第二十八話 魔族の起源
「こ、こん……な奴隷どもに……うがぁぁ……」
レインベルの竜紋剣で真っ二つになってるのに、まだ喋る事が出来るなんて……。悪魔と言う生物はとてつもない生命力を持ってるんだな。
よし、問題なくガーゴイルもう一体も撃破。
こうして三人を見るとそれぞれ得意な所が突出して偶然にもバランスが取れていて僕も作戦を立てやすい。
リラは接近、ネファーリアは遠距離、レインベルは丁度その中間ぐらいで、前衛にも後衛にもなれる。
修行を怠らなかったからきっと今の彼女がいるんだろうな。素直にそう伝えたんだ。
「竜騎士だけじゃなく、魔法剣士としてもちゃんと成長してるね。レインベル」
「アスト…………さぁん……。ぐすんっ」
あ、あれ? 褒めたつもりだったのに、何で泣きそうになってるんだ? 今の何かマズかった……かな?
「その……レインベル、ご、ごめ」
「あり……ありがとうございますぅっ!! 幸せです!!」
「え?」
「アストさんがあたしを褒めてくれたぁ……アストさんがぁ⭐︎ えへへ……えへへへへへ♪」
よ、喜んでるみたいだし……ま、まぁいっか。
ネファーリアとリラの頬に刻まれた印もなくなってるし、支配が解けたんだな。
倒したから効力を失ったのか。だったら悪魔を倒す事で支配されてる人間や魔族を解放する事が出来るかもしれない。
ネファーリアとリラを起こして無事を確かめた後、三人に話すとセレスティア様が悪魔と魔族について話しておきたい事があるとの事。
人格が入れ替わったレインベルの表情の変化には毎回驚いてしまうよ。
目つきがガラッと変わるんだよな。
「悪魔はの、元々神に属する者なんじゃよ。しかし欲望のままに我儘に同族同士でも争いが絶えんかった悪魔達に、痺れを切らせた神は、地獄と呼ばれる世界に閉じ込めたんじゃ」
悪魔は神に属する者? と言う事は元々は悪ではなかったと言う事なのか?
セレスティア様の話だと、神界と呼ばれる神様だけが住む世界に悪魔も住んでて、秩序を乱したりしたから罰を与えた
。それが地獄への追放だったんだな。
「あの様な醜い容姿も神罰だと言われとる」
セレスティア様の話は続く。
地獄に閉じ込められた悪魔達は、それでも神に属する存在。何とかして次元の壁をぶち破り、偶然にも人間界と繋がってしまった。
この時、悪魔達は思った。
自分たちよりも低俗で力も弱い人間に、神は何故あんなに美しい容姿を与えられたのか。
悪魔達は人間を、そして神をも深く嫉妬し、やがて憎しみに変わってしまった。
何としてでも人間の容姿を手に入れたかった悪魔達は、無理やり人間達と交わると言う行為を何世代にも渡って繰り返した。
それで出来たのが魔族だったんだ。
ネファーリアやリラが人間の容姿に変身出来たのは、人間のDNAも混じっているからだったんだな。
「わたくし達魔族が……人間と悪魔のハーフ……だったなんて……」
「うぇ〜! こんなブッサイクなヤツらの血が混ざってるなんて考えたら……死にたくなるぜ……」
「ネファーリア、ここが過去の魔界で君の支配領域だった所なら〝例の器〟は何処にあるか分かるかい?」
「はい。その器は〝流印の壺〟と呼ばれ、魔導神様の御力が封印されているとラアダ族に古くから伝わる神聖な壺なのですが……」
ラアダ族。ネファーリアの種族の名前が確かラアダ族だったっけ?
「そうか、この時代にその壺があるのか分からないって事か」
「かつては、邪悪な神々が所持していた神物だったとも言い伝えられております。邪悪な神々と言うのが悪魔の事ならば、流印の壺はこの時代にきっとあると思います」
「とりあえず、リア姉の城に行こうぜ! 悪魔がうじゃうじゃいそうで、なんか……怖ぇけど先生がいれば大丈夫だぜ⭐︎」
と言って僕に抱きついて来るリラ。
む、むね……が……偶然当たるってレベルじゃないな。
この娘は本当無防備過ぎて困る。そわそわしてる僕を眺めながらニコニコ微笑んでるところを見てると、リラ……わざとやってるんだな……。
「ちょっ、ちょっとリラ! やめてくれ! 離れてくれ!」
「ん〜♡ やっぱこうすると落ち着くぜ〜♡」
「リラティナスさん……アストが困ってるので引き剥がしますね」
ギュゥゥン!!
「な……なん……だこ……れ……」
引き剥がした。と言うより、ネファーリアに吸い寄せられたと言った方が正しいかも。
魔力が使えるようになったとは言え、リラの弱点は相変わらずその防御面。抵抗する手段が攻撃一点しかないリラはネファーリアの魔力から逃れる術を見出せないんだ。
これまで各々修行を見て来たけど、三人一緒にはまだ一度もやった事なかったし、頃合いを見てちゃんと三人一緒に見てあげた方が良さそうだ。
連携も取りやすくなるだろうし、それぞれの弱点を知る事も克服にも繋がるし、フォロー出来る動きをもっと増やせると思うしな。
「良くやったぞネファーリア。全く……油断も隙もありゃせん娘じゃよ」
気を取り直して。
「……よし、とりあえずネファーリアの城まで行ってみよう。ネファーリア、案内してくれるかい?」
「勿論です! 雰囲気は随分と変わってますが地形そのものはそこまで変化はありませんので、ご案内出来るかと思います! こちらです!」
ネファーリアを先頭に歩き出した時だった。
まるで空に暗黒のベールで覆い尽くされてしまったかのような圧力。
ここにいる誰もが感じた。大きな魔力が三つ。でも一つだけは強さが桁違いだった。まだ姿が見えてないのに魔力だけで押し潰されてしまいそうな。
これは……僕が闇の極大励起状態になったものと似ている。
闇の力を扱える悪魔か。パッと光と共に空中に現れた三体の悪魔。
真ん中の小さなガリガリの悪魔が親玉だな。両脇の悪魔は恐らく側近だろう。この二人も強そうだけど真ん中は桁違いに凄まじい圧力を感じる。
「ほう、貴様らか。我が地獄に侵入したと言う勇気ある奴隷どもは」
数珠繋ぎになったドクロの首飾りに、ドクロの杖、魔導士のようなローブを纏ったワニ顔の悪魔。一件貧弱に見えるんだけど、見た目とは裏腹に恐ろしい魔力。
「なるほど。そこの人間、貴様が……アスト・ローランだな」
「「「「な!?」」」」
声を揃えてみんな一斉に驚いてしまう。だってここにいる悪魔が僕の名前を、しかもフルネームで知ってるはずがないんだ。
僕はこの時代にいない人間。つまり僕を知ってると言う事はこの悪魔も未来から来たと言う事。
ただそれなら疑問が残る。悪魔は僕らの時代には確認されていない。
ましてや魔族のネファーリアやリラが知らないのは変だ。
「お前は何者だ!! 何で僕の名前を知ってる!?」
「我は地獄を支配する、悪魔を統べる魔王、ロズだ」
「ロズ!? ……魔王ロズ……お前が……魔王ロズか」
「確かに人間のくせに、感じた事のない不思議な魔力を秘めてるな」
ん? 確かに?
「本当に貴様のその力が、神をも超える偉大なる力なのか、少し力を見てみるか」
「みんな来るぞ!!」
こんな状況でも僕は戦えない。戦えないけど上手く指示すれば……僕らは絶対に……。
「負けはしない!!」
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