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バグった転生  作者: Glucose-One
エラー_01
9/65

01-03 女神がバグってる


ガラガラガラッ


 馬車ってこんなに尻痛くなんのか。これは想像以上だ。一応10人ぐらい人が乗ってるのに。いとも簡単に揺らすとは、馬車の衝撃吸収能力の低さ!恐るべし!


「ローグ。お尻痛い!」


「はいはい。ちょっとの辛抱だから。」


 かわいいな、リアは。年齢が近いし、俺もまだ小さいから、お兄さんぶる事は出来ないけど。


「魔勇者ローグよ。質問の前に1つ、聞かせて欲しい事がある。」


「なんだ?」


 兵士がざわついてる。


「お前は、無宗教か?」


「勇王様!!その話は御止め下さい!」


 宗教関連か。これは答える方も慎重になるべきだな。


「あぁ、無宗教のつもりだが?」


 一応魔界で、魔神を崇拝する協会に行ったけど、俺は特に気にしてないからな。あながち間違いでないはずだ。


「私は魔帝を倒した後、女神共を天界から引きずり堕したいと思っている。」


 女神を?なぜ?


「私は恐らく、女神に殺された。」


 俺は今試されているのか?

 魔王の因子的なのを持ってる奴なら答えられるとか?

 

「私は転生者だ。」


 転生者!?こいつが!?


「異世界から女神に連れられ、この地に生れ落ちた。しかし、私は私の居た世界で死んだ記憶がないのだ。それに、女神は酷く機嫌が悪かった。焦ってもいた。」


 異世界転生の話に女神が出てくる。転生者ならではの話とも言えるが、この世界でどんなファンタジーが描かれているのかは分からない。嘘をついているかもしれない。一先ず知らないふりだ。


「転生……。にわかには信じられないな。それに、女神を引きずり堕としたいという願望と、どう関係するというんだ。」


「私に職業選択を迫ってきた。聖女と勇者だ。」


 職業選択!仮にこれがこいつの体験でないとしても、少なくとも裏には本物の転生者がいそうだな。


「この世界には、あってはならない力を持った者がいると言っていた。この二つの職業はそいつに対するものだと言っていた。」


 ‟あってはならない力”。俺の事を言ってるのだろうか。

 

 だとすると、俺はこいつの存在理由における、敵ってわけか。


「で、私はどうやら、『勇者』を複数回選択したらしい。それで『勇者』の1つ上の職業、『勇王』になったようだ。」


 天界の職業選択システムバグってんのか!

 

 しかし、俺の仮説は間違っていたのか。エクスの言う通り、職業は1つしか存在出来ないわけではなかったようだ。


「すると女神は叫びだした。理由はよく分からん。」


 まさか、俺の時と同じ女神か。


 俺を殺すために、送り込んできたのか。


 急ぎでバランスを保つため、転生できる人間を殺した。


「あの女神がまともであれば、私は死ぬ事はなかった。女神の言う『あってはならない力を持った者』がいなければ、私はこの世界に来ること、つまり死ぬ必要はなかった。私はこいつらを必ず殺す。これが、私の目的だ。」


 俺は、人1人の人生そのものを狂わせた。


 俺にこう思わせるのも、こいつを転生させた理由か?


「ローグ、今度はお前の番だ。」


「あぁ。」



「ローグ。大丈夫?」


「大丈夫だよ、リア。」 


「まず始めに、俺とリアは魔族だ。」


 おそらく、俺とリアが人間になったのは、俺の何らかの能力によって人間へと種族が変わった。 

 さぁ。感じるんだ。自分の能力を!…………これだ!!

ー特殊能力:種族変換ー


ドムッ


「「「「「「!!」」」」」」」


「本当に魔族だったのか!!すると、魔王の息子だというのも本当なのか!?」


「勇王様!!魔王の力を持つ上に、魔族であるというのは!!」


「いや、待て。確かお前の父は、エクス・セルスフィアと言ったな。エクスは第三代魔王、人と魔族との諍いを無くした英雄だ。魔帝の作り出した魔王どもとは違う。」


「あぁ。もちろんだ。魔王には十代能力があるのを知ってるか?」


「存在だけは知っている。」


「俺はその十大能力全てを持っている。」


 『魔剣』に関しては『聖剣』と一緒に消えちゃったし、全部は使えないけど。


「勇王様!!彼は危険です!!早急に……。」


「ローグ、今度はお前の持つ勇者ノ力について説明しろ。」


 これを説明すれば、俺が「あってはならない力を持った者」だと思われるかもしれない。しかし、さっきから騒いでるこの兵士達、勇者のオーラがかなり強い。戦闘は避けたい。


「これに関してはお前も感じているだろうが、俺は初代勇者の力も全て持っている。」


「…………。」


 

 おそらく俺は今、疑われている。


 俺がその「あってはならない力を持った者」ではないのか、と。


 仮に戦いになったとしたら、リアを守る事が出来るとは限らない。

 


 ここは、嘘をつくしかない。



「俺の誕生は予言されていた。堕落した人類から魔族を守る救世主だ、と。しかし、今分かった。その堕落した人類とはすなわち、魔帝を生み出した者、紛い物の魔王ノ力に見せられ、堕落した者を断罪するためだと。つまり、魔王ノ力は魔族を統べ、堕落した人類を断裁するために、勇者ノ力は俺が多くの人間に対し、魔族の一人として有効な存在であると示し、希望となるためだった。」


「……。」


「俺は魔界が、魔神の消失により滅んでしまわないようにするため、人間界に渡ろうとした。しかし、俺の役目はそれだけではなかったようだ。人間と魔族の深い溝を払拭し、共存を目指す。これこそが、俺の真の役目だったようだ。」


「…………。」


「今1度名乗ろう。俺はローグ。古を生きた英雄、三代目魔王エクス・セルスフィアの息子にして、全ての魔王ノ力と真の勇者ノ力を受け継ぐ者、魔勇者ローグ・セルスフィアだ。俺は貴方方、魔王討伐隊に協力する事を誓う!!」


 ……いけるか?人が嘘をつく時は話が長くなるんだ!!


「運命は嫌いだ。しかし、お前の言いたい事は分かった。よかろう!私はお前とともに魔帝を滅ぼす!!」


「「「おお!!」」」


「一介の兵士の身ではあるが、感服したしましたぞ!!いやぁ!疑うような真似をしてすまなかった!!貴方の信念を聞く事が出来、一切の疑念は晴れました!!これから宜しくお願い致します!」


「クレアよ!!彼、ローグを召喚してくれた事、心から感謝する。それに、お前の召喚能力が世界の境界をも超える事が分かった。その能力に対する認識を改めよう!!」


「……。ん?何?私が何って?私がすごいって事!?」


「フィン。そんな悲しい顔するな。きっとお前も多分、恐らく、もしかしたら、凄い能力があるかもしれないんじゃないかと思ってる。この魔勇者ローグが保証する!」


「くそっ!惨めだと思うなら話しかけるなよ!!」


_________________________________


「よし、食事も終えた事だ。今日はここで一夜を過ごす。では!」



「エクシズ、話がある。リアの事だ。こっちに来てくれ。」


「なんだ?」


 木々の隙間から、焚火の明かりが漏れている。

 ここら辺りでいいだろう。


「リアはまだ幼いんだ。いや、俺が少々早熟だったのかもしれないが。リアには親が必要だ。友達も必要だ。どこか安全な、人と関われる所に居てほしんだ。」


「……。」


「リアには特殊な力があるから、価値が全くないわけではないから……。1人の友達として、中々無責任な話だが……。」


「それに関しては既に考えてある。次の町で、護送車でも呼ぶ。行き先は決まってる。」


「……ありがとう。」


「ローグ、お前は、……。」


「……。」


「何でもない。」

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