第二章 ジャンクDNAと仮想現実理論の接点
1. ジャンクDNAとは何か
ヒトゲノムの解読が進むにつれて、約30億塩基対の配列の大半が「タンパク質をコードしない領域」であることがわかってきた。当初、これらの領域は**ジャンクDNA(無用のDNA)**と呼ばれ、進化の過程で蓄積した“残骸”とみなされがちだった。しかし近年では、エピジェネティクスや遺伝子発現制御に関わる要素がそこに含まれている可能性が指摘され、「ただのゴミではない」との認識が広まりつつある。
ところが、ストレージ学派はさらに大胆な見解を示す。すなわち、このジャンクDNAは**「仮想現実」のプログラム本体や拡張モジュールのようなもの**であり、人類やその他の生物が体験する「現実」を形成・制御するために使われているデータが格納されているというのだ。だが、その99%以上は通常起動せず、いわゆる「セーフティモード」での運用にとどめられている――と彼らは考える。
2. 仮想現実説との融合
仮想現実説自体は、コンピューターが飛躍的に発展する以前から、プラトンの洞窟の比喩やヴェーダ哲学の「マーヤ(幻影)」などで語られてきた。要するに、私たちが五感を通じて認識している世界は“何らかの高次存在が構築した仮想空間ではないか”という問題提起である。ストレージ学派は、これを現代の分子生物学の知見と組み合わせ、**「ジャンクDNAこそが現実世界の裏側で作動する圧縮プログラムのストレージ領域である」**と位置づける。
彼らによれば、人間の脳は相当な処理能力を持つが、それでも“全機能”をフル稼働した形ではない。むしろ多数の機能が制限されている状態で動作し、“普通の生活”を営んでいる。これはゲームなどのソフトウェアで言うところの「セーフティモード」に近く、すべてのコンテンツや拡張機能を解放しない状態だというのだ。




