神のひらめき
『我を破ったお前にプレゼントをやろう!!絶望をな!!』
「最後そういえばそんな事を言っていたな…」
「それですよ…そのプレゼントというのが皇帝を操る事だったんです…」
「ば、馬鹿な!!確かに倒したぞ俺は!!消滅するところまできちんと確認したんだぞ!!」
「肉体はね…」
神は再び指を鳴らした。
「これを観てください、確かに肉体は滅びました、しかし思念は残って皇帝に憑りつき完全に乗っ取られてしまいました…」
悲しいそうな顔の神は話を続ける
「そしてあなたの最愛のシャーリーさんに催眠をかけあなたを殺すように仕向け、そして…」
「もういい!!その先は言うな!!」
俺にはもうそんな話聞きたくはないんだよ。
「いえ、まだ続きがあります」
「続きだと?その後など判るはずがないだろ?」
「では、これを観てください」
神は出会った当初とは違い真剣な顔で指を鳴らした
「これはハイドさんの時代から1000年後の世界です」
「なん…だ…これ…」
俺の目にうつったものはこの世のものとは思えない世界が広がっていた。
「あの後魔王に乗り移った皇帝は魔族を少しづつ人間社会に溶けこませ、長い年月をかけ人間を食料や奴隷へと変貌させていきました…」
「人間は抵抗しなかったのか?」
「しましたよ?ですがあなたを超える人物がいなかった為成すすべなく…」
「そうか…」
二人の間に少し沈黙が流れた。
「それでこれを俺に見せてどうなるんだ?」
これから死ぬ人間に見せたところで何も変わらないのに…
「ここからが本題です。あなたにしてほしいことがあります。あなたにはこれからこの世界で魔王を再び討伐してほしいのです。」
そう言うと神は便利な指鳴らしをすると椅子を出し話を続ける。
「言い方が悪いかもしれませんが、最後の詰めが甘いがためにこの状態になったあなたにも一端があると思うんですよね?」
「な、なにを言ってるんだ!!俺はこんなことになるとは思うわけないだろう!!それにそれに見合った罰は受けただろうが!!」
声を荒げ俺は神の首を絞めた
「こんなことをしても無駄ですけれども、あなたの気が済むなら続けても構いませんが、話は最後まで聞いてください」
首を絞められても何の反応もしない神が話を続ける
「魔王を倒した暁にはきちんとした達成報酬がありますからね?」
「そんなものはいらない!!ほっといてくれ!!」
(俺には地位も名誉も金も要らないのに何を言っているんだ?)
「シャーリーさんを生き返らせるとしてもですか?」
神は満面の笑みで答えた
「なんだと…?」
おれはその言葉でゆっくりと神から手を離した。
「神様なんでそれは可能ですよ?やだなぁハイドさん僕の立場忘れちゃったんですか?」
またヘラヘラしだす神
「その話本当だろうな?」
「神様ですよ?嘘はつきません」
「シャーリーは本当に甦るんだな?」
「もちろん」
「本当なんだな?」
「しつこいですよ?しつこい男は嫌われるんですよ?」
しつこく聞くのは当たり前だろう俺がこの手で殺してしまった最愛の人を取り戻せるんだからしつこくなるのは当然だ。
「では、ハイドさんもう一度伺いますが、再度魔王討伐をしてくださるんですね?」
そう言うと神は右手を差し出した
「いいだろう、シャーリーがかえってくる来るのであれば俺は悪魔でもなんにでも手を貸してやる!!」
俺は強く神の手を握り締めた。
「ちょっと痛いですよ。まったくもー」
神は手を振りほどき手をプラプラさせた。
「ん?悪魔でもなんでもか…ちょっと待ってくださいね…」
そう言うと再び神は便利な指鳴らしをした。