第二十九話 上には上がいる
戦闘の回です。説明が多くなったかも。
想像しながら楽しんで読んでいただければ嬉しいです。
フュリン、ネファーリア。
君達のおかげで、僕は新たなシードを生んだよ。
ネファーリア、よく死なないでいてくれたな。
大丈夫。こいつは、僕一人で倒すから安心して休んでくれ。
「アスト、褒めてあげるよ。さっきのは進化したワタシの目でも追えなかった。でも謎なんだよな。分からない事があるんだよ。フュリンもネファーリアも、死にかけてたのに」
消えた。と思ったら一瞬で右側面に移動してきた。
「キミはじっとしてた!」
素早く殴りかかって来たけど、シャドウの行動を既に読めていた僕は後方に飛んで回避する。
ただ、シャドウは全然本気を出していなかった。
それが証拠に、追撃が出来たのにしなかったんだ。
何かを確かめて納得し、僕の方を見る。
「ふむ。なるほど、キミはあの二人とは遥かにレベルが高いようだね。魔族でもフェアリーでもなく、ただの人間なのに」
「君達に預けたシードを、一旦返してもらうよ」
「なに? シードを返す? 何の事だ」
「気にしないでくれ」
「何を企んでいる?」
僕は二人に与えたシードを回収。これで聖騎士、拳聖、賢者、戦巫女、霊神術士、分析士、全てが手元に戻った。
そして新たなシードが加わり、合計七つのシード、その能力を使い熟せる状態にある。
今の僕は、絶対に負けない。決して油断もしない。
こいつの事で気になる事があるとするなら、中々攻めて来ない事。冷静に考え判断してる。
前のシャドウだったら、すぐに飛んできたのに。
相当知能が高くなってる証拠だ。
「迂闊に攻撃しても、キミは殺せない。彼女達には見えなかったワタシの攻撃を、キミは見えていた。〝あの攻撃〟を見切られていると思った方がいい。なら、攻撃方法を変えなければならない」
「今度のシャドウは、よく喋るんだな」
新しいシードを試してみるか……。
僕はまず拳聖で、素早く間合いを詰めて攻撃を仕掛けに行った。
連続的な攻撃を余裕でガードしてくる。最後の一撃は避けられた。大きく振りかぶった僕のこの隙をついて、また何処かに瞬間移動をして攻撃する気だな。
分析士のスキル【アナライズ】を発動。
相手の行動を事細かに知る事が出来るスキル。
行動パターンや、どのスキルをどのくらいの確率で選ぶのかも把握できるんだ。
このシードもさっき生み出したばかりだし、フュリンもまさか戦闘で使えるとは思ってなかったんだろうな。
僕も自分に宿して初めて発見したんだ。もしかしたらこう言う使い方も出来るんじゃないかって。
まだまだシードの訓練は必要だな。
さて……。
「リベンジチャージ」
「そろそろ、キミを食べちゃお」
今度は上か。足が巨大化し、シュンと足首が伸びてとてつもない速さで落ちて来た。
ズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥウーーーーン!!!
「おっと、これは流石のキミでも避け切れなかったか」
確かに僕は攻撃を食らった。でも避けられなかった訳じゃない。試したかったんだ、新しいシードの力を。
シャドウの足が元に戻る。
僕はそこに立ってはいるもののダメージは受けている。
僕が生きている事を確認するとまたすぐに、足を巨大化させドスドスと踏み潰して来る。
その攻撃にも僕は一切避けずにただただダメージを食らっていた。
「なんだコイツは。何故避けない……」
「リベンジバースト!」
「なんだ……」
全身から燃えるような赤いオーラを噴き出し、シャドウをターゲットロック。戦巫女の【神風】で間合いを詰めて次の攻撃を組み立てようとすると、大きく間合いを取られる。
「包囲紫電!」
「魔術か!」
中級雷属性魔術、【包囲紫電】は、対象の周囲から一気に電撃を浴びせる魔術で、電撃の魔力に完全包囲される。
だから逃げ道が無くなるんだ。発動したら最後、何処に逃げても一緒について回るため、通常回避じゃほぼ避け切れない。
戦巫女の回避特性を用いれば、脱する事は出来ると思うけど、僕はこのまま耐える事を選択する。
まだ僕には余裕がある。
あいつの魔力にもよるがまともにこの魔術を食らえば、相当なダメージになるだろう。
だけど、この技を試したいんだ。
「よし! リベンジチャージ」
「剛烈炎球!」
「な!? もう一撃!?」
詠唱速度が人間レベルを超えてる……。
元々人間じゃないけど、動きも早い、詠唱速度も早い、本当に進化したんだな。
だけど、新しいシードを宿した僕にはその程度じゃ殺せないぞ。
僕は【包囲紫電】と【剛烈炎球】も同時に受ける事になる。
電撃の嵐と火炎の塊の凄まじい轟音と衝撃がここ一体に拡散する。
くぅ……流石に中級魔術二発をまともに食らうと、相当なダメージになるな。
新たなシードじゃなかったら、致命傷になってたかも知れない。
僕は直撃の瞬間サモンシードで賢者を召喚し、ネファーリアを守らせていた。
だからこの爆風や衝撃で彼女を傷つける事はない。
フュリンの時とは違って召喚中は僕の魔力が徐々に減って行くから管理には気をつけないと。
「お前が魔術を使えるなんて思ってもみなかったよ。
だけど、次はもう効かないからやめておいた方がいいぞ」
分析士の【アナライズ】でバッチリ分析したからな。
「ほう……あの攻撃にも耐えたか」
「今度こそ、決めさせてもらう」
まだ爆煙が辺りに漂う中、僕はこの視界が悪い状況を利用して、攻撃を仕掛けに行く。
あいつは、〝進化したワタシの目でも追えなかった〟と言った。
だから魔力やオーラなんかで相手の動きを捉えるタイプじゃない。
目で見て僕の動きを掴んでる。
「追尾光弾!」
「なに……」
賢者に光属性魔術を撃たせた。
油断してるシャドウは案の定、賢者の魔術に注意が向く。
たった一秒程度だけど、僕はこの瞬間を絶対に逃さない。
再び【リベンジバースト】を発動。赤い炎を纏ってシャドウに向かって走る。
その途中で拳聖の【ブライトダッシュ】で側面に移動。
「考えたな。だがこの程度ではワタシは倒せないよ」
なるほど、賢者の対応は捨てたんだな。
やっぱりこの赤鬼、強いな。
「だけど! 遅い! 拳聖奥義! 天地裂破撃!!!」
ドォォン!! ドォォン!! ドグォォォォォーン!!!
光の魔力と闇の魔力を両拳に集めて放つ三連撃の奥義。
これにリベンジバーストの恩恵が乗る。
僕の新たなシード【バーサーカー】は攻撃力、防御力がずば抜けて高く、特徴的なのは【リベンジチャージ】と【リベンジバースト】だ。
【リベンジチャージ】中に攻撃を受けると、リベンジパワーが蓄積する。
このリベンジパワーは、【リベンジバースト】で次の一撃に上乗せさせる事が出来るんだ。
だから、僕が放った【天地裂破撃】にリベンジパワーが上乗せされてとてつもない大ダメージを赤鬼シャドウに叩き込めたという事。
「そ、そん……な。たった三発でワタシがこれ程のダメージを受けるとは……」
シャドウの体から亀裂が走り、中から光が漏れ出してくる。
「ま……まさか……ワタシは……死ぬ……のか。ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁーー!!!」
赤いシャドウの体が光に包まれパァーっと飛び散って消え去った。
次の三十話は本日19時を予定してます。
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