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バグった転生  作者: Glucose-One
エラー_01
10/65

01-04 魔王城バグってる

「ここがアルスファクト帝国最北端の町、イルーナなの!?」


「おいクレン。ナレーション入れたからといって、これまでの出来事を無かった事に出来ると思うなよ。」


「うっ。ごめんなさい……。」


「お前の召喚魔法が急にド偉い魔物召喚したんだぞ!!そのせいで馬車は壊れるわ、魔物討伐のために目的地から離れるわで散々だ!!」


「そういうお前も、中々にナレーション口調だな、ローグ。」


「なんだとフィン。魔力少なすぎて数時間に1つしか魔法を使えないくせに、その大事な一発を盛大に外して!俺はわざわざ口に出して説明してやってるんだよ!」


 くっ!魔術や魔法なんて便利なものがあるこの世界で、ここまで無能を極めるとは!


 にしてもこの町、最北端にしては随分と賑やかだな。町自体はそこまで大きくないけど、道は異常なまでに綺麗に舗装されてる。建物に関しては、決して高いわけではないが、新築が建つ余裕がないくらいには敷き詰まってる。


 田畑もない上に、鉱山らしき山も見当たらない。何か特殊な技術でも持っているのだろうか?


「お前ら、気を引き締めろ。前に伝えた通り、この町のさらに奥には魔王城がある。いつ何時攻撃を受けるか分からん。」


 成程、魔王を倒すために、沢山の人がこの町を訪れているわけだな。


「魔王城が出来る前は、どんな町だったんだ?」


「私も実際に見たことはないが、過疎化が進んで、殆ど廃墟になっていたそうだ。」


 この世界で「過疎化」なんて言葉を聞くとは。


「現状、魔王城の経済効果は聖地化のそれを上回るそうだ。」


 やだ、凄いリアルな話。

 もしかして、政界とかだと、魔王城の建設を推進したりとか、してんのかなぁ。


「もちろん、私は魔王城が動かした金の額で、死んだ人間の命が償えるとは思わん。」



 そうか、そうだよな。いくら金が動いたって、人が死んでちゃ意味がない。 

 

___________________________________


 やっと町に入れる。あれは検問か?


「入町許可証は?」


 おっ。あれは証明書かなんかか。すげぇ。なんか偉い人間になった気分だ!


「魔王討伐隊……。勇王様が直属の……。これは失礼した。最近魔王城に自殺しに行く若者が多いんだ。こっちはまるで、地獄への片道切符を切ってるみたいでな。入町を多少、制限してるんだ。」


 厳しい現実だな。


「死ぬなよ。魔王を倒せなんて言わねぇから。」


「気遣い感謝する。我々はその気遣いが無用になるよう、最善を尽くそう。」


 渋いやり取りだ。エクシズ、本当に転生者か?一体どんな修羅場を潜り抜けてきたんだ。


「今日から三日間を、準備期間とする。三日後に魔王城前に集合だ。では!!」


「おい待ってくれよ!魔王城攻略、そんな簡単にいくのか!」


「この魔王城の主は現状の序列30位、最下位だ。それに、私が君らに会う以前に、幾つかの魔王討伐隊が、周辺の魔物を駆除している。それに、そもそも我々は万全の状態でここに来たからな。」

 

 たっ、確かに。言われてみれば、準備が整ってない状態で、来るわけないよな。

 相当慣れてる……のか?


___________________________________


「なぁローグ。俺やクレンも討伐に行く流れになってないか?」


「確かに。そういやお前ら、何で付いて来たんだ?」


「だって!勇王様についていけば働かずに毎日三食つく上に、安全も保障されんだぞ!!今みたいに、ただで宿に泊めさせて貰って!!…それに俺等、金稼げるような能力持ってないし…。」


ドンッドンッドンッ


「おい!ヘタレ勇者共!私が隣の部屋である事を忘れるな!!」


「「すいません!!」」


 なんて情けない奴らだ。性格が後一捻りぐらい歪んでたら、「愚鈍」だの、「愚劣」だの罵倒して清々するはずなのに!

 

 俺の僅かな慈悲が!こいつらを助けたがっている!


「あと三日、ちょっとぐらいは訓練するか。」


「……。」


_________________________________


「はぁ、はぁ、はぁ。」


「フィン!クレン!がんばれ!あと10周だ!」


 正直、フィンやクレンが本当に魔王討伐に参加できるかは分からないが、これからの事も考えて、体力増強は必須だろう。


 一人の人間として、あいつらは常軌を逸した体力、身体能力を持っている。

 しかし、相手が一つの生物として常軌を逸した体力、更には異能持ちとなると、全くもって不足だ。


「ほら、回復薬と成長促進薬だ。飲め。後は、精神増強のための、飴ちゃんだ。これも食っていいぞ。そしたらすぐに運動だ。」


「ふざけんなよ!!舐めてんのか!!ハードすぎる!!体の疲労は消せても心はボロボロだ!!」


「お前等が舐めるんだよ?飴ちゃんは。」


「そっ、そうよ!ローグなんか、まだ十代に満たない子供じゃない!あなたのほうがヤバイんじゃないの!!」


「はっ?俺はお前らと違って純粋な勇者ノ力と魔王ノ力持ってんだから、それだけでお前らの力を軽く超えてるし、いざとなれば『身体強化』でさらに1.5倍ぐらいには上がるから。格が違うんだよ、お前等とは。」


 それに最近分かったのだが、『種族変換』は魔力の込め方で結構変わってくるのだ。

 大量の魔力を注げば、純粋な人間へと体が再構築されるし、ごく少量だと、人間の特徴を捉えただけになる。その証拠に、魔力の器の大きさが変わるのだ。


 つまり、後者の方にすれば、中身は悪魔、見た目は人間になれる。…この言い方、どっかで聞き覚えがあるな…。

 

 まぁ、要は悪魔と人間の自力の差は歴然だから、これはかなり有効であるということだ。


「くっそっ!!人間様を舐めやがって!俺はフィン!氷の勇者フィンだ!こんな程度の試練!乗り越えてやる!!うおおおぉぉぉぉぉぉぉ……。」


「はぁ。私はもう無理かも。」


 こんな大声で「氷の勇者」と叫んでも、周囲の人間に見向きもされない辺り、本当に知名度ないんだなぁ。

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