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11 トラスト商会

ブラックドラゴンの討伐から2週間ほどたった。

ドラゴンの死体はばらしてできるだけ持ってきた。

魔石などの貴重な素材や俺たちがほしいと思ったものは自分たちで確保した。

それ以外の残り物を売っらそれなりの金になった。

俺は金が必要ないので、テレサに全額渡した。

彼女は躊躇していたが、何かを察したのか最終的には受け取ってくれた。


俺は今部屋でドラゴンから出た魔石の研究をしている。

この世界の魔力を持った物質は再現しにくいが、何とか作れた。

すでに量産ができるようになったので、運用について試行錯誤している。


午前中はテレサと訓練をしたので、午後は研究に没頭できそうだ。

普通は武器の素材に使用することあ多いが、俺は肉体の強化に活かせないかと考えている。


飲み薬にしたらただのポーションになっていまうし、外科手術で埋め込むのも手かもしれない。

ドラゴンはどうやってこれを力にしているのか知る必要がありそうだ。


「リアム、お客さんよ」


シスター・カリナの外から聞こえてきた。

孤児にお客さんとは珍しい話だ。


誰だろうと思いながら玄関に向かうとテレサと知らない女性が話していた。

黒いスーツに身を包んだ赤毛の女。

まさに営業スマイルと言える柔らかい笑みを浮かべながら話していた。


「だから興味がないって言ってるわよね」

「この教会のことを思っていらっしゃるんでしたら、我々のところで良い給料得た方良いのではないでしょうか?お金があればできることは多いと思いますよ」

「お金には困ってないし、ここに私ほどの剣士を呼ぶのはお金があっても難しいわよ」


若干もめている様子だ。


「テレサ、その人は?」

「トラスト商会の勧誘よ。私は断ったけど、リアムは好きにすれば?」


テレサは俺を見ると入れ替わるようにその場から離れていった。


「あなたがリアムさんですか?」


いきなり俺に笑顔で話しかけてきた。

切り替えが早いなこの女。


「ええ、そうですけど」

「私はトラスト協会のゲルニカと申します。その歳でブラックドラゴンを仕留められるとは凄いですね。ぜひ、私たちの商会にきて働きませんか?」


トラスト商会では俺の住んでいるバロウト王国で最も大きな会社だ。

物の販売を主に生業としているが、今はいろいろな分野で大きな影響力を持つ。


「いえ、興味ないですね」


金には困っていなしな。

それに俺はもうサラリーマンはしたくない。


「かなり好待遇ですよ。お金だけでなく、入手困難な素材や本の商法も色々と入ってきますよ」

「気が向いたら、こちらから連絡しますよ。ではさよなら」


俺は早々に話を終わらせてその場を去ろうとした。


しかし、その様子を見たゲルニカの雰囲気が変わった。


「我々の商会がどれほど力が分かっていますか?これを断ったら将来、あなたの働き口がこの国にあると思わない事ですね」

「なんだと。脅しか?」

「子供にはわからないでしょうが、この国の社会とはそういうものなんですよ」

「テレサにもそういったのか」

「ええ。彼女はいざとなったら冒険者になるから問題ないと言っていましたね。初戦はよそ者我々の力を甘く見ている様子でした」

「僕は子どもなので、あなたの言っていることはよくわからないです。しかし、僕たちを害するつもりなら覚悟してくださいね。やられっぱなしのつもりはないですよ」

「子供のくせに勇ましいですね。仕方ありません。私はこれで失礼します」


ゲルニカこちらを振り返ることなく去っていくが、こちらへの敵意はむき出しだ。


俺もよくはトラスト教会のことはよく知らないが、思っていたより危ない連中なのかもしれない。

それでも俺がどこかに雇われることは絶対ないだろう。

俺の持っている技術を他人のために使う気はないし、研究の時間も奪われる。

金も無限にあるのでどう考えても割に合わない。


気にしてたところで今のところは手の施しようがない。

今度、知り合いの情報屋に嫌な噂はどんなものがあるか探らせてみよう。


部屋に戻るとレイが出迎えてくれた。


「あ、リアム。お客さんてどんな人だったの?」

「つまんない人だったよ」


扉を閉めてそのままレイをベッドに押し倒す。

ぐりぐりと体を押し付けて彼女も柔らかさを堪能する。


レイは驚いた様子だが、特に抵抗はしなかった。


「どうしたの、リアム」

「べつに、ちょっと甘えたかっただけ」

「ふーん」

「そういえば、ドラゴンって魔石をどんなふうに利用してるか知ってる?」

「ドラゴンだけじゃなくて他の魔物でも魔石は出てくるでしょ」

「うん」

「でも大概、魔石を持ってる獣は理性を失ってる」

「うん」

「ドラゴンがそうなっていないと考えると、制御装置のようなものがあるわけよ」

「へーー」

「きいてるの?」

「うん」

「武器とかにするならともかく、体内で活用するとなるとかなり難しい術式が必要になるわけ」

「あれ。俺そんな話したっけ?」

「同じ部屋にいるんだから嫌でも耳に入るよ」

「なるほどねー」

「それで作れそうよ。ドラゴンの素材からそれらしいものが見つかって再現可能になりそう」

「流石はレイ、愛してるよー」


改めて例の身体に頭をうずめる。


本当にすごいことだ。


魔石を体内器官にしてしまうなど前例がない。

教科人間という概念すらほぼない。

そんな中ですでに可能にできる理論を思いつくとは。


彼女のIQは200くらいあるのかもしれない。


しかし、大きすぎる彼女の才能は多くの敵を作ることになっていく。

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