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第二十三話 隠された繋がり -Arkinov Side-


 儂はラムリース王国、国王のアーキノフ・ディア・ラムリースである。

 今、我が息子リーベルトと〝秘密の部屋〟に向かってるところだ。

 自室の暖炉に隠し通路があり、そこから地下へと降りるのだ。



「こ、こんな所に隠し通路が……!?」


「騒ぐでないリーベルトよ。お前は次代の王となる男だ。少々の事で動じぬ心を持ちなさい」

 

「……分かりました父上」



 ふぅ……国王の仕事は実に忙しい。

 ただ玉座に座っていれば良いと言うわけではないのだ。

 国を守る為、民を守る為、民の暮らしを豊かにする為、時には苦渋の選択をする事もあった。


 階段をある程度の所まで降りてくると、秘密の部屋にたどり着く。

 赤い絨毯で敷き詰められ、机に椅子、ベッドに、いくつかの酒、これしかない。殺風景でなんの面白味もない部屋だよ。

 儂はゆっくりと椅子に腰掛ける。



「ふぅ……さてと」


 

 我が国はずっとある事に投資をしてきた。

 ラムリースは世界でも多くの勇者を輩出してる国であり、その理由として我が領土内にはフェアリーの森が多く存在してる事にあるであろう。

 古の時代より続く勇者とフェアリーの関係も、今日こんにちまで変わらず続いておるのも偏にこの事業の賜物と言っても過言ではない。

 初代勇者の誕生の地も何を隠そう我が国ラムリースなのだからな。


 何故他国に比べ、我が国だけがこんなにもフェアリーが住みやすい環境になっておるのか。

 その答えは、ラムリースが魔力に満ちている国だからである。


 魔力……それは人間には生み出せないエネルギー。

 この力は戦闘は勿論、生活も豊かに出来る偉大なる力なのだ。



「父上、見せたいものというのは? この部屋がそうなのですか?」


「まあ、見ておれ」



 儂は机に置かれてあるグラスを手に取り酒を注ぐ。

 そしてまたゆっくりと立ち上がって、壁に備え付けてあるボタンを押した。

 すると壁がゆっくりと持ち上がる。



「こ、これは!? こんなものが我が城の地下に……」



 リーベルトが驚くのも無理もない。

 本当にここから見る景色は、いつ見ても良い眺めなのだよ。


 儂らの前には広大な空洞が拡がっていた。

 規模はラムリース城と同じぐらいか。

 その空洞ギリギリまでいくつもの施設が敷き詰められているのを、儂らは今見下ろしていると言う訳だな。

 

 皆、まさか足下にこんな巨大施設があるとは思ってないであろうな。



「〝恵みの大地〟儂はここをそう呼んでおる」


「恵みの大地……」



 【魔力に満ちた国】のカラクリは恵みの大地だ。

 ここには選りすぐりの魔力に詳しい研究者が二百人いて、〝あるもの〟の管理を任せておるんだが、魔力の供給が安定している事からも順調だと言う事であるな。

 

 さて、儂は恵みの大地で一番大きな施設へ足を運んだ。

 実はその〝あるもの〟をこの目で見てみたかったのだよ。

 兵士三名がその施設の扉前で機敏に立ち並び、儂の合図で扉を開けさせる。



「施設内は特殊結界が、幾重にも張り巡らされているのでご安心下さい」


「うむ。して〝あれ〟はどうだ?」


「は! 大人しくしております!」


「そうか」



 施設内に入るとすぐに〝あれ〟が目に入った。

 圧巻……であるな。

 想像している以上の巨大な図体だ。そして邪悪なる負のオーラが漂っておる。

 深くゆっくりめの呼吸音が、グオーグオーと耳に入る。

 なんと不快な音か。ただ儂の気分は良い。



「お前をつまみに酒を飲むと、実に美味い」



 儂はそう言いながらグラスを掲げた。



「こ…………ろ…………せ」


「何? 殺せだと? 何を言ってるのだ。お前は既に死んでいるじゃないか」



 酒を口に含んだ。美味い。



「お前は死んだのだよ。表向きにはな。魔王ザングレス君」


「我……を……どうするつも……りか」


「儂の優秀な研究者によれば、お前の魔力は測定出来ない程の量を保有しておるとの事だ。だから楽しみだよ。骨の髄まで搾り取らせて貰うとしよう」


「人…………間……め」



 ザングレスの全身にはいくつものパイプが突き刺さっており、魔力抽出機と直接繋いである。

 直接魔力を吸い取る訳だから、当然計り知れない苦痛を伴う。しかし〝魔王〟ならこんな痛みなど涼風も同然であろう。

 研究員に最大出力で魔力を吸い取るように命じる。

 パイプを通じてエメラルド色をした丸い光が次々と魔力を蓄える貯蔵庫へと送られていく。



「ア…………ガァァァ……」



 まさか魔王が生きていたなんて誰が思おうか。

 ここにいるリーベルトも驚いているな。



「何故魔王が生きているのです父上! 魔王は勇者パーティーに倒されたのではなかったのですか?」


「あれはダミーだ」


「ダミー……? で、では……ここにいる魔王が……」


「うむ。本物であるな」


「な、何故です……!? 父上がそのようにされたのですか!? 何故ダミーなどを!? 父上のお考えが理解できません!」


「……我が息子よ。お前はまだ若い。故にその純粋な心では受け入れ難いであろう。しかしなリーベルトよ。これはラムリースの繁栄の為、民の為なのだ」


「確かに魔族は我々の敵です! 各地で人間を襲っていると聞きます! 決して許してはいけない奴らです!

しかし……しかし父上のこのやり方は……。

こんなやり方は、人間のやり方ではないです!」


「はぁ……リーベルトよ。儂だって出来るならば、こんな事はやりたくないのだ。お前を今日、ここへ連れてきたのには理由がある。意見があるのなら、その後でいくらでもするが良い」


「……分かりました。納得出来る理由をお願いします。父上の話を聞く前に、一つだけお聞きしたい事があります」


「申してみよ」


「魔王ザングレスは、魔界を統べる王です。例えダミーを用意したところで、いずれ気づかれてしまうでしょう。

もしそうなったら、また大きな戦争が始まるのですよ父上!

五十年前にも起きた人間と魔族の大戦争が!」


「それは絶対に起こらんよ、リーベルト」


「何故です! どうして言い切れるのですか!?」


「何故なら、貴方のお父上は我々と条約を結んだからですよ……くっふっふ」



 いきなり儂の背後から声がしたかと思えば



「ヴェルグラか。全く魔族はいつ何処から現れるか分からんな」


「ま、まま……魔族!? ち、父上!?」



 リーベルトの視線は儂とヴェルグラとを行ったり来たりと、かなり動揺しておるな。

 全く情けない。先程動じるなと注意したところなのだがな。



「アーキノフ殿のご子息ですか? ほうほう……しかしながら裁量はまだないとお見受けしますな」


「父上!! 説明して下さい!! こいつは何なのです! 何故ここにいるのですか!?」


「この者はヴェルグラと言って、新しい魔王となる者だ」


「新しい魔王……!?」


第二十四話は本日12時頃を予定しております。


ブックマーク、評価、本作品に関するご意見などいただければ幸いです。


また、本作品を手に取った方の中でここで執筆されている方がいましたら、紹介いただければ時間がある時に是非読ませていただきたいと思っているのでよろしくお願いします。


下の方に進んでいただくと☆☆☆☆☆と表示されていると思うので、1〜5で率直な評価をいただければ嬉しいです。


お手数をおかけしますが、こちらの応援の方もよろしくお願いします。


大変モチベーションに繋がり、良い作品作りの励みになります。


貴重な時間を割いてお読みいただきまして、ありがとうございます。

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