Article1
『束、海外に行ってくれ』
そう言われてかかる費用などは自己負担でヨーロッパに取材に来たタバネ。
空港でメイド服を着た少女に呼び止められてリムジンにつれてこられた彼は中に入ることにする。どうやら車に乗っている方こそが彼が求めている人らしい。
しかし中にいたのは年端もいかない少女のみ。本当にその少女はタバネが求めていた人物なのか?
訝しむタバネに少女は口を開く。
『リリアルク相談所へようこそ、貴方がワタシを求めた理由を教えてくれ』
「Herr.タバネ、こちらに」
飛行機がフランスのパリに到着したので搭乗口から降りる。そしてロビーでタバネが地図とにらめっこしながらどの国から攻めていくか頭を悩ませていると抑揚のない声が近くでした。
「Herr.タバネ、聞こえていますか?こちらです」
タバネ服の裾を引っ張られる。彼は最初自分に向けられている言葉なのか分からず、無視をしていたが服の袖を引っ張られたことにより自分に投げかけられたものだと理解した。
「えっと…お嬢ちゃん、私を呼んだかい?」
「Ja。貴方以外に誰がいるんですか?」
丁寧ではあるがどこか棘がある、そんな物言いだ。声の主の背丈は175cmあるタバネの胸辺りの高さで瞳は翡翠色、髪の色は紺色でショートカット、服装はロング丈のメイド服で身を包んでいる。クラシカルメイドというのだろうか、よくテレビとかで特集されているメイドコンセプトのカフェで女の子が着ているようなミニ丈のそれではなかった。Theメイドさんといった飾り気のないそれを着用していた、
もっと細かく言うなら紺色のワンピース、その上にエプロンを着用しており、肩紐と裾に大きなフリルがついたそれを着用している。背丈的に年齢は14〜15歳辺りだろうか、少女特有のあどけなさが残っているように見える。
「本当に私かい?誰かと間違っていないか?」
「Nein。今の貴方の容姿、間違いなく主人から仰せつかった姿です」
「私は誰とも会う約束なんかしていないのだが…」
「Uh-huh。ただご主人からいただいた特徴と一致しておりますのでこのまま連れていきます」
少し考え込むような素振りを見せた後、タバネを引っ張るように服の袖を引っ張って歩こうとする。タバネはどこに連れて行かれるか分かったものじゃないので全力でそれに抗おうとする。
「待て待て待て。キミの主人は一体何者なんだ。それがわからないことには素直についていけない」
「Entschuldigung。確かに、それもそうですね。ただすぐに明かすことは出来ません」
「じゃあ行けない。迎えに来てもらって申し訳ないが、このまま帰ってもらって良いか?」
タバネは少女に帰るように促す。それは正しい判断だろう。見知らぬ土地で見知らぬ人間に呼び出され、タバネを呼び出そうとしている人間は素性を明かせないといい、相手側だけ一方的に彼を知っている状態だ。そんな人物の考えられる可能性はどこかのマフィアとか、自分に恨みを持つ人物しか想像がつかない。職業柄敵を作りやすいとは思うが心当たりは…多分ない。そうならないように安全な道を進んできたと思う。まあそれが面白い記事を書けない要因になっていたかもしれないが…。
「Nein。それは出来ません。案内できなければ主人に怒られてしまいます」
「それは分かるが、身分を明かせない主人に会う義理も私にはない。悪いが帰ってくれ」
「Gute Frage。そういえば貴方、誰かに会うためにヨーロッパに来たのでは?」
タバネは彼女の手を振り払って反対の方向へ進もうとしたが、彼女が放った言葉で歩みを止める。彼女の放った言葉に引っかかりを感じたのだ。
まずは『誰かに会うため』だ。普通、日本人が海外に出るときは大体観光目的だと思う。それを彼女は誰かに会うためと言った。まるで会う対象を知っていて目的がそれしかないと決めつけるように言ってきた。
そして次は『ヨーロッパに来た』である。『誰かに会うため』は当てずっぽうで、それがたまたま一致した可能性もある。ただ『ヨーロッパに来た』は通常では思いつかないセリフだと考えられる。タバネが居るここはフランスのパリ空港である。普通であれば『フランスに来た』もしくは『パリに来た』と言うのではないだろうか?それをヨーロッパという広範囲を示す言葉で彼女は形容した。そう、タバネの目的がヨーロッパ全域であると知っているかのように。
「どうして…それを?」
「Verstehe。どうやら当たりだったみたいですね。主人から聞いていた通りです。ご安心下さい、我が主人は貴方が想像しているような人物ではありません。そして今の貴方に本当に必要な存在かと思います」
本当に必要…そう告げた少女のその一言でタバネは所長の言葉を思い出す。
『本当に必要と思っている奴の前に門が開かれる』そう所長はタバネに言っていた。もしかするとこれがそれなのかもしれない。どうせ先のない人生だ、少し危ない道に進んでみるのも良いかもしれない。今まで安全な道しか渡って来なかったため、進むのが怖くもあるがタバネは決意した。
「本当に私が必要としている人物に会えるのか?」
「Ja。我が主人こそ貴方の必要としている存在です」
「分かった。連れて行ってくれ」
そうタバネが告げると待っていました、と言わんばかりに少女は歩き出す。タバネはその少女に置いていかれないように後を追う。やがて1台のリムジンの前についた。何故か窓は全てカーテンで覆われている。
「Herr.タバネ、どうぞお乗りください。目的地まで運転手が連れていきます」
少女は恭しく頭を下げ、リムジンの扉を開けて手のひらを上に向け、リムジンの中を指し示す。タバネに中に入るように促しているのだろう。先程危ない道に行くと決意したのは良いが今まで冒険することがなく、ずっと安牌な人生を生きていたのでいざ踏み出すとなるとやはり躊躇ってしまう。
このまま車内に入ってしまうと眠らされて、知らない間に臓器とか抜かれて売買されないだろうか?そもそも起きることが出きるのだろうか?どうしてもそのように悪い方向へと考えてしまった。
「タバネ、警戒しなくて良い。どうぞ入ってくれ」
車に乗るのをためらっていると中から入るのを促す中性的な声がした。声から想像するに車まで案内してくれた少女と変わらないだろうが、口調は年相応の口調ではない。それも小さな子が頑張って大人ぶろうと言ったそんな感じはなく、ふだんから喋っており、話し慣れている、そんな感じを受ける。
「安心してくれ、自称するのも恥ずかしいがワタシは貴方が必要としている存在だ」
1度の呼びかけでは不十分と声の主は感じたのか、もう1度呼びかけて来た。タバネは2度も呼びかけてくれたかつ自身が必要としている存在と自称してくれたものの存在が気になった。ここまで案内してくれた少女をちらりと見るとこくんと頷き手のひらを上に向けて車内に入るように誘導する。タバネは彼女を一瞥し、警戒しつつも車に乗り込んだ。
中に入るとそこは明るく、座り心地の良さそうなソファーが配置されていた。ソファーは入口から入ってきた客人を迎えるように配置されており、その真ん中にはテーブルが鎮座している。また、車内には簡単な家電、棚があるのが見え、床は高そうな絨毯が敷かれている。そして入口から見て進行方向側のソファーに少女が座っていた。
「急にすまないね。ワタシを探している人間が居るといった情報を入手したものだからどんな人間が探しているものか、と気になって会いに来てしまったよ」
声の主は右手にソーサー、左手に豪華な模様が施されたカップを持っており、車に乗り込んできたタバネへ首をゆっくり動かして濃緋の瞳で見据えてきた。
少女は綺麗な金色の髪色で腰辺りまでそれを伸ばしている。彼女の服装はフランス人形が着用しているようなドレスを纏っていおり、全体的に黒色で、金色の刺繍が入っていた。背丈は座っているので明確にはわからない、だが恐らく案内してくれた子と同じくらいだろう。真っ白な肌がドレスと対比されて際立つように明るい。
彼女は手のひらを上に向け、反対側のソファーに座るようにタバネを促す。こんな高そうなリムジン、ましては洗うのが大変そうな絨毯の上ににズカズカと土足で入り込んで良いものかと考えたが、少女は編み上げのブーツを履いていたため、問題ないと認識して少々躊躇いながらもソファーに座る。タバネが座ると案内してきた少女が扉を閉じ、扉の前から気配が消える。
「すまない、カーテンを閉めているのは外から覗かれるのが嫌、そして何より日差しが苦手でね。心配ならば開けようか?」
訝しげに窓を塞いでいるカーテンを見るタバネに彼女は言ってきた。なるほど、と彼は頷く。彼女の白い肌は日光、もっと言えば紫外線に弱いのではないだろうか。過去に日光の照射で真っ赤に焼けた肌を見たことがある。かなり痛々しく、見ていられなかったこと覚えている。そんなふうになってしまうからこのように日光を遮っているのではないだろうか?
「いや、大丈夫だ、カーテンはそのままでいい。ところで本当にキミが私の求める存在なのか?」
「まあ、タバネ、貴方が疑うのも無理はない。こんな小娘が探していた存在だ、と言われても信用出来ないだろう。ワタシがもし同じ立場だったら信用できないしな。…ただすまない、証明はできないがワタシはキミが求める存在で違いない」
「…キミのその言葉本当に信用して良いのか?」
「もちろんだ。ところで先程から貴方はキミキミって。ワタシには名前が…まさかアーチ、ワタシの名前伝えてないとかないか?」
案内してくれた子が助手席に座ったタイミングで、自身をワタシと呼称する彼女は声をかけた。どうやらここまで案内してくれた少女はアーチというらしい。
「Ja。申し訳ありません。ご主人様のお名前をお伝えするのを失念しておりました」
「はあ、その調子だとワタシが何者かも伝えていないな。すまない、タバネ。それは慎重になるのも無理はない」
ワタシと呼称する少女はやれやれと言った感じでため息を着く。そしてカチャンッと軽快な音を立て手に持っているソーサーとカップをテーブルの上に置く。カップの中にはまだ注がれたばかりであろう紅茶が湯気を立ててそこにあった。カップを置いた後、彼女はぱっぱとドレスを払って佇まいを正す。
「申し訳ない、ワタシの従者が失礼した。紹介もせずここに連れてくるなんて警戒して当然だな。改めて自己紹介をさせていただくよ」
コホンッと咳払いをし、タバネを見据えた。それにつられてかタバネはソファーに深く腰掛け直し、佇まいを立て直し、彼女を見つめる。
「ワタシはリリ・ヴァ・ペグラム、リリと呼んでくれて構わない。そしてこの車の運転手のハン・ラア・デュウ。ハンと呼んでやってくれ。そして貴方をここまで誘導してくれたのはアーチ・デム・パリーター、アーチでいい」
ぺこりと座りながらも頭を下げる少女改めリリ。その佇まいは長い年月を重ねて成長してきたような雰囲気を感じ取ることができ、少女のそれとは全く異なるものだった。まるでタバネより経験を積んでいるような、そんな雰囲気がした。
「そしてワタシは貴方の探し求めている相手、人ならざるものが起こす未解決事件を専門に相談を引き受ける相談所の1つリリアルク相談所の所長リリ・ヴァ・ペグラムでもある」
「キミが!?キミがそうなのか!?」
思いもよらぬ言葉にタバネは驚愕する。
眼の前のソファーに座っている少女が自分が探し求めていた相手だと自称しているからだ。確か所長は本当に必要としている前に現れるとは言っていた。仮に人ならざるものがいたとしよう、それに対峙する者は勝手にもっとガタイが良く、厳かな雰囲気がある人物だと思っていた。だがそれがこんな年端もいかないような可憐な少女だったのだ。到底信用できない。
「冗談だろ!?キミみたいな可愛く可憐でか弱い少女が解決できるわけないじゃないか」
「可愛く可憐でか弱い、か。それは素直に喜んでも良いセリフかな?」
「からかうのはよしてくれ。そもそも何故私が未解決事件の相談所を探しているって分かったんだ?」
クスクスと可愛らしく笑いながら回答を返すリリに対して質問を投げかける。
「ワタシが貴方の望みを知っていた理由は話せない。話せないと言うよりかは上手く言語化出来ないといったほうが近いかな。まあ、こんなこと言うと更に警戒してしまうかな。まあ、とにかくだ…」
タバネはリリのそのセリフを聞いたとき、僅かだが車の扉側へと身体が動いた。彼のさらなる警戒心を煽ってしまったらしい。しかし彼女はそんな彼を無視して彼女は言葉を続ける。
「リリアルク相談所へようこそ、貴方がワタシを求めた理由を教えてくれ」
車のエンジンが掛かり、タバネを乗せたそれが動き出した。
「リリアルク相談所?」
「ふむ、まあさっきから言っている通り、人ならざるものが起こした事件を専門に取り扱う相談所…まあ、探偵事務所のようなものだと思ってくれて良い」
「なるほど。そこの所長がキミなわけだ。話題に度々上がる人ならざるもの、とは?」
「そうだね、日本で言うなれば妖怪と言ったほうがしっくり来るんじゃないかな」
妖怪…到底信用はできないがその言葉を呑み込むタバネ。それが本当の話であればとてつもない話題になることに違いない。もし本当なれば所長は喜んで飛びつくような内容だろう。しかし…とタバネは思う。
「恥ずかしい話、今回のこの取材で私の人生が決まるんだ」
「確か職場の上司に今回の無理難題をふっかけられたんだね」
「その話を知っているのか。それなら話が早い。そう、そんな人ならざるものが起こしている未解決事件を解決する相談所について調べてこいと言われたんだ」
「そしてその情報があるだろうヨーロッパにいけと言われたんだね」
リリの相槌に頷くタバネ。彼は初対面であるはずの彼女が自身の置かれた状況について把握していることに驚きを隠せないようだ。彼は少しは信用しても良いのかと思い始め、少しずつ情報を開示していく。
「そうだ。そんな人ならざるものって実際そんな相談所があると思うか?いや、ないね。あいつは到底発見出来ないような無理難題を私にふっかけてきたんだ」
「なるほど。確かに貴方の言うとおりだ。しかも貴重な有給を消化させられて…心中を察するよ」
「有給消化なんて私言ったか…?それに人ならざるものに関する相談所なんて本当にあるのか?」
「なあに、推測したまでだよ。人ならざるものもこの世に存在していて、そのものが起こす事件などを取り扱うのがここだ。記者というものは本当に面倒くさいな。見たものしか信じないんだから。ただ確たる証拠と言うものについて証明することは今は難しいが…」
タバネは未だにはてなマークが頭から離れない。人ならざるものの事件を取り扱う相談所は実際に存在し、あまつさえそれがこの相談所だと繰り返し言われている。彼の頭の中はリリの言葉を飲み込むことが出来ず、軽い混乱状態になっていた。彼女はそんな彼に対し繰り返し同じようなことしか言わない。
人ならざるもの、なんてこの世にいるわけないじゃないか…
「Meister。急ブレーキに気を付けてください」
突如としてアーチが助手席から大きな声を上げた。それとほぼ同時にキキーッと大きな音を立てて車が止まる。止まる際、かなりのGがかかったように思えたが、車内はさほど揺れてない。その証拠にテーブルの上に置かれたカップに注がれた液体が一滴も溢れていなかった。さすがは高級車だ、と思うタバネ。
「これはついているね。貴方に証明できそうだ」
「証明できるって一体何を!?」
「貴方が疑問に思っていたことが、証明できそうだ」
「リ、リリ、一体キミは…何を言っているんだ?」
タバネは明らかに動揺している素振りでリリに問いかける。そんな彼を彼女は不敵な笑みを浮かべながら一瞥し、車の扉に手をかけた。
「やっとワタシの名前を呼んでくれたね、タバネ。記者という者は本当に難儀な職業だよね。実際に見たものしか信用できない。だからタバネ、今から見る物をしっかりと脳裏に刻み込んでくれたまえ」
「リリ、だから一体何を言って…」
「ワタシはこんな仕事をしているからそちらの界隈に敵が多くてね。よっと」
リリは車の扉を開け放ち、ぴょんと飛び降りるような感じで車外へ躍り出る。そんな彼女の隣にアーチと男性…おそらく運転手のハンだろう、その2人が車から降りて立ち並んだ。ハンはプロレスラーのような筋骨隆々の体格をしており、その肉体を締め付けるようにスーツを着用していた。
アーチ、ハンが横に並ぶとリリはタバネのいる車内に振り返って告げる。
「見てご覧。これがタバネ、貴方が信用しなかった世界、そしてこれから突っ込んで行く世界さ」
リリのその言葉に背中を押され、空いている扉から外を見る。そこはもう地獄のような光景だった。
車は壁際に停車していた。辺りは陽が傾いているせいか真っ赤に染まり、まるで周りが地獄の炎が燃え盛っているように見える。その陽はリリ達3人の影、周りの木々に影を落としてゆらゆらと揺らめいている。そしてリリ達の更に奥には無数の影が蠢いていた。
蠢く無数の影は屍だった。
屍は所々皮膚が剥がれ落ち、脳が露出し、目玉が抜け落ち、内蔵が垂れ下がり、ボロボロの服装、苦しそうにうめき声を上げ、中には地面を這って進むものもいた。そうまるでゲームに出てくるゾンビのようなモノがそこにいた。
その蠢くそれは彼女達の下へと向かっていた。距離としては15メートルくらいの位置に居る。幸いなことに周りには自分たち以外の人間はいなさそうだ。
ユメかウツツかマボロシか、タバネの眼の前で起きていることを理解できない。
「な、なんだこれっ!」
「タバネ、その車から降りるんじゃないぞ。奴らに噛まれたらゲームみたいに仲間にはならないが、完治不能の傷を負わされることになるかもしれないからな。まあ、最も貴方なら大丈夫だと思うが」
「バカなことを言うな!逃げろ!キミ達に迫るそれが私の知っているそれならば太刀打ち出来ない!」
そう言うもリリ達は視線を迫りくるゾンビへと向けている。リリのその目には恐れはない。
タバネがもしリリ同じ状況ならばすぐさま身体を翻し、その場から逃げ出し、どこか建物に避難して助けが来るまで引きこもって居るだろう。そしてやがて…死ぬ。某ゲームの岩を素手でぶっ壊すような人間をやめた人間にはなれない。彼女たちは一体何者なんだ。
「さて、アーチ、ハン、不細工で不節操で不作法な礼儀知らずの客人にはご退場いただこう。こちらは不遠慮でいこうじゃないか」
「「Ja、Meister」」
リリのそのセリフに答えるようにハン、アーチが言葉を返す。
言葉を言い終わるや否や、ハンはゾンビ達へ突っ込んでいった。その集団にぶつかる際に自身の両手の拳をガツンとぶつけ合わせる。するとそのハンの腕は二周り程大きくなり、どす黒く変色して硬化を始めた。それは傾く夕陽に照らされて鈍く煌めき、まるで彼の腕がそのまま鉄の塊に変貌したかのようだ。
ハンはその鉄のような拳でゾンビを次々と墜とす。そしてちょっとずつ前進していき、タバネの乗っている車体から更に離れていく。そんな中隙をついて彼の死角からゾンビが現れ、食らいつこうとした。
「Gefahr。ハン、後ろ」
アーチはそう声をかけ、ハンに食らいつこうとしていたゾンビの頭に飛び蹴りをドスっとヒットさせる。そのゾンビの懐へ両手の前腕部をクッションのように曲げて、手の平から地面に着地してその体勢を維持する。彼女はそのゾンビへそのまま自身の腕を伸ばし、バネのように利用してシュバッとバリスタから発射される弾丸のように追い打ちをかけるように下から蹴り上げた。
その際、アーチの体勢は逆立ち状態になっているのでスカートが重力に引っ張られてまくり下げられる。完全にまくり下げられる前に彼女はスカートを押さえたため、良くは見えなかったが両太ももあたりに銀色に輝く物が見えた。一瞬しか見えなかったそれは後ほどしっかりと認識できるようになる。
彼女はゾンビを蹴り上げたそのままの流れで空中で体勢を立て直し、自身の太もも辺りに手を突っ込んで2丁のリヴォルバーを取り出した。そして蹴り上げられてよろめくゾンビへドンと低い音を立てて1発の弾丸をゾンビへ発射した。それが命中したゾンビの頭は砕け散る。頭を無くしたそいつの身体はよろめき、やがて地面に伏した。
その死体を踏み潰すようにアーチはグチャと着地した。彼女は健康的な足にそのゾンビの返り血を浴びて真っ赤になっていたが表情を崩さず、虫けらを見るような目で他のゾンビを睨みつけ、弾丸を放つ。リヴォルバーの反動はかなりの物のはずだが、表情を崩さず反動も受けているような素振りを見せない。
一発放つごとに撃鉄を引いた素振りがないところを見るとダブルアクションリヴォルバーなのだろう。シングルアクションリヴォルバーよりか命中精度が悪いはずだが、どの体勢でも全て命中させている。彼女のその姿はさながら凄腕のヒットマンのような凄まじい動きだ。
弾丸を着実に命中させて圧倒しているかのように思えたが、それは残弾数があるからであってそれがなくなってしまった時は隙が出来てしまう。残弾数がなくなり、リロードの時間に入ってしまった。
ハンマーを大きく起こし、シリンダーを手首のスナップで引き出す。両手にリヴォルバーを持っているのでどのように弾丸を補充するのかと思っていたらかなりファンタジーな装填方法だった。
彼女のリロードは弾丸装填箇所に空気が収束して数秒立つとそこに弾丸が装填されている、といったものである。もとが空気ならば排莢操作も必要がない。かなりファンタジーな光景ではあるが屍が歩いている段階でそれはもういいっこなしである。
しかし、アーチの弾丸装填時はやはり時間はかかるものであり、彼女はある程度掃討していたがそれでもゾンビは全滅出来てはいない。リロード中の彼女をゾンビはその牙で仕留めようと襲いかかろうとしたその時だ。
「アーチ、気をつけなさい!」
ハンが勢いを付けて、そのゾンビの頭を自身の拳でぶん殴った。そんな彼の勢いと筋力もあってかゾンビの頭がぐしゃっと砕け散る。拳で頭を砕く彼の力もすごかったが何よりもすごかったのが襲われそうになっていたアーチに恐れや焦りが無いく、まるで彼が助けに来るのが知っていたかのようだ。それだけの信用と信頼が彼彼女にそれぞれにある。一体いくつの視線を2人で乗り越えてきたのだろうか?
「上にも注意しろ」
ゾンビの中にも四肢がしっかりしているものがいたようでジャンプで襲いかかろうとしたやつがいたようだ。ハン達は周りに気を取られ、上から襲いかかるゾンビには意識は向いていなかった。それにリリは一足飛びで距離を詰めて立ちはだかる。
距離を詰める際、彼女は自身の左親指の皮を血が流れるほど噛みちぎり、流血させる。その流血は一秒もしないうちに凝固し、短剣の形を象った。その短剣の柄を逆手で持ちハン達に襲いかかるゾンビの首を切り落とし、そのままゾンビの胴体を地面に叩きつけるように蹴り落とした。その後スタっと着地する。
その後、アーチはシリンダーを元の位置に戻しリロードを完了させ、ハンはファイティングポーズを取り、リリはゾンビの頭を蹴り飛ばしてそれぞれ前に構える。3人は背中あわせてお互いの死角を作らないように立っていた。
「Danke。助かりました、主人」
「ありがとうございます、リリ様。とりあえず本来の客人をもてなすためにさっと片付けましょうぞ」
「そうだな。アーチ、ハン、一掃するために詠むから時間稼ぎを頼む」
「「Ja。お任せください!」」
アーチ、ハンはリリを間に挟み、背中合わせで立つ。リリはそれと同時に目を瞑り、何か唱え出した。
「我のもとへ集まれ火よ…」
ぼっと一筋の火がリリの背後に現れ、150cm位の直径の魔法陣が彼女たちの下、地面に現れる。その間、アーチとハンは無防備な主を守るため力を尽くす。
「大いなる嵐よ吹き荒べ…」
ごうっと火が形を変え大きな渦を描き渦巻き出す。そんな中、アーチとハンは頑張ってゾンビを追いはらっていたが、限界が来てしまい防戦が崩れそうになってしまう。
「全部燃やし尽くせ獄炎の大嵐!!」
防戦が決壊しそうになった瞬間、リリ、アーチ、ハン三人を包むように火の竜巻が現れ、ごうっと周りのゾンビ達を焼き殺していった。距離はかなりあると思ったが車の中まで熱気が潜り込んできて、それと同時に肉が焦げる心地が良くない匂いがタバネの鼻の中に充満した。吐き気を催しそうになったが今居るのが人の車であること思い出して我慢する。
「これで片付いたかな。さてアーチ、ハン館へ戻ろうか。浄化の水流」
リリがそう言うやいなや水流が現れリリ、アーチ、ハンそれぞれを撫ぜるように動き、離れた場所で散った。返り血がその水流で拭われ、戦闘前の汚れが何もない状態になった。どうやら先程の呪文は汚れを拭い去る術のようだ。アーチ、ハンはそれぞれお礼を言い、リリと一緒にタバネの居る車の方へゆっくりと歩き始めた。
「さて、どこまで話したか…そうそう人ならざるものに関する相談所がここだということを証明する、ってところだったかな」
リリが車に乗り込んで扉を閉めてソファーに着座する。そして改めてタバネへ視線を向けて言葉を紡いだ。彼女が入ってきた時、血の匂いや焦げた匂いなどがするかと思ったがそれはなかった。恐らくさっきの水流が全て拭い去ったのだろう。
「ちょっと待ってくれ!?今のは一体何だ!?どうしてキミは平然としていられるんだ!」
「ふうむ…どうして、と言われてもこれが日常だからな…。あ、ハン、車を出してくれ」
食らいつくようにタバネが言うのに対して極めて冷静で、さも当たり前の事かのように答えるリリ。そしてテーブルの上のカップを近くの流しと思しきシンクに入れ、棚から茶葉とカップとガラス製のティーポットを取り出した。それと同時に車がゆっくりと動き出す。
「ワタシは今からカモミールティーを飲むがタバネも飲むかい?」
「え、ああ…うん。じゃなくて、さっきの状況を説明してくれ!」
「まあ、そう急くなタバネ。現実を受け入れることができないキミのためにゆっくりと説明してやるから」
タバネは自身と違って極めて冷静なリリとの感情の温度差にギャップを覚えども、彼女がお茶を入れてくれるのを待つ。彼女は備え付けられている電化製品の冷蔵庫から水を取り出し、同じく備え付けのポットへトポトポトポと注いでスイッチを入れた。そのポットはスイッチを入れるだけですぐにお湯を沸かすことができる物だった。シューとお湯が湧き始める音が車内に響く。
「本当はこの間にカップとティーポットをお湯で温めると良いんだが、今回は省略させていただくよ」
ポコポコポコとお湯が沸騰される音が響く。お湯が沸き上がるまでまもなくのようだ。リリは茶葉をポットへ適量加え、その後自身の前とタバネの前にソーサーを置き、上にカップを置いた。この間、車内は無言で気まずい空気が流れている。
「そろそろお湯が沸き上がるかな」
リリがそう言うや否や水が入ったポットがカチャッと音がしてそれが湧き上がったことを報せる音がした。彼女はそそくさとポットを取り、茶葉が入ったティーポットへそのお湯を注いだ。コポコポコポと小気味よい音が響く。
「1分ほど待ってくれたまえ。お茶はこのように注いで蒸らした方がいい薫りがするんだ」
1つ1つ動作が終わるたび、リリは次の動作を話してくる。タバネはその動作より冒頭に投げかけた質問の方が気になるため、急かすようにああとだけ言葉を乱暴に返す。そんな彼など気にもとめないように彼女は手が空いたタイミングで極めて冷静に観察するかのようにタバネを見つめる。
「そろそろいいかな。さあ、飲んでくれたまえ。変な薬が入っていないことは作る工程で確認したろ?」
リリは1分ほど経った後、ティーポットの中にあるお茶をタバネ、自分へと注ぐ。そして脇に置き、ソーサーとカップを持って注いだお茶を1口飲んだ。タバネは注がれたお茶を飲もうか飲むまいか悩んでいると彼女に飲むように急かされる。彼は観念してリリと同じくカップからお茶を1口飲む。そのお茶を飲むと不思議と落ち着き、身体全体に暖かみが広がる感じがした。
「さて、キミの疑問に応えていくとするか。えっとまずは…今のは一体何だ、だったかな」
リリはタバネがお茶を1口飲むのを見届けて言葉を話した。彼は待っていました、と言わんばかりにカチャンッと大きな音を立ててカップを置き、身を乗り出す。
「そう急くな。さっきのはゾンビだよ。知らないのか?」
「それぐらい知っているよ!あれは空想上の怪物だろ?なんでこんなところに現れているんだ!?」
「空想上?本当にそう思っているのかい?そいつは滑稽だ」
リリはカップを置き、からかうように笑いながら言ってくる。そんな彼女の様子にタバネは言葉が詰まる。
「あれが空想上というのならば今キミが居るここも空想の中ということになるが?まあ、キミにとってはある意味そうか」
「な、何が言いたい!!」
「すくなくともこれは紛れもない現実だよ、今はね。それにキミは記者のくせに自身の目で見たものが信用できないのか?」
クスクスと笑いながらリリは言う。タバネはやがて出した発言を笑われ、怒りで顔を真っ赤にして伏せる。
「不快に思ったならすまない。キミがあまりにも滑稽だったからつい笑みが溢れてしまったよ。すまないね」
「あれは…一体…どういうことなんだ」
タバネは感情的になってしまった自分を恥じながら言葉に詰まりつつも発する。リリは笑い顔を収め真面目な表情で彼の言葉に答える。
「改めていうがあれはゾンビだよ。死体が自立して生きた生物を捕食しようと動く、人ならざるもの…怪物さ。よく創作の世界で見るだろう?ゲームとかでさ。そっちと違うのが生物兵器でないこと、噛まれてもそれにならないことかな」
「…っどうして、そんな創作の世界でしか出てこない怪物がこんなところに居るんだ!」
「ん〜、どうして、と言われても存在しているから、としか言いようがないな」
「存在しているからって言わ…」
「キミは映像作品やゲームとかでゾンビの描写がやけに丁寧で解像度が高いと思ったことはないかい?」
タバネの言葉を遮るようにリリは言い放つ。
「あれはだって、空想で…」
リリの言っていることにも一理あるとは思う。確かにゲーム、映像作品に出てくるゾンビというのはいやに解像度が高い。地面から現れ、足を擦りながら生者を追い求める怪物。常識的に考えてそんな怪物は居ることなどあり得なく、想像もできない。
「あれは妄想なんかじゃない。ワタシもたまにそういった作品を見さしてもらうが全て的を得ている描写となっている。多少脚色は入っているがまんまの姿と言っても差し支えないだろう。何故だと思う?」
「何故ってそれは…」
リリがタバネに何を言わせたいか想像はついていた。しかしそれを口に出してしまうと今までの日常が音を立てて崩れてしまうことになるだろう。
「全て現実で起きていることだからだ」
ピシャリと彼女から言い放たれる。タバネは言葉に詰まり反論できない。
「映像作品、ゲームなどで描かれる物は万が一そういった物と対峙することになった場合、対応できるように作られているんだ。まあ、教本のようなものだね。例えば…ゾンビなら頭を潰す、とかね」
「そんなこと…」
「信じられない、か。ただ起きたこと事実だ。受け入れてもらうしかない」
タバネは勢いを削がれ、俯くことしかできない。先程見た光景は全て現実で今まで非現実と思っていたことが現実、直ぐ側にあった世界なのだ。非現実的なことは信用したくはないが記者である以上、目で見てしまったことは信じるしかない。そんな葛藤が今の彼にはあった。
「1つ目のキミの質問は回答になっただろうか?次はどうしてキミは平然としていられるんだ、だったか」
リリはそこで一息つき、のどが渇いたのかカップを取って1口お茶を飲み、もとに戻す。そして改めてタバネを見つめ直して言葉を続ける。
「平然としている理由についてはそれがワタシ達の日常だからだ。キミも朝起きて、ご飯食べて仕事行くだろう?それをなんの疑問も持たずに過ごしているだろう?それと一緒さ」
「でもキミのそれは私のそれとは全然…」
「一緒さ。ただワタシ達の場合は少し血なまぐさいだけ。仕事柄どうしてもこういった輩が湧いては襲いかかってくる。だから仕方無しにワタシ達は撃退する、ただそれだけ。それがワタシの日常なんだよ」
さも当然かのようにさっきのような非日常を日常と言ってのけるリリにタバネは驚いた。彼からすれば彼女が過ごしている日常こそが非日常だからだ。もしかすると逆に彼女の非日常が彼が過ごしている日常かもしれない。
「キミのような若い少女が…」
「今回のキミにとっての非日常を味わう必要はない、か?仕方ないじゃないか。ワタシ達のように秩序を守る存在がいなければあっという間にキミたちは滅んでるよ?警察のような治安部隊がいてキミ達や秩序を守っているように、ワタシ達をさっきのような存在から守る者がいる。そう、さしずめワタシ達は対怪物用の治安部隊と言ったところかな。その治安部隊、公にはされていないが警察の中にもワタシ達のような治安部隊は居る。その治安部隊でも手に負えない案件などがその道のエキスパートのワタシ達に回ってくる、といった訳だ」
タバネの言葉に被せるようにリリが話す。彼は彼女が言ったことが理にはかなっているので返す言葉もなく口を閉じる。
「それに、キミが思っているほどワタシは少女ではないよ。キミ達から見るとそう見えるかもしれないがね」
そう言ってリリは話は終わりと言わんばかりにくいっとお茶を飲み干す。タバネは手持ち無沙汰でお茶の入ったカップを両手で持つ。カップは温くなっており、中の液体が人肌ほどにまで冷めていることを感覚で伝えてくれた。
「さて、タバネ、キミがここに来た理由、人生が懸かっているといったね。ワタシ達を取材し、その記事が面白ければクビを逃れ、そうでなければクビ、だったか?」
「ああ。リリ、キミの言う通りだ。私の事、詳しく調べたのか?」
「まあ、そのようなものだ。ただ、そんなキミを不憫に思いここに馳せ参じた、というわけではないがね」
「それは一体どういうことだ?」
「それは今は気にしなくてもいい。いずれ分かる、話すことだろうから」
リリはタバネの質問には今は答える気が無いようだ。今は、ということはいつか答えるがその時期ではないということにも取れる。今後彼は彼女と会う機会があるのだろうか?そんな予定は少なくとも今はない。
「さて、タバネ。ワタシにどういうことを聞いて記事にするのだね」
タバネは『今は気にしなくて良い、いずれ分かる』という意味について聞きたかったが、今そのことを話す機会ではないのだろう、それに聞いても応えてくれそうになさそうだ。そういった雰囲気感じとり、記事にする内容について考える。
「Meister。もうまもなく我が家に到着致します」
タバネが記事にする内容について話そうと口を開くと助手席から声がした。
「そう、ありがとう。タバネ、申し訳ないがこの後の話については我が家に着いてからでいいか?我が家が
相談所の事務所兼自宅になっていてね。そうそう、相談所のメンバーも居るからついでに紹介するよ」
口を開こうとしたタバネを気遣ってかリリが話を後にしようと提案してくれた。タバネは頷き、到着を待つことにした。以降はなんとも言えない沈黙が車内に起きる。やがて車が停車するのを感じたので降りようと支度を始める。
「Ankunft。お疲れ様でした。ご主人、Herr.タバネ」
車が停車すると扉が開かれ、アーチが外に出るように促す。リリはよいしょっと小さく声を上げ、先に降車する。そして彼女はタバネの方を向き、無邪気な笑顔で早く早くと言わんばかりに手招きを行なう。さっきまで見せていた冷徹な表情と今の子どもっぽい表情のとのギャップに風邪を引きそうになる。一体どっちが彼女の正しい表情なのだろうか。彼は戸惑いを隠せずにそのまま降車した。
そこは彼の身長を二周りをも上回りそうな門の前だった。ハンは全員が降りたことを確認すると窓を開け、車停めてきます、と一言話して発車させた。それと同時にゴゴゴと音を立て、門が内側に開かれた。だれも扉を開けた素振りはなかったので遠隔で操作して開けることもできる門なのだろう。自分の身長よりも遥かに大きいそれが開かれるのは壮観だった。少しワクワクする。
門が開けるとそこは大きめの庭で、石畳が奥の小さく見える屋敷らしきものまで敷かれていた。リリが拠点としている自宅兼相談所の土地はかなり広大のようだ。日本では考えられない。
「アーチ、さっきのゾンビ達はやりすぎたのではないか?」
「Nein。いつもあんなものかと。もう少し派手にしたほうが良かったですか?」
「いや、いつも通りならいいんだが…」
何かリリとアーチでボソボソと話していた。タバネは蚊帳の外だ。
「そうそう、タバネ、ここから10分程歩くけど、健康のためと思って歩いてくれないか?」
「歩くしかないんだろ?まあ、飛行機長かったし日本からほとんど歩いてないからちょうど良いよ」
「分かっているじゃないか。案内するよ、と言ってもまっすぐ進むだけだがね」
そう言ってリリを先頭にアーチ、タバネと続く。気候的にヨーロッパは湿気は殆どないため10分くらい歩いても汗はかかないだろう。日本だと湿気がひどいのでそうはいかないと思うが、ヨーロッパであればそんなことはない。気温の割には暑くない、それがタバネがいる地域だ。
石畳を進み、10分ほど歩くと門から小さく見えていた屋敷が眼の前に現れた。
館は2階建てで屋根が青色、外壁が橙色をしたレンガ造り、そして四角い窓が随所にはまっている。入口となっている扉は突き出た長方形の玄関ポーチがあり、3方向から人が十分入る事ができるように大きなアーチ状の壁で囲われていた。
「とりあえず、支度してくるから客室で待っていてくれたまえ。アーチ、彼を客室に案内しておいてくれ」
「Ja。承知しました、ご主人。Herr.タバネ、チーについてきてください」
リリとアーチが言葉を交わし、リリが先に館の中へ入ていく。その主人を見送ってアーチはタバネに向って言ってきた。どうやらアーチは自分のことをチーと呼称するみたいだ。そんな彼女の意外な一面をみてタバネは可愛いな、と思う。
「わ、分かった。ついていくよ。ただそのHerr.タバネっていうのはくすぐったいからタバネと呼びすてにしてくれないか?」
「uh-huh。ではタバネ様、着いてきて下さい」
「タバネ様…ま、まあそれでも良いか。ありがとう、案内頼むよ」
「gehen。離れないでくださいね」
そう言って扉を開け放つ。どうぞ、と中に入るようアーチに手で促されたのでタバネはつられて中に入る。中に入ると同時にアーチが扉を閉めた。
扉が開かれ、中に入った彼は館内の様子を見て息を飲む。そこはまさしく映画のセットのような光景が広がっていたからだ。
そこは明るく、シャンデリアが飾られ、深紅の絨毯が敷かれた大きな広間だった。左奥には2階にへとつながる階段があり、その階段下にはお客を一時的に待機させるような小さなソファーと暖炉があった。壁紙はしゃれて気品があり、まるで皇族が住んでいるかのような上品な模様があった。
「kommen。タバネ様、早くこちらに来てください」
「ああ、すまない。すぐに行くよ」
左側にある扉の前でアーチは待機している。待たせては行けないとタバネは思い、小走りで駆け寄る。彼が傍に来ると彼女はこちらが客室ですと告げ、近くの扉を開けて中に入っていく。それについていくように彼はほぼ同時に中に入った。
***
「hinsetzen。どうぞソファーにお座りください。チーはお嬢様の下へ行って参ります」
通された部屋は引き戸で仕切られていたがそれでも十分すぎるほど広く、1人では持て余しそうな部屋だった。部屋の真ん中には大きなティーテーブルとそれを挟むように同じ長さのソファーがある。テーブルの左側面には間を開けて暖炉が、その反対側には1人用の腰掛けソファーがあった。絨毯、壁紙はきらびやかで白と金を貴重とした柄が描かれており、高級感で溢れていた。そんな中タバネは戸惑いながらも下手側のソファーに腰掛ける。アーチはそれを見届けると部屋を退出していった。
「本当に豪華な内装だなあ」
アーチが出ていった後、改めて部屋の内装を見渡し、ぼやいた。
そして今まで案内された屋敷の外観や部屋を思い出してイギリスの貴族が住むようなお屋敷だな、と思う。カントリーハウス風の建物というのだろうか、漫画やアニメのお金持ちの家といえばこの屋敷、みたいなそんな感じの家だ。タバネが住んでいる1Rの小さな独房のようなそれとは全然違う。また、周りに緑が全然ないところなので緑がたくさんあるこの環境が少し羨ましかったりする。天井も高くて息が詰まりそうになる我が家とはえらく違いがあった。
叶うならこのままここに住みたい。まあ、そんなことは不可能なのだが。
そんなことを思って周りを見回していると仕切り扉の隙間が空いているのに気付いた。そしてその隙間からタバネの様子を伺う瞳があった。タバネが見つめ返しても微動だにしないので瞳の主の正体が気になり、ゆっくりと近づく。主は微動だにしない。
タバネは扉に手をかけて一気に開け放つ。開け放つとそこには狐の獣耳と尾っぽが生えた愛くるしい生き物がいて、尻もちを付いていた。ふわふわもこもことしたブラウスとショートパンツを纏ったその愛くるしい生き物は泣きそうな表情をしており、そしてぷるぷるとチワワのように震えている。
「あわわ、あわわ。ごめんなさいです…ウチが予知したタバネがどんな人間だったか観察したいと思って覗いていただけなのです。ひどいことしないでくださいです…」
見た目的には小学校1年生くらいだろうか?間違いなくジェットコースターには乗れそうにない背丈をしている。それに狐耳、狐尾が生えているものだからそれはもう可愛いの権化である。思わず狐耳が生えている頭を撫でたくなる衝動に駆られたが我慢する。自分より背が高くて面識のない生き物が手を伸ばしてきたらそれはもう恐怖でしかない。
「ひえっ、ぶたないでくださいです…」
撫でたくなる衝動をこらえたつもりだが手は伸びてしまっていたようで、それにびっくりしてか頭を押さえて涙目上目遣いで見つめてきた。その仕草にものすっごく庇護欲に駆られて伸ばしてしまった手で頭を撫でる。最初は震えていたがやがて震えが止まり、もっと撫でてくれと言わんばかりにすり寄ってくる。警戒心を解いたらすぐに甘えてくるそれは子どもそのものだ。全く、私が悪いやつだったらどうするんだ。そう思うタバネだった。
「タバネ、撫でるの上手いのです。もっと撫でてくださいです」
子ども特有であるのだが所々言葉の使い方を間違って居るのを感じるがそれも可愛い。タバネはその子の頭を撫でながら名前は何か、どういう人物なかを探ろうとする。
「えっと…キミは…」
「ウチはクーコ、見た目は小さいけどしっかりもののお姉ちゃんなのですよ!ちゃんと覚えて帰るです!あともっと撫でてくださいです」
「しっかりもののお姉ちゃん、か。ありがとう、クーコちゃん。そう言えばさっき予知といったか?」
「そうなのです。ウチの能力は予知なのですよ。そんなに頻繁に分かるわけじゃないのですが分かる時はビビッと来ちゃう能力なのですよ。それでタバネの危機を予知したのですよ!」
「え、私の危機…?」
自分の危機を予知したと聞き、それに聞き返すタバネ。あのゾンビの事以外危機なんて今日一日で感じたことがない。それを予知したと言うのだろうか?このクーコと名乗る少女は。クーコに目をやると言ったことを後悔しているようなそんな様子だった。
「もしかしてゾンビに襲われそうになったことを予知したのか!?だからリリ達が私を迎えに来たのか」
そのタバネの問いについて首振り人形みたく頷くクーコ。そんな様子に何かを隠しているような感じ、怪訝な表情を浮かべる。
「おやおや、もうクーコと仲良くなったのか。タバネ、貴方はすごいね」
隠していることを問い詰めようとして口を開きかけたその時タバネが入ってきた扉の方から声がした。視線を送ると薄着になったリリが扉を開けて入ってきた。それと同タイミング出来たのか彼女の後ろにはハン、そしてアーチ、最後にみたことがない綺麗な女性が入ってきた。琥珀色の瞳、白銀の髪を肩まで伸ばし、歳は恐らくタバネと同じくらい…。服装はシスターが着そうな修道服を纏っているが、頭にかぶるウィンプルはなかった。また、背丈は高く、170くらいはあり、着用している服から覗く右手には怪我をしているのか包帯が巻かれて痛々しい。
その女性はタバネが見ていることに気づくと手を上げて笑顔で会釈してきた。その笑顔は美しく、プライベートであれば惚れてしまっていたであろう。ただ悲しいかな先程の怪物の一件もあったのでそんな気分にはなれなかった。
「クーコ、タバネの事気に入ったか?」
「うん!タバネ撫でるの上手いのです!だから好きなのです!」
「そうか、そうか。しばらくタバネは此処に居るからね、沢山遊んでもらうと良い」
「リリの話が終わったら沢山沢山遊んでもらうんです!」
そう言ってクーコはパタパタと言わんばかりに走ってリリの方へと行く。リリはその間、上手側のソファーに腰掛けていた。そのリリの隣へちょこんと座るクーコ。動くにも元気いっぱい、しゃべるのも元気いっぱい、子どもといったものを体現したようなそんな存在だった。
「待たせてしまったね、さあ、ソファーにすわってくれたまえ」
リリはクーコが座ったことを確認すると自身の前のソファーへ誘導する。じゃあ、とそう言ってタバネはそこへと座った。包帯の女性は暖炉向かいの1人がけソファーに着席し、アーチ、ハンはリリのソファーの後ろに立っていた。リリはアーチの方をみながら口を開いた。
「アーチ、紅茶とスコーンの用意してもらっていいか?お腹が空いちゃって」
「Ja。すぐに用意してまいります。しばしお待ちを」
「ウチもお手伝いするです!」
リリの一声でアーチが部屋を、そしてクーコが手伝うと元気よく名乗り出て部屋を出ていく。そんな様子をリリ達は微笑ましそうに見送る。
「子どもっていいな。そこにいるだけで太陽みたいに辺りを照らしてくれる。そうは思わないかね、タバネ」
「子どもって…リリ、キミも似たようなものじゃないか。まあでもリリが言っていることには同意する。子どもがそこにいてくれるだけで心が温まる、というか落ち着くというかそんな気分になるな」
「子どもあつかい…タバネが思っているほど子どもじゃないのだが。まあ良いだろう」
リリは子ども扱いされるのが気に食わないらしい。
「子どもについてはタバネと概ね同意見だ。さっき大変な目にあったから尚更感じるよ。さて、タバネ改めてだがリリアルク相談所へようこそ。ここで所長努めているリリ・ヴァ・ペグラム、ワタシの後ろに控えているのは運転手のハン・ラア・デュウ。そこのソファーに座っているのはアルク・ア・ジョフォン。アルクはワタシの右腕と呼べる存在さ」
改めてメンバーの紹介をしてくれるリリ。ここに来る道中ではゾンビと遭遇して明らかにそいつらをリリ達は明らかに人智を凌駕した力でねじ伏せていた。そんな刺激的な状況、光景が目に焼き付いてしまい強烈でそれぞれの名前を忘れかけていた。そのため改めて紹介してくれたのは本当に助かる。
「そしてさっきスコーンをお願いした子はメイドのアーチ・デム・パリータ、ついて行ったのはクーコ、訳あって預かっている女の子だ。以上で相談所の主要メンバーが出揃ったかな。そして想像付いていると思うが殆どが人ではない」
先程部屋を出ていった2人を紹介してくれる。そして人ではないこともタバネの想像通りだった。ただ殆ど、というのが気になった。
「殆ど…とは?」
「例外の1人目がそこのソファーに座っているアルクとなる。彼女は人間、つまり貴方と同じというわけさ。ただ、普通の人間と1つ違うのが、さっきのゾンビの様な怪物たちと戦う術を持っている」
タバネは改めてアルクを見た。彼女はハンの様に体格が良いわけでもなく、かといってアーチのように武器を持っている様子もない。正直怪物に対抗できるようには到底見えない。彼女はタバネがみていることに気付いたのか笑顔で手を振ってきた。彼もぎこちないながらも笑顔で振り返す。
「タバネ、さては疑っているな?アルクが本当に戦えるか…。心配しなくても貴方よりか十分に力を使えるよ」
クスクスと控え目に笑うリリ。いたずらが成功したがそれをバレないように我慢している子どものようなそんな感じの笑いだ。見た目相応の少女らしい、そんな可愛らしい表情をしていた。
「Meister、タバネ、紅茶とスコーンお持ち致しました。大変お待たせ致しました」
「致しましたなのです!」
可愛らしいリリの表情に見惚れているとアーチが紅茶とスコーンを乗せたティートロリーを押して運んできた。そのティートローリーは木製で二段に分かれていて、上段に引き出しが付いている。上段には滑り止め化のためか、レースの付いた黒色のクロスが敷かれてティーポットと銀色の水差しとスコーンそしてシュガーポッドが載った皿が、下段にも同じクロスが敷かれてティーカップとソーサー、そしてグラスがある。クーコはアーチの足元で彼女のセリフを元気よく復唱していた。
コトッ、コトっとリリ、アルク、タバネの前のテーブルにソーサーとカップ、そしてスコーンが2つ載った皿がそれぞれ置かれている。そのスコーンの皿にはいちごジャム、生クリームが入れられた小皿と果物のちょこっと盛りが乗っていた。
コポコポコポとカップに紅茶が注がれる。薔薇の上品な薫りが部屋の中を漂う。どうやら今回アーチが用意してくれたのはローズティーのようだ。テーブルの真ん中にはシュガーポッドがトンッと置かれた。
その後、アーチはティートローリーの引き出しを開いてティーシルバースプーンをソーサーへ、別のシルバースプーン、フォークをスコーンの皿に置いてくれた。スコーンのスプーンはジャム、生クリームを掬うためでフォークは果物を食べるために用意してくれたのだろう。
タバネはありがとうとアーチに声をかけてカップを取り、ズズッと中の液体を啜る。先ほど薫った心地よい香りが彼を包み、ほっと安心する。車でリリに入れてもらった紅茶も心地の良いものだったが、散々な目にあった後だったからかもしくは淹れた者の腕かわからないが美味しく感じた。ここは安全で一息ついても良い空間であることを再認識できた。ほっと一息をついてそして気づく。
「あれ、アーチ、ハン、クーコは飲まないのか?」
そう、アーチとハン、クーコには飲み物、食べ物が行き渡っていないのだ。アーチはティートローリーの傍に控え、クーコはその傍からひょっこりと顔を覗かせて立っており、ハンはこの部屋に入室した状況と変わらずアーチの後ろに立っていた。
「タバネ、貴方の心遣い痛みるよ。心配しなくてもいい、アーチとハンはいつもこんな感じだ。席についてワタシ達と同じ目線にいてもいいと言ってるんだがね。クーコは…遠慮しているのかな?いつもワタシかアルクの膝上に座ってスコーンとか摘んでいるんだがね」
「ウチ、今日はお腹空いていないから大丈夫なのです!アーチとここに立っているのです」
リリは頬を綻ばせクーコを見る。クーコは恥ずかしそうにそしてムキになっているかのように言葉を返す。それと同時にくぅ〜ぅとかわいらしい音が部屋中に響き渡った。その音がなった瞬間クーコは恥ずかしそうに頬を染め、ティートローリーの裏へとシュバッと姿を隠した。
「えっとクーコちゃん、スコーンと果物盛り食べるか?」
「それはタバネの物なのですっ!クーコはお腹空いていないのです!」
「んー。あまりお腹空いていないからクーコちゃんに食べてもらえるとうれしいな」
「タバネ、ほんとですか?」
「うん、食べてもらえると嬉しいなあ…」
「じゃあ食べてやるのです!タバネ、クーコに感謝するです!」
タバネはクーコに食べるように提案したものの1回断られてしまった。しかしアプローチを変えて攻めてみると食いつきが良かったので更に話を進めてみると、満面の笑顔でティートローリーから飛び出して来て彼の膝上に座ってくる。彼女のもふもふとした耳と尾っぽをパタパタと動かして彼をくすぐり、フォークを手に取った。
「タバネ、貴方はクーコの扱いが上手いな。どうだい?クーコをちょっとの間連れて帰ってみるかい?」
「それはちょっとまずい気が…」
「冗談だよ、真に捉えないでくれ。初対面なのにそんなコトお願いしないよ。アーチ、クーコへリンゴジュースをグラスに注いで置いてやってくれ」
コロコロと軽快に笑い、アーチへ指示を投げる。アーチはコクリと頷いてティートローリーのグラスを手に取り、水差しから液体を注いだ。りんごの甘い香りがタバネの鼻をくすぐる。水差しには予めリンゴジュースが入っていたみたいなので、恐らくお茶する際には対応できるように用意していたのだろう。
「さて、タバネ。遅くなってしまったね。あなたの記事を書くために話をしようか」
「リリ、ありがとう。といってもどんな記事を書くか決めてないのだが…」
「ふうむ、そうか…決められていないのであれば話ができないな…」
くぴくぴっとリンゴジュースを飲みながら笑顔になっているクーコを除き、辺りは重苦しい気まずい空気が流れた。ハン、アーチは無表情、リリとタバネは思案顔、アルクはリリとタバネへ交互に視線を送り、オロオロしている。口を挟みたいが挟むのを躊躇っている、そんな感じだ。
「あ、あのリリ、タバネ良いですか?」
アルクは空気にいたたまれなくなったのかとうとう口を開いた。リリとタバネの視線が彼女へ向く。彼女は驚いたのかびくりと身体がこわばる。
「あ、あの、えっとですね、リリ、ボク達が歩んできた道筋を話して、それをタバネに記事にしてもらうのはどうでしょうか?日本での宣伝になるかもしれないし…」
「それは良いな。とうとう日本進出か。タバネ、さっきのアルクの意見はどうかね?ワタシはとっても良いと思うが」
タバネはアルクとリリの意見を聞き、顎に手を置き俯いて考え込む。
確かに面白そうだ。しかし世間にそれは受け入れられるだろうか?恐らく、いや恐らくも何も絶対にと言い切ってもいい。彼女達から話される内容はオカルトな内容になってくると思う。世間一般の意見としてオカルトな内容は否定的な意見しかない。一部の物好きしか好まない内容になってくる。果たしてそれが受けいられるのだろうか?
「やっぱり貴方の新聞社にはそぐわない内容かな?」
「確かにリリ、キミの言う通りにオカルトな内容はウチが推している売り方ではない。ただその意外性が受けるかもしれないから是非聞かせてほしい」
考え込むタバネを心配してか尋ねてくるリリ。そんな彼女に対して彼は肯定の意見を返す。
どうせお情けでもらったようなチャンスだ。だから当たって砕けても良いかもしれない。これが気に入られて金を貰えれば儲けものだ、とタバネは考えたのだ。
「そうか。それでは1つ目にふさわしい、立ち上げ間もない頃の相談所の話をしようか。あれは確か開業当初で、相談所に正式所員としてワタシとアルクしかいなかった頃だ…」
はじめまして、山上コウヤと申します。
今回初投稿といったこともありまして、プロローグと第1話投稿させていただきました。
かなり長かったでしょう。公開しているお話を読んでくださいまして本当にありがとうございます。
基本的にはこのくらいの長さで作成予定ですのでゆっくりと時間がある時に読んでくださると幸いです。
さて内容に触れていくのですが、この会社最悪ですねw
自分で書いていてなんですがいくら自己都合退職にしたいから陰湿ですよね。まあ会社としても悪評なんて立たせたくないのはわかりますがそれにしても…。自身が束なら自己都合退職になってもいいのでやめますね。皆様もその様な経験ございますでしょうか。
話はそれましたがタバネはなんやかんやあってリリと出会い、戦いに巻き込まれていくわけです。1話のバトルシーンの描写はどうでしたでしょうか?一応自分なりに考えて詰め込んだのですが至らない点がありましたら精進していくまでです。
続き…ですが次は12月1日を予定しております。時間帯も18時頃ですかね。良ければ続きを読んでくださると幸いです。
さてさてそれでは次のお話でお会いいたしましょう、山上コウヤでした!