厨二病は力が有れば厨二病じゃない。
恐るべきは死ではない。真に生きないことを恐れよ。
これはマルクス・アウレリウスの言葉だったかな
俺はこの言葉の意味を理解しているし実行に移している
つまり、真の自分と向き合って生きているってことだ。
だが、世間はそんな事許してくれない、
頭がおかしい奴、変人、厨二病こんな言葉を浴びせられるのは日常茶飯事だ。
厨二病――それは中学2年生頃の思春期に見られる、背伸びしがちな言動」を自虐する語の事だ。
『因数分解が何の役に立つのか?』『大人は汚い』と言い出す」「本当の親友を探そうとする」
などが挙げられる。そもそも俺は高校生なので、当てはまらないし、何一つ厨二病なるものと噛み合ってない。つまり断じで違うということだ。
因数分解は役に立つと思うし、大人は汚く見えるだけで意外と綺麗だ。
そう、俺は厨二病とは似て非なる存在だ。
俺は、ただカッコつけたい、大衆に、より多くの人間に、全世界にかっこいいと思われたい。
形はなんでも構わない。ただあいつなにかが違うと思われたいのだ。
だが、その思想は否定される。
けれども、俺は決して屈しない。身の丈が合わない、分布相応だと言われても、俺は俺の信念を貫くつもりだ。
だから俺は努力をした。知力、想像力、筋力、耐久力、体力、臨機応変能力。
俺は頑張った。いや、まだ足りない。努力努力努力努力努力努力
そんな俺を皆は秀才と言った。それが許せない。秀才、秀才ね。秀才など俺の求めたものとは異なる。
それは俺が求めたかっこいいとは真逆だ!
努力をしてないけど、なんか凄いって思われなければ意味がない
しかし、隠れてする努力だけでは足りないのだ。
圧倒的な時間が足りない。
許せない。許容しがたい事実だ。この真実を知っているのは世界で俺だけだ。<世界で俺だけ>なんていい響きだ!
ああ、気持ちいいぃぃ。これがたまらない。少しだけ薬物中毒者の気持ちがわかるよ。
俺は清々しい気持ちで制服のポケットに手を突っ込んだ。
今日は実にいい日だ記念日にしてやろうかな。そんな事を思いふけながら、家の玄関を開けると太陽の煌々とした光が扉の隙間から差し込んでくる。
フ、眩しいな。
いや、しかし、本当に眩しいな。どう考えても太陽の光なんかではない。眩しすぎて目を開けられない。だが、徐々に眩しさが消えてゆく、俺はテンプレを全て抑えている。本能でわかるのだ、来る!
はずだった。
「え……?」
そこに広がっていたのは、いや正確にはなにも広がっていなかった。
真っ白い空間。誰もいない。そして、無限大に広がっていると思うほどの白い空間には空虚すぎて異質さすら放っている。違和感だらけの空間だ。だが本当になにもないわけではない、俺の目の前には無数の文字が浮かび上がっている。その文字見て俺はわかってしまった。
混乱は一瞬だ。即座に俺は理解してしまった。
「異世界転生?」
バカでもワクワクする超展開。
とりあえず家族や友人なんかよりも、いや、友人なんて居ないか
今はこの空中に浮かび上がっている文字が一番重要だ。
HP1
MP1
STR1
DEX1
AP1
EXP18
<スキル>EXP10
<職業>EXP10
<????>EXP20
書いている事はまるで漫画やアニメみたいだ。仕様なんとなくわかるけど、こうゆう時って神とか女神とか居るんじゃないの?
職務怠慢も甚だしいな。親切心の欠片もない。
まあ居るか居ないかわからない神の存在をあてにするなってことかな?
ふーん、にしても凄いなこれ。どうなっているんだ?
触ったりしても手は文字をすり抜けてしまう。物理法則無視しすぎだろ。
まさに異世界の前触れ。
素晴らしい!あぁ!興奮する、失禁してしまいそうだぜ。神様もたまには役に立つんだね。
10分近く棒のように立ち――硬直する。そして、現実を受け止める。
「ふぅ……」
さてと、興奮するのはいいが真面目に考えないと!
全てのステータスが1になっているけど、EXPが18もある
多いのか少ないのかわからない。
しかし、なぜEXPだけ18なんだろう。
俺が18歳だからかな、いや、まさかな。
しかし、この仮説が正しいのであれば、年齢が高ければ高いほど色々なスキルを得れるのではないか。
<スキル>にEXP10と書いてあるから、おそらく10消費することでスキルを取得するのでは?
となると俺はスキルが一個しか選べないのか。
なんて、不平等なんだろう。仮に他の人も転生していた場合、前世で年齢が高い奴ほど色々なモノを持って生まれ落ちるのか。
でも、老人がこの仕様を理解できるのか?んー、なんか大丈夫かな?本当に想像するような異世界なのだろうか?
そんな事を考えながら、時間にして一時間ほど様々な実験をした。
まず、英語表記の数字は、その数字を上げたいと思考するとEXPが1マイナスなる。例えばHPを1上げたいと思うとHP上がり、EXPが1マイナスになる
自分のお好みのステータスに出来るって訳ね。
スキルもそれに近しい、スキルの数は膨大でパッと見えるだけでも一万は優に超えている。
それをほしいと思考するとそのスキルが得られる。もちろんEXPは減る。スキルの種類だが、火魔法などの王道や、時間魔法、異性を惚れさせる魔法なんかもある
少し特殊だと思ったのは、特定行動禁止や人類思考、記憶保持など必要かどうかわからないものまで載っている。種類は多様だ。
しかし、疑問点はまだある、EXPを使わないでいた場合どうなるのだろう。
この空間から出れないとかはありそうだ。
そして、気になるのがEXP20と書いてあり、<????>
これはなんなんだろう。何も表示されないし困ったものだ。
あとAPって確か容姿だった気がする、つまりこれを上げれば美男や美女に早変わりってわけか。
前世で容姿に悩んでいた人からしたら目から鱗だな、すぐにでも食らいつきたくなるステータスだね。だが容姿の考え方は個人で違うものだ。ステータスがそれを理解して反映するのか?
謎だらけだ。
とりあえず容姿は必要ない。俺はそんなありふれた特別には執着しない。力だ!何人たりとも追従を許さない圧倒的な力が欲しい。
あと永遠の命も。
職業は、思ったより少ない4職だけだ。
戦闘職、魔法職、生産職、無職だ。個人的には無職が気になるがどんな効果があるかわからない以上簡単には選べない。
わかったことはこんぐらいだ。おそらくだけどEXPを全て使い切ったら転生されるんじゃないかな。
試し運転でも出来たらいいのに、スキルを選択しようとステータスを上げようと今の体に変化はない。なんとも世知辛いねー
一応スキルやステータスを取得してもまだEXPは減らない。しかしEXP18以上を利用できない。
「あれ?EXPを使い切ったら転生じゃないのか?」
んー、よくわからん
まあ、いやや、EXP18をどう振り分けるか。これが大事だ。時期に転生されるやろ。
やはりスキルは欲しいところだよね。
スキル欄を見ていると、ふとあるスキルに目が止まる
「黒い者」て書いてある。
なんだろうこれ。どう考えても異質、スキルは文字だけで能力がなんとなくわかるけど、これはさっぱりだ。
しかし、なんとも心惹かれるものがある。
悩むだが、こうゆうちょっと違う奴が特別な能力なのはテンプレの一種だ。ふむ、どのスキルも魅力的だが悩んでも仕方ないし。ここは賭けに出る!
取得したいと願い、スキルを取得する。すると、不可思議な声が頭の中を巡る。
<スキルを習得しました>
「え?」
なんでだ?さっきスキルを選んだ時には、この声は聞こえなかった
なにか違うところがあったのだろうか?
また、分からないことが出た。
そして、取り付く島もなく、また新しい言葉が脳内を巡る
<世界塔との接続を確認しました>
<ステータスを設定します>
<条件を満たしていません、特定スキルを取得しました>
<スキル黒い者を同化します>
<全ての過程が終了しました。世界の祝福を終了します>
突然声がしたと思えば、また視界が真っ白い光に包まれる
視界が明快になり分かった事がある。
この世界は、俺の夢が叶うって事だろう。
微風が前髪を揺らす。前髪の隙間から見える風景は、まさに異世界
前世?で思い浮かべた理想がそこにある。漫画で見た中世の世界観。そして、俺の前には水平線まで続く長い道がある。
しかし、俺が驚いたのは、長い道でも絶景とおもわせる中世の街並みでもない。
俺はただただ見上げた――後頭部と首がガッチリとくっつく
巨大なんて言葉では表現出来ない――世界のどこからでも見ることが可能だろうと思わせられるほどだ。巨大で……壮大で……威厳を感じるその塔は、圧倒的異質感は放っている。世界塔という言葉が、この塔を指していることを即座に理解できる。
まさに、ファンタジー!言い表せない感情が心を満たしている。
俺の夢がここにはある!
あれ?残りのEXPどうなったんだろ。
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