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第8話 クラーケン

ハゲ男たちは 自信ありげな顔をしてこちらにやってきた。


「リーファさんと別れる 覚悟はできたか?」


「勝負の内容は?」


ハゲ男は 小さな札を取り出した。


「勝負は我々の街の祭り行事、伝書配達ゲームで戦ってもらう。

これは 囚われの人質に伝書を届けた英雄の話が元になって始まった行事でな。

ルールは簡単、初めにチームは互いに人質を一人つづとる。

そして残りの3人のうちの誰かが 伝書と呼ばれるアイテムを相手陣地にいる人質に届けることが出来れば勝というゲームだ。

簡単だろ?

ただし 敵の二人にタッチされて「タッチ!」と言われてしまった場合は 捕まったやつも捕虜となってもらうがな」


つまり 鬼ごっこか。


普通の鬼ごっこと違うところは 仲間を開放できるのは伝書と言うアイテムを持った人だけということ。

伝書は 見つからないように隠し持つとして、それから下手に 敵につかまれててもダメだ。 

はがいじめなんかにされたらすぐに「タッチ」をされて捕まってしまうから距離感は大事だろうな。

いいぞ 俺もアケミも子供の頃に 経験している遊びじゃないか。


そして ゲームは始まった。


こちらからは リーファが人質に。

あちらからは 目の下にクマの出来た細身の男が人質になった。

誰が人質でも構わないが 本当に兵士志望なのか疑わしい男だ。


敵陣営に着いたリーファが柱の手前に立って 手を振る。

柱の周りには円が書かれていて人質はその円からは出られないようだ。

そして敵の目は俺の方を睨んでいる。


「愛してるわ~ 早く助けに来て!」


敵はリーファに好かれている俺が伝書を持っていると思うだろうな。

まずは 俺が敵の間を目がけて突進する。

案の定敵は 二人で俺の方に向かって走ってきたぞ。

特にハゲた男は笑顔を浮かべているぜ。 まずは一人捕まえたとでも思っているんだろ?


だがそうはならない。

思い切りバックして後退するのと同時に 付いてきたハゲをアケミとミリーで「タッチ」ててしまう作戦だ。

初心者だと侮っていることがお前らの敗因だ。


適度な距離感に足を踏み込んだ時に 踏ん張って後ろに進行方向を切り替えた。


スパ!!


銀色の光る刃物が俺の服をかすめた。


「何だこれは?」


後ろに飛びのく予定じゃなかったら切られていたかもしれない。

ハゲた男を睨みつけると 剣を持っていた。


「ゲームと言っても試合なんだぜ、武器くらい使うわな。それに今日は俺にとっての記念日なんだ。名家に伝わる剣で斬られるがいい がははは。」


ハゲた男は剣を振り回しながら こちらの陣地に入り込んでくる。

「うりゃ!」という掛け声とともに ハゲが陣に入ってくる。。

下がるしかないのかと思ったそのとき


スパ!!! グサ・・。


背中に何かが付き刺さった。

後ろを振り返ると 柱にいる人質の男が吹き矢をこちらに飛ばしてきたのだ。


また ハゲた男はヘラヘラとわらいだした。

「真剣勝負だからよ。 円の外へ出なければ仲間を助けたっていいんだぜ」


後ろには吹き矢、前に進めば剣という状況になってしまった。

そんなとき ローブがハゲと俺の間に入り込んだ。

そしてミリーは両手に剣を握ると早業で武器を絡めとってしまった。

剣が柔らかくしなっているように見えた。


「ミリー 助かったぜ」

「兵士の試験であるにも関わらず丸腰の相手に襲い掛かるとは卑怯。助太刀に参った」


ハゲの男は後両手を挙げてずさり 数歩下がったところで合図をしたかのように両手を振り下ろした。


「二人係であの女剣士をやれ!伝書を持ったあの男は俺が はがいじめにしておく」


ミリーが突然震えだし両手で脇を抑えるとガクガクと 座り込む。

「ふ。。ふ。。たりだと 二人の殿方に迫られたら!囲まれたら!掴まれたら!壁ドンされたら!

私。。緊張しちゃう。なんて喋ったらいいの? 受け入れちゃうの?私 そんな恥ずかしい事するの?

キャーーー!はずかしい」


ミリーは 正義感は強いけどコミュ障だった。

二人の男性は ミリーの肩に手を当てて「タッチ!」を宣言した。


ミリーは 幸せそうな顔で鼻血を流してしまったが しかしその隙を見てアケミが叫ぶ


「あれれ 敵陣ががら空きじゃない。」

アケミは自分の胸元を 指さすと前かがみになり胸の谷間を強調するポーズをとった。


「伝書を持っているのは 私でした あっかん べぇ~(私の鬼ごっこを見せてあげる)」


全員がアケミに見とれる 

胸の谷間の重力に視線が吸い込まれていくのを感じた。俺も見とれた。

そして 走り出したアケミは3人の男たちにタックルをされて倒されてしまうが

男たちは アケミを捕まえたのになかなか「タッチ!」の宣言をしない。

楽しんでいるのだろうか?

きっといい匂いもしているに違いないが

痴漢にならないギリギリのラインで楽しんでやがる。

アケミの顔を見ると 男たちを見下す視線で微笑んていた。

そう アケミにとって鬼ごっことは自分をアピールできる場所なのだ。

子供の頃からどんな鬼ごっこしてるんだ!

だけど 十分だ。


「はい伝書! リーファ救出だ」


敵が振り向くと リーファのとなりにトシユキがいた。


トシユキはリーファに伝書を渡す。

すると


リーファは 伝書を掲げてアケミに手を振ると

アケミも起き上がり 可愛くウィンクを返した。


「みんなで勝ち取った一勝ね(ほぼ私の魅力だけどね)」


こうしてゲームは俺たちが勝った。

それにしても勝負が終わってからリーファが まとわりついて離れない。

「トシユキに リーファ また 守られた。好きなら リーファに好きって言えばいい」


腕に手を回して ギュっと胸を押し当ててきた・・・胸はないけど何のアピールなんだろう??


「うわぁぁぁ!!!!!!!!」


ハゲた男が 頭をかきむしる。

かきむしった頭は 真っ赤になり湯気がでそうに見えた。


「なんてことだぁ リーファさんをあんな奴に取られてしまうなんて!

よりにもよって 俺様の誕生日に一目ぼれしたリーファさんを!

奪われてしまうなんてぇぇ!

どうなってるんだよ! 世の中間違えてるよぉ~!」


大地が揺れ始めた


ゴゴゴゴゴゴゴ


ハゲた男の周りには ピンク色の魔方陣が取り囲み男から何かを吸い取っているように見える。

しばらくすると男はもがき その場に気絶をしてしまった。


ゴゴゴゴゴゴゴ


魔方陣の色が反転したかと思うと地面から 巨大なイカのモンスターが現れた。

クラーケンだ。


俺も 興奮した気持ちを開放してニンニクマンに変身んだ。


「ニンニクマン!! とぉ~!」

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