28.デート・ア・トラクト さあ、私たちの誘惑を始めましょう編※
デート・ア・トラクト
28話:第1編
29話:第2編
30話:第3編
31話:第4編
32話:第5編
みたいになります。内容はタイトル通り、デート。
それと、本話には終盤に挿絵がつきます。落ちないように...。もし落ちたらもれなく『乙女神に落とされ隊』入りです!
特別ゲストがこの5話の最後をしめてくれます。
昨日は王様ゲームが開催された。王様ゲーム終了後、西村には余計なことをしてくれた御礼をプレゼントしておいた。最後に王様になった人とその命令内容を後押ししてくれた御礼をな。
そんな僕は現在、駅前に立っている。どうしてこんなことになっているのか回想に入っておこう。
◇◇◇
「「「王様だーれだ?」」」
頼むぞ。神にあまり頼むことのない僕がこうして頼んでいるんだ。僕に...4分の1の栄誉を。4本の内の1本の黄金の割りばしを引かせてくれ!
これだ。この割りばしこそ、『王』となる割りばしに違いない!
「うぉぉぉぉあああ!!!」
結果...
『2』。
馬鹿野郎ーっ!!くじ運、誰に『2』を引かせてやがる!?ふざけるなーっ!!(1回目)
なんだよ『2』て。さりげなく番号フルコンしてんじゃねぇよ!くじを3回引いて『1』、『2』、『3』をフルコンする確率知っているか?
4分の3、4分の2、4分の1をかけて32分の3(64分の6)だぞ!?
3回引いて1回でも『王』になる確率である64分の37(全事象が起こる確率である1から、3回引いても『王』になれない確率を引いてね?)よりもはるかに低い確率の事象を起こしてんじゃねぇよ!
『いえいえ。乙女神がそうしろとおっしゃったので。』(by くじ運)
「ピッ~~~~!」
ただいま放送が中断しております。そのままお待ちください。
いや、落ちつけ。西村だ。0に近い確率でまともな命令をしてくれるであろう西村が『王』なら可能性はある。
「あ。私が王様だ!」(やりぃ♪)
馬鹿野郎ーっ!!くじ運、誰に『王』を引かせてやがる!?プーさん蹴るなーっ!!(2回目)
ま、まだだ。まだ最後の砦がある。今は陽葵が西村を取り押さえているから、僕の番号を知っている筈がない。
『1』、『3』を指名しろ!そうすれば僕は自由だ!ん?西村の様子がおかしいぞ?身振り手振りをして愛莉に必死に何かを伝えようとして、愛莉はそれにコクコクと頷いた。その意味は僅かなタイムラグを生じて気づくことになる。
「あ、てめ」
「もう遅い!取り消し不可能よッ!」
行動の意味に気づくことはできたが時遅し。最後の王様による命令が言い渡された。
「じゃあ『2』は明日の午後4時から『王』とデートして貰います♡」(ウフフフフ♪)
かつてこれほど怒りを孕んだことがあるだろうか?怒りを振り切った感情というものも存在するだろうか?
取りあえず、今やるべきことは決まった。それは
「」(#・∀・)刀持ち出し
「」木刀構え
「西村。」拳ボキボキ
「ど、どうしたんだ親友よ?黙って拳をポキポキ鳴らして...。西宮様も陽葵もイッたような目をして得物を持って...。ここ学校だぞ!?木刀はともかく刀はマズイだろ!?」
「「「貴様に朝日は拝ませねぇぇぇぇぇ!!!」」」
ドゴォーンッ!
西村が置いていった置き土産の御礼をすることだ。
◇◇◇
そういうわけで、僕はこれから最後の王様である愛莉の命令により放課後デートをする羽目になったのだ。事情を知る西村はともかく、それ以外の『乙女神に落とされ隊』には後日、粛清されることはないが詰問されることは間違いないだろう。
そこでご主人様である一姫とともに、対策を立てていった。本当なら『黄金の黒騎士』に変身すれば万事解決だが、王様ゲームの時は東山桂馬の状態で命令されたのだ。
そう、王様の言うことは絶対。王様の許しなしに代役を立てることはできないのだ。だからせめて東山桂馬だと特定されないようにする必要が出てくる。
そしてそこは僕のご主人様。アルバイトの雇用主である一姫は悩める子羊な僕のために策を講じさせてくれた。
「そうやな。うちならともかく、あの親衛隊にバレたらしつこおしてしゃあないでね。ここは、おつむを直接隠せるのに最適な帽子やらどうやろか?」
一姫は陽葵を呼び出し、とあるものを持って来させた。それはビーニーという毛糸の帽子で、中央の所には宅急便とかにありそうな黒ネコのロゴが入っている。
一姫にしては思ったより普通だな。もっとこう、普通ではない要素が込められたものを持ってきそうかと身構えていたんだがな。
「こちらお嬢が桂馬様のために用意したさつじ、失礼。魅了的な猫がアクセントの帽子となっております。」
ちょっと待て。今、何を言おうとした!?僕の推測が正しければ、物騒な機能が備わっていそうなんですけど!?
後、帽子についているネコの表情が魅了とはかけ離れている。なんというか人を癒しそうな笑顔ではなく、今にもシャーッと威嚇しそうな顔をしている...。それが僕の推測により真実味を帯びさせる。
「ほら、昨日の命令発動まで時間があらへんどすえ。早う被って迅速に終わらしてきて。」
ツッコミたい。ツッコミたいが彼女の言う通り、命令発動まで後10分しかない。僕は帽子を被り、目を疲れさせないように常備しているブルーライトカット眼鏡をかけて駅前へと向かった。
「お嬢。これで準備は整いました。」
「はばかりさん。さてうち達も実行を映しに、勉強部の部室へと戻りまひょか。...早乙女はん。あんさんの好きにはさせしまへん。」
「南村の件はいかがしましょうか?」
「放っといて。それよりも『乙女神に落とされ隊』が桂馬はんに危害を加えへんように監視して。」
「了解しました。」
◇◇◇
とまぁ、そんなわけで僕は毛糸の帽子とブルーライトカットメガネで変装して愛莉が来るのを待っている。僕としてはこのまま夜になってくれればありがたいのだが...。
「お待たせ~。」
まあ、そんなご都合展開あるわけないんだなぁ~。救いはおろか、奇跡も、魔法も、ないんだよなぁ~!
声をかけてきたのは昨日見事に最後の『王』を勝ち取った乙女神こと、早乙女愛莉。彼女は気合いの入ったデート服で僕の目の前に現れた。
◇◇◇
あ、野生のセーラー・月・ナレーターが現れた。
「乙女神。乙浜高校より現れ出ずる謎の少女。その無垢なる美貌に恰好よさで抗うか、愛を以て語りかけるのか。今、桂馬の選択が試される。」
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