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第三十八話 予選開始

遅くなりました。


 今日から戦獣祭だ。

 ここへ来てまだ数日しか経ってないけど、メリュナアドの住人の変化が分かる。

 戦獣祭って戦獣王の王座を決める武術大会なのかと思ってたけど、文字通りお祭りだったんだ。

 初めてここに来た時から街が忙しなかったのは、みんなお祭りの準備をしてたって訳だな。



《なぁアスト》



 フュリンが頭の中で僕を呼ぶ。



《結局シャドウってどこ行ったんやろ》



 メリュナアド(ここ)にはいないと思う。

 あの戦獣王のライミフォンが侵入を許すはずないしな。



《まあ魔族には憑依出来へんみたいやし、この街に紛れてる可能性はないなー》



 シャドウの事はとりあえず後で考えよう。

 どっちにしても今は優勝する事に集中しないと。

 バトルアリーナは街の中央にあった。ライミフォンの神殿二つ分の超巨大な闘技場だ。

 リラティナスが案内してくれて、凄く助かるんだけど……。



「先生! 予選がんばろうぜ♡」


「頑張るけど……ちょっ……歩けないだろ」


「……………………」


「えーいいだろ⭐︎ あたしは強い奴が好きなんだ♡」


「…………っ!!」


《な、なぁ……ネファーリアの様子が……》



 フュリンの助言の通り、パッとネファーリアを見ると下げてる拳がブルブルと震えてる……な。



「リラティナスさん……アストから離れていただけますか。ほら……アストが困っていますので」



 うわっ! リラティナスが胸に抱きついてきた!

 ほら、降りろよ! みんな見てるし何より歩き辛いし……その……おもっきり柔らかいのが当たってるし……色々やばい状況だから降りてほしいんだけどな……。



「降りてくれ……!」


「あは⭐︎ 先生〜♡」


「アスト! 歩き難いですよね! 周りの目もあるかと思いますので!」


「う、うん」


「ほぉぉぉら……! リラ……ティナス……さぁぁん!」



 リラティナスの体を羽交締めにしたネファーリアが、僕から引き剥がそうと力づくで引っ張るけど、リラティナスは全くびくともしなかった。

 そうなんだよ、リラティナスに力じゃ敵わないんだ。



「はぁ……あぁぁぁぁぁーー!!!」


《う、嘘やろネファーリア!? あんたすんごい魔力…………》


「うぉぉ〜!?」



 ネファーリアの凄まじい魔力によって徐々にリラティナスが引っ剥がされていく。

 す、凄い……。

 ネファーリア、君……こんなにとてつもない魔力を秘めていたんだな。

 その超魔力に耐えきれず、スポーンッと言う音が聞こえて来そうなぐらい綺麗に引き剥がれた。



「お、お姉ちゃん……やるじゃんか……」







 なんだかんだあったけど、無事に何事もなくバトルアリーナ受付会場で受付を済まし予選開始のアナウンスが鳴るまで、僕達はロビーで待機する事になった。

 受付の時に〝ファースト〟とか〝セカンド〟とか言ってたけど、どう言う意味なんだろう。


 リラティナスに聞いてみると「あーそれは」と、説明してくれた。

 ファーストにエントリーした戦士がメインで戦う事になるらしい。

 僕はセカンドでリラティナスをサポートする。

 だから僕が敵を積極的に攻撃すると得点が減点されるから、あくまでもサポート役に徹さないとダメみたいなんだよ。


 勝利条件は、相手を戦闘不能にする。

 ただし、ファースト戦士がセカンド戦士よりもポイントが上回っている事。

 つまり、僕が相手を倒してもダメだって事だな。

 これは中々複雑で立ち回りが難しいな。


 予選は魔力と力がどれだけあるのかを競うものになってて、〝コア〟と呼ばれる物体を攻撃して計測してそのポイントが高いペアが予選突破するらしい。

 簡単に言うと、力と魔力が弱いペアは試合さえさせてもらえずに即退場って事だな。


 ファーストとセカンドで項目を選んで挑戦するか決めるみたいなんだけど。



「先生、あたしは力のコアでやるぜ!」


「そうだな。君の長所だし、いいと思う。て事は、僕は魔力のコア……か」



 ロビー内にアナウンスが鳴り響いた。

 戦士達は〝コアバトルエリア〟と言う所に移動するみたいだな。

 参加者がぞろぞろと歩いていく。



「アスト、リラティナスさん、頑張って下さいね」


「あぁ頑張ってくるよ。観戦ルームが二階にあるらしいから、そこでゆっくり観戦しといて」



 さて……と、受付でもらったカードがあったんだ。

 六千七百二十一番……僕達ペアの番号だ。



「お、おい……リラティナスじゃないかあれ……今期も出場するのかよ」


「ほんとだ……しかも人間とペア組んでるぜ」


「暴走女だ」


「また今回も暴走するんだぜきっと」


「あの人間気の毒によぉ。リラティナスがファーストじゃ勝てねぇわ……けけけ」



 なんかコソコソ聞こえてくるな……暴走女?

 リラティナスと目が合うが特に周りの声に何の反応も示さず、ただニコニコして待っている。



「気にしなくていいよ。毎年の事だから」


「あの……暴走女……って?」


「うん……………………」



 あ、聞いちゃまずかったか。



「ごめんな。今のは忘れて」


「先生、あたしさ…………毎回大会で暴走してペアの仲間を

殺しちゃうんだ」


「え? なんで?」


「分かんない……。決勝戦になると頭がおかしくなるんだ」



 頭がおかしくなる? どう言う事だろう。

 


「六千七百二十一番、リラティナス、アスト・ローランペアこちらへどうぞー!」


「あ! 呼ばれたな先生! いっちょやってやろうぜ⭐︎」


「あ、あぁ……」



 リラティナスに引っ張られ、僕はコアバトルエリアへと入って行った。


次の第三十九話は8月23日朝8時頃を予定しております。


ブックマーク、評価、本作品に関するご意見などいただければ幸いです。


また、本作品を手に取った方の中でここで執筆されている方がいましたら、紹介いただければ時間がある時に是非読ませていただきたいと思っているのでよろしくお願いします。


下の方に進んでいただくと☆☆☆☆☆と表示されていると思うので、本作品への応援をお願いします。


大変モチベーションに繋がり、良い作品作りの励みになります。


貴重な時間を割いてお読みいただきまして、ありがとうございます。

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