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第二十五話 新メンバー -Julius Side-


 「あぁぁぁぁ!! 次!!」



 俺は今、メンバーのオーディションをしている。

 つい最近、俺の才能を発揮して演説で民衆から金を貢がせるアイデアが炸裂した事で金欠は免れた。

 と、思ってた。

 その後も俺は毎日演説、民衆は次第に俺達を怪しみ出し、中々金を出さなくなった。



「そんなんじゃ務まらない! 次!!」



 流石にこれ以上は無理だと判断した俺達は、やはり仕事をして稼ぐ他ないと言う案に至ったんだ。

 ギルドに所属し、魔物を狩って報酬を得る事。

 勇者パーティーがギルドに所属するなんて話題性もあるし、なんだったら報酬に色もつけられる。

 これしかない。



「お前もダメだ! 次!!」



 ただ一つだけ問題があるのは、俺達全員が弱いって事だ。

 そしてギルドに所属するには五人でなければならない。

 リミアが抜けて一人足りないんだ。

 だからこうしてオーディションをして、人材を探してるという訳なんだが……。



「はぁ……。話にならん、次」


「あのぅ……ユリウス様」



酒場のマスターが、遠慮気味に俺を呼んだ。

ここは今や俺達のアジトだ。

安いなりにまあまあの味だしな。



「本日で六万キャルトになるので、そ、そろそろ……へへへ」


「マスター、俺達は世界の平和を救う為に今ここにいるんだ。君も、世界平和を望んでいるだろ?」


「そりゃあ……もちろんです! ……へへへ」


「勇者にしかそれは成し遂げられないんだよ。俺達は毎日手強い魔物を倒し、魔族からの猛攻を阻止し、現状でもこうして普通に君達の暮らしが出来ている」


「は、はい……確かに」


「少しぐらいは感謝してもらいたいものだね」


「そ、そうですね!! へへへ、もちろん今日もツケときます……ね」


「別に払わないとは言ってない。協力してくれと言ってるんだマスター」


「へ、へい!」



 ふぅ……ったく、六万ぐらいでピーピー言いやがって。

 そろそろ城下町酒場ここも使えなくなりそうだな。

 ちぃ! さっさとギルドに登録しなきゃならんのに、なんでクズしかいないんだよ、この街は!



「俺はもう千を切ったぜ」


「クウォンは使い過ぎなんですよ」


「そういうヴァールはいくら持ってんだよ」


「……千二百」


「けっ! 俺と変わんねぇじゃねぇか!」


「私は三千あるぞ」


「なにぃ!?」


「あぁ〜もううるさいな! その金が無くならん内に早くギルドに登録しなきゃならないんだよ!」


「オーディションに来ましたぁぁー!!」



 と、俺達の怒鳴り声を割ってさらに大声で放ってきやがった。

 腰まである金髪のロングヘアは、その髪に触れなくてもサラサラである事が分かるぐらい、綺麗に整えられていた。

 そしてすぐに目が行ったのは、そこそこのボディ。

 巨乳と言うわけではないが、決して小さくはない。

 うむ。間違いなく俺好みの女だな。そんな見た目は合格な女が、緑の瞳でニコニコしながら俺の方を見る。


 ほう……腰に剣がぶら下がってるところから剣士か。



「「「レインベル!?」」」



 俺以外のメンバー全員が女に向かってそう呼んだ。

 知り合いか? しかし剣士か……治癒術は使えなそうだし……。

 何より弱そうだ。いくら可愛くてスタイルがよくても役に立たなければ意味がない。



「悪いが」


「覚えてて下さってたなんて感激です!! ユリウスさんは初めましてですね! レインベルです! 魔法剣士です!」



 なに……魔法剣士だと!?

 魔法剣士は、ギルド認定を受けている者で世界に十名しかいない、剣術と魔術、そして奥義の魔法剣まで使い熟す間違いなく才能がある者にしかなれんクラスだ。

 俺が求める人材が、しかも容姿は俺好みときた!

 やっと、これで金欠地獄から抜け出せるぞ!



「レインベルと言ったか」


「はい! よろしくおね」


「合格だ」


「え、合……格? あの……まだあたし、何もやってませんけど?」


「俺ぐらいになると、見たら大体分かるんだ」


「す、凄い! アストさんでも太刀筋見てからじゃないと、わかんなかったのに! 流石、勇者様ですね!」



 〝アスト〟と言う言葉にピクっと反応してしまった。



「えっと、じゃあ合格なんですね!! 皆さん、よろしくお願いしますね!!」



 何はともあれ、これで新勇者パーティーが揃った。

 早速ギルドへと向かい、登録をしてやろう。

 くくく……勇者がギルドに所属するなんて前代未聞だぞ。

 俺が先頭を切って歩き、ゼノス達とレインベルが喋りながら俺の後をついてくる。

 まあ知り合いらしいから、積もる話でもあるんだろう。



「あなたってあーいう女性がタイプなのね。セシルが亡くなって落ち込んでたと思ったら、心配して損しちゃった」


「勝手に心の声を聞きやがって! フェアリーはみんな変態なのかよ! それに〝俺好みだ〟と言ったんだ。あの女をどうするとか考えてはいない」


「え!? アストさん追放されたんですかぁー!?」



 あいつら、まだアストの事話してんのかよ……。



「あいつはとんでもねぇ悪なんだぜ! 俺達の能力を奪い取っちまったんだからよ!」


「私達はアストに呪いをかけられて、今は本来の力を出せない状態にあるんですよねぇ。それはそうとレインベルは今、彼氏はいてるのかな?」


「も〜ヴァールさんったら〜!! ま〜た口説こうとしてるんでしょー! ダメですよ〜〝既婚者〟はお断りです!」


「はぁー!? ヴァール……おめぇ、結婚してたのかよ!」



 ったく、ごちゃごちゃうるさいな。

 だが、ゼノス達の雑音から解放されそうだ。

 ギルドハウスへと到着した。

 受付に行って登録したい旨を話すと、ハウス内にいる人間全員が立ち上がって俺の方に目を向けた。


 まあ当たり前だろうな。やはり俺の睨んだ通り、勇者がギルドに所属するなんて聞いた事がない。

 ただ勇者だからと言っても、ギルドに所属する為には適正テストを必ず受ける必要があるらしい。



「試練の洞窟に行ってもらい〝ハイビースト〟を倒す事です。ハイビーストを倒すと、ソウルクリスタルと言うアイテムが手に入ります。ソウルクリスタルを持ち帰っていただければ、ギルドはあなた方を認定いたします!」


「試練の洞窟か……よし、早速行くぞ」


「え?」



 ちょっと待ってください、と言うレインベルの声が俺の足を止めさせる。



「どうしたレインベル」


「今日行くんですか?」


「今だ。今すぐ向かう」


「えぇ!? 作戦とか戦術を練らなくてもいいんですか!?」



 はぁ……っと溜息が漏れてしまう。



「ギルド認定の適正テストなんて、作戦を考える必要はない。どうせ雑魚しかいない。レインベル、勇者パーティーに入りたいなら、その場で出された指示に対応できなければ、務まらんぞ」


「な、なるほど! そうか! そうですよね! 十分な作戦が練られない場合もあるかも知れないですもんね!


その場その場で動く、勉強になります!」



俺達勇者パーティーは試練の洞窟へ向けて歩き出した。

この時の俺は知らない。

このレインベルと言う女が、奈落の底へと突き落とす、最低最悪の女だと言う事を……。


第二十六話は本日20時頃を予定しております。


ブックマーク、評価、本作品に関するご意見などいただければ幸いです。


また、本作品を手に取った方の中でここで執筆されている方がいましたら、紹介いただければ時間がある時に是非読ませていただきたいと思っているのでよろしくお願いします。


下の方に進んでいただくと☆☆☆☆☆と表示されていると思うので、1〜5で率直な評価をいただければ嬉しいです。


お手数をおかけしますが、こちらの応援の方もよろしくお願いします。


大変モチベーションに繋がり、良い作品作りの励みになります。


貴重な時間を割いてお読みいただきまして、ありがとうございます。

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