13.出会ってすぐにバトル
世の中には『相反する』という言葉が存在する。それは『相手と反発する』と書き、意味は対立する、一致しない、相容いれないなどがある。つまり何が言いたいのかと言うと、
出会ってはいけない2人が出会ってしまった
VSダーク〇イ
まぜるな危険
ということである。
「初めまして。うちの名前は西宮一姫と申します。以後お見知りおきを、転校生はん。」(神を肩書に持つさかいどないな者か思て来てみたら、せいぜい中の上ちゅうとこどすなぁ...。)
「それはご丁寧に。私は早乙女愛莉と言います。昨日転校してきました。」(うわぁ、京都弁だぁ...。ま、それは置いといて容姿の面だったら私の方が西宮さんより2倍は綺麗だけど。)
一姫と愛莉は丁寧に挨拶をしている。僕はその間、西村の所に行き、『介抱』という形でこの場を離脱しようと試みる。しかし何故か、一姫が右手で制して脱出経路を塞ぎにかかる。僕は一姫の後ろに立っているから彼女の表情は見えないが、『親衛隊』の表情を見るに緊迫を与えるくらいには圧の強い表情をしていることは想像できる。
だからこそ、余計にこの場を去りたい気分となってしまうのだが、それも叶わなくなってしまった。
「それで早乙女はん。もうこの学校の雰囲気には慣れましたか?昨日はえらい親切な人にこの学校について教えてもろうたようで、ええスタートダッシュを切れたやろう?」(桂馬はんと一緒に学校を回ってさぞ楽しかったやろうな。楽しないやら言うたら即、お仕置きするで。)
「はい。昨日はいろいろと分からない所まで丁寧に教えてもらいました。さすがは勉強部の桂馬さんと」+探し求めていた『黄金の黒騎士』に出会えたことへの喜びの表情
あ、やめろ。そんな屈託のない笑みを浮かべて一姫を刺激するんじゃない。
おいACE、立ち止まれ!(幻聴その1)
乗るなACE、戻れ。(幻聴その2)
「早乙女はん。まだ出会うてあいさもあらへん人のこと名前で呼ぶんは些か早い思いますえ?人との掛け合いは相応しいもので然るべきどすえ...。」(軽々しゅう桂馬はんを名前で呼ぶんはあきまへんよ?)
「あ、はい。以後気をつけます。」(あ、圧が。笑顔なのに圧が凄いことになっているんですけどぉ。エネミー桂馬、こんなにヤバいのと知り合いなんてさっきまで聞いてなかったんですけど!!)
「そうどすか。それでさっきまでの騒ぎは何でっしゃろか?うちはそれがえらい気になってしゃあないどす。教えてくれしまへんか?なんでかうちがここに来たらばったりと静まり返ったみたいどすけど?」(ほんまは知ってるんどすえ?そこに倒れてる御方の仕業であることくらいは。)
分かる。分かってしまう。分かりたくないけど分かってしまう。これは挨拶とは名ばかりの釘の打ちつけ合いだ。一姫は僕から愛莉を引きはがそうと、圧を込めた笑顔というトンカチで釘を打ちつけているんだ。
嗚呼、こんなことになるから一姫と愛莉を会わせたくはなかったんだよぅ...。
そんな僕のことは片目に、一姫は愛莉から今度は西村の方に視線をずらしてフッと笑う。
「西村はん。起きて。起きなあんさんの腹の黒を白日の下に晒しますえ?」
「ふぁぁあぁああい!!??西宮様!どうか、どうかお慈悲を。申し訳ありません、申し訳ありません。 申し訳ありません。勉強部を訪問した生徒リストとか来週のこととかしっかりと作成していますから、お仕置きだけはどうか勘弁してくださいぃぃぃぃ!」
おい!西村、それでいいのか。仮にもお前は『乙女神に落とされ隊』の隊長だ。早乙女愛莉という信仰対象を崇める立場の者だろう?なのに他の女に対して畏れを抱くのは駄目なんじゃないのかね?
そして何気なく、僕の知らない所で変な主従関係が生まれているみたいなニュアンスを匂わせないでくれ。頭が痛くなる...。
急遽作った一姫システムのせいで...オデノゴコロハボドボドダ‼︎
「そうやって慈悲を乞わなあかんくらいにはやらかしたちゅうことでよろしいかいな?まあ、そら一旦置いといて、今週はえらいうちの周辺をそこの早乙女はんがうろついたようどすなぁ?彼女に勉強部のことやら教えたのもあんさんどすか?うちは言うた筈どすえ。むやみやたらに他の女に勉強部のことやら話したらあきまへんよ、と。」
「は、はいぃいぃい!?」
「それに今は『乙女神に落とされ隊』を創設なんかしてその隊長はんをやっとって。うちが見ーひんあいさにえらい偉なったなぁ。そやけどええんかいな?その矛先をうちの方に向けたら、あんさんの率いる『乙女神に落とされ隊』がすぐに潰れることになりますえ?」
しかし僕の想いが西村に通じたのか、西村は彼女に対する闘争心を燃えたぎ始める。
「ハァ...ハァ...潰れる...だと?取り消せよ!今の言葉ぁ!お前達ィ、宣戦布告じゃ!西宮に愛莉の底力見せつけるんじゃあああ!!!」
「「「うおおおおおお!!!」」」
おお、なんと見事な手のひら返し。僕でなければ見逃しちゃうね。
「そうどすか。せやったらもういっぺん、首輪をつける必要があるんやね。桂馬はん。ここは一旦、態勢を立て直しまひょ。」
西村による反乱宣言を受けた一姫は、僕の手を繋いでその場を引き下がっていく。ちょっ、勝手に話を進めないでくれ。
「愛ちゃん。あいつ等に目にもの見せてやりましょうや。」
「えっ!?待ってっ!?」
向こうは向こうで同じ考えに至ったようだ。一言言うなら、教祖を困らせるんじゃあない。愛莉が困ったような顔をしながら引きずられて行っているじゃないか!
それにしても最悪だ。恐れていた反乱が起こってしまった。ああ、これからどうなるんだ僕のスクールライフゥゥ!?
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