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第三十五話 全てを知る者 -Julius Side-

遅くなりました。


 レインベル。

 まさかここにいる全員が予想だにしない名前だっただろうな。

 この女は俺のプライドを傷つけた。

 何かにつけてアストアストアストアストアスト!!!

 いい加減ウンザリなんだよ。

 リーダーの俺を立てようともせずに、仕切るわ、出て来る言葉は説教じみたものばかり。

 だからレインベルにした。



「ちょっと! なんであたしなんですか!? 貴方の親なんて知りません! ユリウスさん、何を言ってるんですか!?」


「……すまないレインベル。もう黙ってはいられなかったんだよ」


「レインベルよ、ユリウスが言うには其方が後ろで操っていたと、こう申しておるが何か異論はあるか?」



 アーキノフは、一切表情を変えずレインベルの名前を呼んだ。

 どっちなんだ。俺の話を信じたのか……?



「アーキノフ様! あたしはオピュリス村出身の魔法剣士です! 以前アストさんにお世話になりました!

魔法剣士として一人前になったらお礼を言いに行こうと決めてました! ラムリースに来たのはその為です!」



 胸に手を当て呼吸を整える。



「勇者パーティーのオーディションがやってるって聞いたので、アストさんに会えると思って……アストさんが追放された事は、ここに来て初めて知りました。ゼノスさん達に聞いたんです。それだけです! ユリウスさんの話はデタラメです!」


「アーキノフ様、レインベルは隠してる事があります」



 おっと……いきなりゼノスが割り込んで来たな。

 どうやら俺の味方になってくれるようだが、まさか何も口裏を合わせてなかったのに、やるじゃないか聖騎士ゼノス。



「確かに私達のオーディションに参加し、新たなパーティーとして迎え入れました。我々はアストから呪いを受け、力が無くなったと言うのは先日お伝えさせていただいたと思いますがレインベルは、これを知りながら我々を無理やり試練の洞窟へと連れて行き、我々は魔物と戦わされました」



 クウォンが続く。



「レインベルはアストだけじゃねぇ、俺達も憎んでるんです! だから、何度も何度も戦って俺達は本当に死ぬ寸前でした!」


「そ、それは……」


「勇者パーティーは、勇者ユリウスがリーダーのパーティーです。ユリウスの指示も聞かずに、戦闘に参加せず、ピンチの時にも助けてくれない。ただ私達が魔物に痛ぶられるのを後ろで笑って見てましたよねぇ」


「ち、違います!! みんなの為にあ、あたしは!! どんな……人間も見捨てない……って」



 アーキノフの表情はまだ冷静だな。

 眉一つ動かさない。

 ゼノス、クウォン、ヴァール、今日ほどお前達を評価出来る日はないだろうぜ。

 認めてやる、お前達は俺の仲間だ。

 くくく、レインベルめ! 俺に舐めた口を利くからこうなるんだよ!

 さあ、追放か死刑か、どっちだろうな〜おい……ぐっふっふ!



「レインベルよ、其方はアストに会いに来たと言っておったが、アストを信じておるか?」


「は、はい! 勿論ですアーキノフ様! あたしは間違ってました。まさかゼノスさん達が……こんな……こんな最低な人間だったなんて……」



 レインベルの目に涙が溜まり、ツゥーッと落ちる。

 いやいや、最高の仲間だよレインベル。

 俺の選択は間違ってはいなかった。

 さあ、アーキノフ! 一思いに下してやれ!



「そうか……」



 一息ついて考える間も無く、アーキノフは次の言葉を口にした。



「レインベルを捕らえよ」


「そ、んな!?」


「試練の洞窟の件は、ギルドで記録が残っておるのだ。よって、ゼノス達の証言は真実であると判断した。レインベル・クルセウムよ。貴様を拘束する。刑は追って告げる」



 うっしゃぁぁぁぁぁ!!!

 ざっまぁ〜みろ!! バカタレが!! クソッタレが!! ムシケラが!!

 俺は勇者ユリウス様だー!!

 俺に逆らうとこうなるんだよ馬鹿め!!


 くくく、レインベルは兵士と一緒に地下牢か?

 もしかしたら死刑か?

 俺の言う事を聞いておけばこんな事にならずに済んだってのに、馬鹿だぜ。



「ユリウス、ゼノス、クウォン、ヴァールよ。まだ終わっとらんぞ」


「え……?」


「本題は……ここからだ」



 なんだと……!?

 これで終わりだろうが。アストが偽りの勇者だったのは間違いだった。俺が誘導して魔物を襲わせてアストは勇者の力を失った。

 そして、それを指示したのはレインベルだった。

 レインベルがどんな奴だったのかも、ゼノス達の証言によって残酷な人間である事も裏付けられた。

 何度思い返しても完璧なシナリオだ。


 本題……?

 この件とはまた別の話と言う事か……?



「ここには儂と、其方達しかおらん。何も気にせずに話が出来るな」


「本題……さっきの件でまだ何かあるのですか?」


「ユリウスよ、其方が嘘を話してる事は分かっておる。レインベルの件はおろか、アストの追放が仕組まれた事だと言う事も、何もかも全てな」


「「「「な……!?」」」」



 は? アーキノフは知ってた?

 俺が嘘をついてた事も全部お見通しって事なのか?

 どう言う事だ? じゃあアーキノフはそれを全部知っててレインベルを拘束したのか?

 なんだ? アーキノフが何を考えてるのか分からんぞ。


―何で殺しやがった!? 何でだ!?―



 うぅ……頭が。



「儂は、其方達が味方であるかどうかを知りたかったのだ」



―其方は、儂のコマだ―



 何か思い出せそうなんだが……考えるとガンガン響いて痛みだすんだ……。



「儂は其方達が嘘をつくのかどうかを見極めたかった。本当の事を話しておったら、其方達を拘束しておったよ。だが、やはり儂の睨んだ通り、嘘をつきよった」


「……全てご存じだと言う事は……我々は死刑ですか?」


「何を言っておる。其方達は儂の味方である事が分かった。其方達には知る権利が生まれた。今こそ真実を語ろうではないか」



 アーキノフは立ち上がり、玉座を降りて俺達の前に歩いて来る。



「ユリウス、ゼノス、クウォン、ヴァール。儂と手を組むか? 今更ノーは言わさんぞ」


「も、もちろんですアーキノフ様」


「ほう。ならば返事を聞かせてくれ」


「「「「はい!!!」」」」




次の第三十六話は8月22日朝8時頃を予定しております。


ブックマーク、評価、本作品に関するご意見などいただければ幸いです。


また、本作品を手に取った方の中でここで執筆されている方がいましたら、紹介いただければ時間がある時に是非読ませていただきたいと思っているのでよろしくお願いします。


下の方に進んでいただくと☆☆☆☆☆と表示されていると思うので、本作品への応援をお願いします。


大変モチベーションに繋がり、良い作品作りの励みになります。


貴重な時間を割いてお読みいただきまして、ありがとうございます。

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