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9.今日、女神のようすがちょっとおかしいんだが。

ここから短編版の続きとなります。

あの忌まわしき転校生が僕の日常に侵食して早1日。今は西村と一緒に学生寮から通学している。今日の話題は当然、昨日のあの転校生についてである。とうとうあの転校生は僕達の話題を勉強以外のものへとシフトチェンジさせたのだ。転校生、恐ろしい子ッ...!


そして僕から話を聞いている西村は終始、ニヤケ面である。昨日の僕の苦労が分からないからそんなことが言えるのだ。人気者のお守りは軽く肋骨が折れるくらいに苦労するんだぞ...。


「え、まだあの変身セット持っているのかよ。」


「いいんだよ。いざ捨てようとすると捨てられないんだからよ。」


そう。僕のカバンの中には未だ、あの『黄金の黒騎士』変身セットが入っている。あれは僕がお小遣いというお小遣いを貯めてようやく購入できたものだ。捨てようとしてしまうとあの時の苦労のことが脳裏によぎってしまい、そのことで生じる謎の念力『もったいない』でいつの間にか引き寄せてしまうのだ。


「...もしかして心の中ではまだ未練たらたらという感じ?」


「そんなことは断じてない!」


「お、おう。そうか。」


そうだ。あの時に正義の戦士ごっこは幕を閉じたんだ。地獄の底へと焼却し、奈落の底へとその残骸を捨てたはずなんだ。


ただ昨日は悪条件(作為的)が重なって


変身(4ぬ)しかないじゃないっ!』(涙目)


となっただけなんだ。そうに違いない。


それはそうと肝心の転校生はあの後無事に帰っただろうか。もしまた変な男に捕まったとかなったら、監督不届きとして僕は担任の先生に始末されかねない。それはどんな手を使っても避けないといけない。


僕はその1点をさわざわと不安になりながらも、味方(時々敵)の西村とともに学校へと向かっていった。


◇◇◇


さて授業をしている現在、僕は困惑(極)という状態異常を発症している。その要因は当然、隣の転校生である。昨日と同じで誘惑されているからだと誰もが思うだろう。


だが、それは普通の女の子の場合である。そう。落と女神と呼ばれる女子を除けばである。


「早乙女さん。」


「」(ポケーッ)


「もしもーし。」


「」(ポケポケ)


「さっきから先生に指名されているんだが。」


「...ハッ!すみません!!え、えーと何ページでしたっけ?」


これだ。今日の朝からずっとこんな感じで、誘惑そっちのけで彼女は何かに意識を取られている。その様子は誰がどう見ても只事でないことは明らかで、誰もが彼女のことをどうしたどうしたという様子で見ている。


それに昨日あれだけ覗かせているスイセンのような黒さが鳴りを潜めていて、そんな昨日とのギャップが困惑を加速させているのだ。


そんな彼女はいそいそと席を立って教科書を開いて先生に指摘された箇所を音読している。もしこれも彼女の作戦の内なら警戒しているのだが、今の彼女からは明らかにそんな気配がしていない。


さらに授業以外でも時々、異常がみられる。例えば、昨日は周囲を惹きつけるように優雅に学校を歩行するのに今日は教室に向かう途中で壁や柱にぶつかったり、昨日はこちらを伺うような表情を向ける彼女が今日の朝は天井の1点を見つめていたり。


そんな彼女の様子を見た男子達は、授業が始まる前までには勝手に僕のことを『女神様を誑かした怨敵』と判定。あの西村すら今日はどうしたことかと狼狽して僕達の方を見ている。そんな彼らを見てこれ以上彼女に関わると命が危ないと思った僕は現在、必要最低限なコミュニケーションで授業を受けている。『触らぬ女神に祟りなし』と心で考えているのだが、どうにも落ち着かない。


そこで僕は担任の先生にバレないよう、僕は彼女に質問内容を書いた紙きれを渡した。すると、その紙切れの余白の所に何かを書きだした。




























騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様 騎士様


好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き 好き


愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 愛してる 


ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ ラブ



























ヒェェェ....。な、何だあれは。『余白を全部埋めてやる』という謎の強い意志を感じる。というより、あれは単純にヤバい。何というか女神の中の解放してはいけないなにかを昨日、出してしまった気がしてしょうがない。それとも恋をした女子なら誰でもあんな風になってしまうのだろうか。


もし黄金の黒騎士の正体が僕だとバレたらなんて考えてはいけない。言えることは、なんとしても『僕=黄金の黒騎士』であることをバレないようにしなければならないということだろう。


僕はなんとしても彼女に落とされないようにしなければと改めて決意した。

お読みいただいてありがとうございます。


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