第四十話 力に恐れた日
会場内がピタッと止まり、騒めきだす。
僕の目の前のコアが完全に消えて無くなったんだけど……。
どんな衝撃も吸収するから絶対に破壊は出来ない、だから思いっきりやって構いませんって聞いてたのに。
「お、おい……あの人間、コアを消滅させやがったぞ……」
「あ、あぁ。なんだ……もしかしてあいつとてつもねぇー実力者なのか!?」
「確かリラティナスのパートナーだろ? リラティナスのパートナーの中で今回の奴が一番、やべぇんじゃねーか!?」
観客が僕の事を話してるのがモニターから聞こえてくる。
どうしよ。これってまさか……失格になるのか?
係員達が集まって、何かをやり取りしてる。
その内の一人が僕の方に駆け寄って来た。失格……?
「新しいコアを用意しますので、もう一度お願いします」
と、走って行こうとした係員が、苦笑いを浮かべながらまた戻って来た。
「あの……出来ればもう少し、抑えてお願いします」
「は、はぁ……」
数名の係員達によってコアが運ばれ、再び僕の目の前に浮いた。
少し抑えて……オーバードライブはやめておこうか。
周りの視線が痛いな……そっか、あとは僕だけなのか。
オーバードライブはなしで、抑えて……。
「よし! だぁっ!」
ズドォォォーン!
お! 壊れなかった! よし!
「……さあ! みなさぁぁん! コアトラブルのようでしたが、只今測定しておりまぁぁす! 今回、ただ一人の人間の参加という事で、バトルアリーナの参加は何方でもオッケーですからねぇぇ! おっと、計測完了との事なので行きますかー!!」
ホストがモニターを確認してる。
これで十位以内に入らなかったら、ネファーリアの領域を渡さなければならなくなる。
だけど、全力でやるとコアを破壊してしまう……。
係員に抑えろと言われ、僕はかなりビビったんだと思う。
全力の半分も出せてなかったんだ。
恐らく点数はかなり低いだろう……。
でもまだ希望はある! リラが一位を取ってくれたからな!
信じよう。十位以内ならいいんだ。
「えぇ……いち……じゅう……ひゃく、せ、せん……え!? ろ、ろろ……ろろ……ろ、ろろく」
「おい! ホスト!! ちゃんと点数言えよ!!」
「聞こえねーんだよバカヤロウ!!」
野次が飛ぶ。
「ごほん。えーアスト・ローラン選手の点数はろ、645023700ポイントです……」
「へ?」
「おい、あのホストいくつだっていったんだ?」
「ろ、…………六億……」
「ろくおくぅぅぅ!!?」
何かの間違いだと言ってその後、僕だけ何回も測定し直した。
だけど結果は六億五千万前後、点数は変わらなかった。
「せんせー!! やっぱ先生はすげぇ♡ 強いな! あたしも最初はコアが故障したのかって思ったけど、親父より強ぇぇよ絶対!!」
って、リラは言ってくれたけど、僕は自分で自分が恐ろしくなった。
点数にすると余計に怖くなってしまったんだ。
あのとてつもない破壊力のあったリラでも千いくつのポイント。
ここにいる魔族は決して弱くはない。
僕が異常なまでに強すぎるんだ……。
僕は通常の状態の半分以下の魔力で臨んだ。
導師の力は、とてつもなく危険な力なんだ。使い方を間違えると、世界そのものの在り方が変わってしまう。
僕はこの時から、導師の力を恐れるようになった。
「さ、さぁ! これで順位が決まりました!!」
モニターに順位が表示された。
第1位 リラティナス&アスト・ローラン
645,025,086pt
第2位 アラベル&フローミア
1671pt
第3位 アンリーモス&ギガゼル
1602pt
第4位 マディラ&イェフニール
1328pt
第5位 シスミンク&レッサーレン
1288pt
第6位 ナイルトン&ベスモ
1174pt
第7位 ルーアマリ&ニル
920pt
第8位 ヤミック&ヴィスタール
886pt
第9位 アングトン&ハイマイエンス
869pt
第10位 ムハングス&ラップリー
828pt
「皆さん、チェックしましたねぇぇ!? 今回の戦獣祭! アリーナへの出場は以上のペアと決まりましたぁぁー!」
「うぉぉぉー!!」
「待ってたぜぇぇ!!!」
「早く始めろぉぉ!!」
す、凄い歓声だな。
僕達、第十位までのペアはアリーナへの道が開かれる。
各コアバトルエリアに二階へと続く階段が出現し、上がって下さい、と係員に声をかけられた。
いよいよ本番か。
僕はセカンドだからリラをサポートすればいいんだよな。
ふぅ……サポート役で本当良かったよ。
「先生♡ 先生とだったらマジで優勝出来そうだよ」
「リラ、さっきの点数の事を言ってるんだったら」
「違う! 先生といると心がすげぇ安心するんだよ。先生だったら……先生だったらもしかしたら……」
「…………?」
「……………………ううん、何でもない。あたし、頑張るぜ! にゃはは⭐︎」
そうか、今になって思った。
そうやってリラは笑うけど、その笑顔の奥には冷たい闇が隠れている。
リラはそれを隠そうと笑ったり、僕に抱きついてみたりするんだと思った。
リラには何か闇が隠れてる気がする。
誰にも打ち明けられず、親のライミフォンも知らない問題が。
それが〝暴走〟と関係してるのかも知れないな。
階段を上がり、大歓声の中僕達はアリーナへ飛び出して行った。
第四十話は、本日19時頃を予定しております。
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