00-01 職業選択システムバグってる
よく分かんない。
ただ死んだのは分かる。
だって、なんか目の前に女神いるもん。
「こんにちは、相沢さん。貴方は若くして命を落としました。しかし、貴方にはまだ使命があります。貴方には転生するチャンスがあります。」
あっ。
これ異世界転生系のそれだわ。へぇー。ホントにあるんだね。
この記憶に靄がかった感じ、もしかして夢?
「あっ!あの!!僕、生前の記憶が曖昧なんですけど!何か教えていただけませんか?もしかして英雄的な感じで命を落とした!とか。」
「転生後、生前の記憶が貴方の足かせにならないよう、一部の消極的記憶は制限しています。それに相沢さん、貴方には時間がありません。今は辛うじて魂を天界にとどめていますが、それも時間の問題です。」
ほぉ、それはまたご都合主義だな。俺が今やけにテンション高めなのもそれが理由か。
それにしても……。漫画とかで見たら露出狂みたいな恰好で引いてたけど、やっぱ自分の目で見ると違うな。女神って。
化粧なしで可愛いのは幻想だなんて聞いてたけど、この考え自体が幻想だったなんてな。すげぇー。
「あっ、あの、全部響いてます。」
「えっ。すっ、すいません。……すいません。」
「エホン!では!貴方は!異世界転生を希望しますか?」
「もしかしてチートスキルとか!ついてくるんですか!それとも魔剣みたいな専属武器とか?」
「いえ、貴方が転生するのは世界のバランスを保つためです。」
なんだよ。もしかして不幸系の転生か!?いやだ!せっかく転生するなら一滴の汗もかきたくねぇよ!!
「貴方には堕落した人類に試練を与える「魔王」、再び立ちはだかる魔族から人類を守る「勇者」のどちらかを選ぶ事ができます。」
「すっ、すげぇ!これホログラムか?選択肢が浮かんでる!これが職業選択って奴か!」
って、心の声がもろ声になってる。この仕組みはちょっと減点だな。
おっと。これは全部聞こえてるんだったな。
「は、はは。で、どちらにします?」
女神様の笑い声が枯れてやがる。ひっ、引かれたか?
「そうですね……。」
勇者はなんか英雄とかになって歴史に残りそうだけど、魔物とかにボコボコにされるよなぁ。それはちょっと嫌だ。
魔王はどうだろうか。多分チートスキルとかで無双!的な感じの事が出来そうだよな。でも結局勇者に倒される役だし……。でもそこは転生で得た「ユニークスキル」!とかで覆せたりするのかな……。
そうだ!いい事考えた!
「グへへ。」
「ぐ、グへへ? 相沢さん!?」
「おりゃーー!どうだ!って。どっ…ち……だ?」
「あっ相沢さん!?これは一体?なっなんでどっちも……どっちも選択されてるんですか!?」
今、俺の目の前には白く輝く「勇者」、「魔王」と書かれたプレートが2つ浮かんでいる。人より早く、長くパソコンを使った俺なら分かる。おそらく、押すと少し色が暗くなって灰色にでもなるのだろう。
が、今そのプレートは両方とも灰色になっている。つまり、両方とも選択状態にあるんだ。
「けっ、結果、両方選択っ!異常事態によりっ新規職業を生成っ!」
「えっ、新規? そんな事できるんですか!?」
「新規職業は!堕落した人類より魔界を守り、魔王の加護を受けた、選ばれし者っ……まっ、魔勇者?なんですか!魔勇者って!こっ、こんなっ!」
「魔王の加護って、それ勇者なんでs…」
「こっちが聞きたいですよ!もう……、せっかく女神になったのに、こんな例外事例出したら堕とされちゃう…。」
「なっ、なんかすいません。」
「はぁ。では、頑張ってくださいね。」
「えっ。説明それだけ……。うわっ!これがいわゆる魔法陣ですね!すげぇー!あっ。めっ、女神様!女神様も頑張って下さい!」
始まる!なんか仰々しい職業だったけど、多分大丈夫!これから俺の輝かしい異世界ライフが始まるんだ!
頑張って書きます。どうかよろしくお願いします。