。たとえば、数学の天才になった患者が複雑な公式を記述できるものの、証明手順や背景理論については「わからない」と答える場合が少なくない。ストレージ学派はこれを、「内部ストレージの一角が強制的にマウントされたものの、通常のOS側(意識)がファイル構造を把握していない」状況にたとえている。
そのため、誤作動的に天才性が解放されても、多くの場合は社会への応用や発展につながりにくい。むしろ、本人が混乱し生活基盤を維持できないケースも多々ある。この“使いこなし不可能”な状態こそが、創造主が“全面解放”を禁止している理由の一端を裏付けるものだ、とストレージ学派は強調する。




