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第五十七話 共有


「ユ、ユリウス!? こんな所で何してるのよ貴方……」


「どうしたんだよリミア。そんなにビックリしたような顔して」


「…………?」



 と、話すユリウスに違和感を覚える。姿、声、どこを見てもユリウス本人には間違いないのだが何かが違う。

 それに自分に対して高圧的で敵意剥き出しだった人間が、今は優しいトーンだった。



「こんな所にいたらシャドウに憑依されるわよ! なんで来たの!?」


「安心してよリミア。もう終わってるよ」


「リミアさん! その者はシャドウに憑依されております!」


「え!?」



 空にいたネファーリアが声を飛ばしながらリミアの元へ降りて来る。魔族には〝臭い〟でシャドウを見分けられる事をリミアも、そしてユリウスに憑依したシャドウも知らなかったのだ。

 

 ユリウスに抱いていた違和感の正体が何だったのか、リミアがそれを分かった頃には頬を殴り飛ばされ体が宙に投げ出されてしまうが、受け身を取って綺麗に着地した。

 その隣にネファーリアもスッと着地する。



「なんか変だと思ったら、そう言う事ね」


「わたくしは霊神術で、あの者の体から追い出します! その間何とか注意を引きつけて下さい!」


「くっくっく。そうはさせんぞ魔族よ! お前から殺してやる!」



 ユリウスの口元が吊り上がったと思えば、急加速でネファーリアの懐に入って殴りかかった。



 ガシ!!



「分かったわネファーリア。思い切りぶちかまして頂戴」



 リミアは猛スピードで接近してきたユリウスの動きを捉えていた。直ぐに戦巫女のスキル【神風】でネファーリアへとパッと移動し攻撃を防いだのだ。

 


「リミア、何で邪魔をするんだ。 俺達仲間だろ?」


「いつまで演じてるのよ。お化けさん」



 戦巫女の裏奥義【幻刀一閃】の構えを取りながら、魔力を高めていくリミア。そうはさせないと、ユリウスが突っ込んで行くのであった。




-Ast Side-





 指輪のように紋様がシュルシュルと小指に巻き付いて行く。

 そして光が落ちつき黒く刻まれた。ネファーリアとはまた紋様の形が違うんだな。



「お、終わりました! ……あぁこんな日がまさか来るなんて……♡」


「ごめん、早速だけど幻竜の女王様の記憶を共有させてくれないか?」


「すすみませんそうでしたね!! セレスティア様がご説明されるそうです! 今代わりますね!」



 そっか。確か共生してるって言ってたな。自分の中にもう一人の人格がいるってどんな気分なんだろうか。

 きっと僕とフュリンみたいなものなんだろうな。フュリンまだ眠ってるのか……おい! フュリン! どうしたんだろ……。

 って、え? え? ちょっとレインベル!?

 いきなり抱きしめられたんだけど、何で……?



「おぉ〜妾の愛しき旦那様じゃ〜♡」



 わ、わらわ? もしかして女王様に変わったのか?

 そう言えば何となく目つきが変わったような……。



「あ、貴方が女王様……ですか?」


「なんと! 女王様などと他人行儀な〜「セレスティア」と呼んで下さらんか旦那様♡

さあ旦那様、夫婦の証に熱い接吻をん〜♡ ……ええい! 五月蝿いレインベル! な、なんじゃと……じゆ……うが効か……んぞ」


「あ、あの……」



 抱きついたり離れたり、同じ一人の人間なのに僕に抱きつこうとするセレスティア様と離れようとするレインベルに綺麗に見分けられるんだ。

 事情を知らない人は凄く滑稽に映るだろうな。


 聞くところによると、レインベルと契約してからセレスティア様が表に出てきたのは今回が初めてらしい。

 力だけじゃなく容姿も合わさって、ドラゴンの尻尾に黒髪の綺麗なロングヘアはセレスティア様の容姿なんだろうけど、顔つき、以前は少女と言う印象が今は大人の色気を感じる女性の雰囲気が漂ってる。


 セレスティア様に代わってからさらにその色気が増してなんとなく……目を合わせるのが恥ずかしいと言うか……。目が合ってしまったら頭がおかしくなりそうで……。

 違う、こんな事考えてる場合じゃなかった。



「セレスティア様! 記憶の共有をお願いしたいのですが」


「分かっとる。シャドウを別の次元に飛ばしたいとの事じゃったな。ならば幻竜神界へ飛ばすのじゃ」


「幻竜神界……セレスティア様の世界ですか?」


「流石、我が旦那様じゃ。人間界、魔界のさらに上の次元に存在する世界、幻竜神界。ここにシャドウを送れば問題も解決できるじゃろうて」


「本当ですか!? 分かりました!」


「妾の手を取られよ旦那様」



 セレスティア様はそう言って僕の手を握る。



「おぉ……旦那様は凄く優しく強い魂をお持ちじゃのう。妾の方が長く生きておるのに、幼く思える程イケてる魂じゃ♡」


「…………あ、ありがとうございます……」


「さあ旦那様、次は妾を優しく抱くのじゃ」



 僕は言われるまま、セレスティア様を抱きしめる。



「……あの、本当にこれで共有出来るんですか?」


「もっとギュウゥゥっと強く抱いて下さらんか旦那様♡」


「大丈夫かなぁ……」



 なんかセレスティア様のペースに乗せられてるけど、こんなんで記憶を共有出来るのか。だけど僕はもう言われるままやるしかないんだ。さらに強く抱きしめた。



「あぁ……良いのう♡ こんなにドキドキしたのは何年振りじゃろうか……千年振りか? よし! 旦那様最後の仕上げじゃ。妾に熱い接吻をして下され♡」


「い、いい加減にして下さい! みんな僕の帰りを待ってるんですよ! こんな事してる場合じゃないんです!」


「焦るでない焦るでない。記憶の共有を望んでおるなれば、これが最短ルートなのじゃ。妾の魂を愛でいっぱいにしなければならんのじゃよ」


「ほ、本当ですかそれ……」


「妻である妾を信じられんとは……旦那様あんまりじゃ〜! うえぇぇぇぇぇぇぇぇぇん!」


「え!?」



 な、泣いた!? それも子供みたいに……。

 僕達よりも何千年も生きて来られて、色んな経験を多く積んだのが幻竜神界を統べる女王じゃないのか。

 僕の想像を遥かに超える現実とのギャップに、空いた口が塞がらなかった。

 しかも、全然泣き止まない。こんな事してる場合じゃないのに……もぅ。



「わ、分かりました! 分かりましたよセレスティア様! き、キスすれば……い、いいんですね!」



 ピタッと泣き止み、満面の笑みでコクコクと頷いた。



「うむうむ! あぁ……愛しき旦那様……♡」



 僕は軽くセレスティア様の唇に口づけをした。

 その瞬間、目の前に幻竜神界の記憶が映像として見えた。

 人間界、魔界よりもさらに高い次元に存在する幻竜神界。

 見た事もないのに行った記憶があると言うのはとても不思議だけど実際今の僕はその通りになっている。

 それとセレスティア様がさっき言ってた〝問題も解決できる〟と言う真の意味が分かったんだ。

 だから、幻竜神界を指定したんだな。僕をからかってた訳じゃなかった。



「うむ。これで共有出来たぞえ」


「はい! 確かに! これでシャドウを()()ます!」



 みんな時間かかってしまったけど今戻るから!

 僕は急いでエスハイムへとワープした。


第五十八話は9月2日予定です。

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