第三十九話 一撃に全てを乗せて
一部意図的に漢数字ではなく、アラビア数字にしてます。
コアバトルエリアと言う会場へとやってきた。
会場の中心に丸い物体が浮いてるのが見えるが、あれが〝コア〟だな。
予選では試合はせずに、このコアを攻撃して計測される点数によって高い点数を取ったペアが勝ち残ると言うものらしい。
ファースト、セカンドの順番でコアを攻撃していき、合計点数で競うようだな。
「さあ! 皆様! 大変長らくお待たせ致しましたぁ〜!!
戦・獣・祭!!!! メリュナアドの魔族のみんな〜、ついにこの日がやって来たぜぇ〜! まずは予選のコアバトルだ! これを見逃すと明日の太陽拝めないぜ! check it out!!」
バトルアリーナ内が「うおぉぉぉぉ」と言う大歓声で埋め尽くされる。
とてつもない熱狂ぶりに僕は圧倒されていた。
バトルアリーナ、実際に試合する所は二階で、僕達がいるのは一階のバトルコアエリア。
観客も直接僕達を見てる訳じゃなく、バトルアリーナの中心に浮いてる巨大なモニターを通して観るようだ。
つまり予選で勝ち残った者達にのみ、生の歓声を聴くことが出来るんだ。
こんなの初めてだから……なんだか緊張してきたな。
ふと隣にいるリラティナスを見てみると、丁度同じタイミングで僕の顔を見上げて、ニコッと微笑みをくれた。
さっきちょっとだけ表情が重くなったから心配だったけど、大丈夫そうかな。
〝毎回大会で暴走してペアの仲間を殺しちゃうんだ〟
〝決勝前になると頭がおかしくなるんだ〟
今は考えるのはやめておこう。
よし! 準備だ!
「さあ! まずはファーストはスタンバイして下さい! 力のコアか、魔力のコアか、選びましょう!」
「リラ! まずは予選突破だ! いつもの君でやれば問題はないよ」
「リラ……? 先生、リラって……」
「ん? あぁ……愛称だよ。リラ、気に入らないかい?」
「せ…………せんせぇ〜!」
目をうるうるさせて僕を見つめる。感動してるのか?
な、なんで……。
あ! こら! また抱きついて……。
大勢の観客がモニターで見てるんだぞ!
離れなさいって!
「先生、優勝したらあたしを支配してくれるって約束……破っちゃダメだからな!」
「え?」
そう言ってリラはコアの前へと歩いていく。
約束……お酒で酔っ払ってたせいもあってよく覚えてないけど、否定するとまた言い寄って来そうだしな。
まあネファーリアと同じく強くなるんだったらいっか。
とにかく、この予選は突破しよう。
ファーストの戦士が全員コアの前に立った。
力と魔力、得意とする方を選んでくるはず。
ここでリラと他の戦士との力の差がどれ程あるのか、見極められるぞ。
「さあ! ファーストが全員スタンバイオッケーとの事なので早速予選、コアバトルのスタートだー! 十二万六千三百のペアから、アリーナに上がれるのはたったの十名!! 狭き登竜門だが、果たしてどのペアが勝ち残るのか!! それでは……はじめ!!!」
ファーストの戦士が物凄い勢いで一斉にコアを攻撃する。
恐ろしい人数の強者達が一度にコアに向かって自分の今出せる力を振り絞って一撃を繰り出すんだから、それはもうとてつもない衝撃。バトルアリーナ全体が地震のように揺らめいた。
会場内の観客は興奮してさらに沸き立つ。
恐らくこれも恒例イベントなんだろうな。
ある者は力任せに、そしてある者は魔力を乗せて、どちらにしても拳でコアを殴ってその破壊力がポイントになるという訳だ。
ファーストの計測が全て完了すると、僕達一人一人の目の前に小さなモニターが現れて、選手の名前、力か魔力のどちらを選んだのかのカテゴリ、そしてポイントが表示されていた。
この領域のテクノロジーは人間界のどの国よりも進んでるんだな。
知りたい情報を頭に浮かべるとモニター内のページがスッと変わって表示されるんだ。
例えば五位は誰だったのかと言う疑問を浮かべると、勝手にページが開いてくれる。
ん? リラは? どこにも載ってないんだけど。
あれ……四位から上が確認できないぞ。
と、思っていたら。
「さあ! まずは第三位です! …………912点!!! アンリーモス選手でぇぇす!!!」
「うぉぉぉぉー!!! アンリーモスやりやがった!!!」
「912だってよ……恐ろしい破壊力だな……」
「流石アンリーモス!!! 毎年アリーナに上がってくるだけの事はあるよな!」
アンリーモスは、結構人気者でファンが多いんだな。
「続きまして第二位! ………………955点! これは大きくリードしましたね! この点数を叩き出したのはぁぁぁ〜! アラベル選手です!」
「おぉ! アラベルか!」
「おめえやるじゃねぇかよ!! アラベル!」
「アラベルの奴、アンリーモスを抜きやがったぞ……」
アラベル……アラベルって、僕達をライミフォンに会わせたあの魔族か?
そんなに強かったんだな。あの時の【烈炎弾】は大した事なかったし、本気じゃないのは分かってたけど。
じゃあリラは……一位か?
だってモニターで確認した時は何処にも載ってなかったしな。
一位なんだ。
「さあ! コアバトル、ファーストの第一位を発表したいと思います!えぇ〜。せ、せ……1386点……今年も凄いなぁ……。第一位!!! 相変わらずの美しい我が戦獣王の娘、リラティナス選手です!!」
「リラティナスちゃーーーん!! 俺に支配させてくれぇぇぇ!!」
「完璧すぎるぜリラティナス! 全てにおいてパーフェクトだ!」
「暴走さえなけりゃな〜、めちゃくちゃ応援すんのによ〜」
リラの人気も凄いな。
僕の元へと戻ってくると、ハグしてと言うポーズを取った。
「先生♡」
「だから人前で」
「えぇ! あたし頑張ったのにぃ? 一位だよ? 一位! ね? いいじゃんかよ〜」
と、ブンブンと振る尻尾を確認して、はぁ、と溜息をついた。
「リラ、よく頑張ったね」
僕は微笑んで思いっきり抱きしめた。
二位のアラベルとあれだけの差をつけるなんて、じゃあリラの破壊力は、相当のものなんだな。
リラ……もう離れてくれないか。
って、全然離れてくれない……。
おい……胸元が……自由にしすぎだろ。
下半身は白虎の脚のように〝獣〟と言う見た目だけど、上半身は完全なる人間の肌なんだ。
ネファーリアもそうだけど、何で魔族って薄着なんだろう。
特に女性に多いよな。
大胆すぎて……色々と疲れてしまうよ……ホント。
そんなに揺らしたら……無防備すぎて、見えてしまうぞ……。
直してあげたいけど、魔族でも一応女性だし、ネファーリアの件があるからな。
……でも、このまま放っておくと全部が……。
あぁ……こんなところネファーリアに見つかったら……。
「さぁぁて! お次はセカンドの戦士達だぁぁ!!」
「じゃあ、行ってくるよ」
さあ次はセカンド、僕の番だな。
ホストの人ナイスタイミングで、助かったよ。
気を取り直して、やってやるか!
コアの前へとやってくると、目の前にモニターが出てくる。
僕は魔力のコアだ。モニターは僕の意思を受け取って魔力のコアと表示された。
すると、コアの色が青くなる。さっきリラの時は赤だったな。
魔力のコアは青か。
「皆スタンバイオッケー? 栄えある栄光のアリーナへの出場権は、どこのペアが勝ち取るのか!! セカンドォォォ〜ファイト!!!」
コアバトルのルール、一撃の威力を計測するから
何発も殴ってはいけない。
一撃にどれ程力を込められるかが、鍵となる。
コアはどんなに強い衝撃にも耐えられるように設計されてるから、思い切り本気でやってくれて構わないって聞いたんだ。
せっかくリラが一位を取ったのに、僕で順位を落としたくはない。
ここは、全力を持ってやろう。
僕の奥の手、導師の奥義とも言える技。
今思えば赤いシャドウとの戦闘の時に、これで仕留めれば良かったんだけど、新しいシードをどうしても確かめたかった。
これは油断した僕のミスだ。だから……二度とそう言ったミスがないように、全力で戦う!
導師の奥義。
「オォォォバァァァァドライブ!!!」
ギュウゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーーーン!!!
全身が光のオーラに包まれシードが光の塊となって僕の周りをグルグルと回りだす。
「だぁぁぁ!!」
魔力をフルパワーにした僕の一撃。
言われた通り今自分が出せる最高の力で繰り出した。
ズドォォォォォォォォォォォォォォォーーーーーーーーーン!!!!!!
え? 嘘だろ……。
会場全員、そしてバトルアリーナの観客もまるで時が止まったかのように一斉にシーンとなった。
「こ、こ、コアを…………破壊……しちゃった……」
第四十話は、本日12時、間に合わなけば18時に投稿致します。
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