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[R-15]ステ=イション祟紡侖(すいぼうろん)~異界の住民が地球に転移してから200年、人間は希少生物になってました~  作者: しるべ雅キ
外伝いろいろ

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【前日譚】我が復讐、ぬるま湯のように気付かれず4/5【主人公を味方に付けよう】

人類絶滅計画の問題点を指摘された纓示(ようぎ)は、

予測できる問題点の全てに対策を立てた事を明かした。

3/5の続きです

 タイプウィッチの話題から数日経った頃、またしても久守(ひさもり)が招集をかけた。


「そろそろこの計画に名前を付けようと思ってさ」

「前から考えてたが、一応意見も聞かないとな。祟紡侖(すいぼうろん)なんてどうだ?」

 席に着くなり久守(ひさもり)が口を開き、(オレ)は円卓の中央に計画の名称を記した立体映像を浮かべる。


「すいぼうろん? 随分と変わった字を当てたな」

「ひとりひとりの恨みは小さいかもしれんが、数を(つむ)げば神の祟りにも匹敵する」

 (いぶか)しむように久守(ひさもり)が立体映像を眺め、(オレ)は名称に込めた真意を(ほの)めかせた。


纓示(ようぎ)殿はここに来る前に、数多くの異能力(ギフト)持ちに会われたのでしたな?」

「ああ、異能力(ギフト)に目覚めたが故に異形者と呼ばれた人達の無念も継承してる」

「いいですねっ! みんなの異能力(ギフト)があの()達を通じて人間を守るんですねっ!」

 真意に気付いた(がい)の問い掛けに(オレ)は握り(こぶし)を震わせながら答え、重くなりそうな空気を払うようにアイリスが声を弾ませた。


 この明るさを継承したジゅう人(あいつら)は、必ずや未来の人間を救ってくれるだろう。


「決まりだな。あとはグループ名?……この集まりにも名前が必要だと思うんだ」

「一応そっちも考えてある、シショクの12人なんてどうだ?」

 そんな感傷に浸っている間に納得してくれたらしく久守(ひさもり)が次の議題を持ち出し、(オレ)は円卓の立体映像を切り替えた。


「シショク?どういう意味だ?」

 しばらく映像を眺めていた久守(ひさもり)は、全く理解が及ばない様子で首を(ひね)る。


 カタカナ表記なら候補も多いが実態に合う漢字が浮かばなければ、どんなに頭が良くても気付かれない。


 やはり謎は、解いて教える瞬間が何よりも楽しい。


「絶滅の絶を糸と色に分けて糸色(シショク)、メを十と読ませて(ツー)と組み合わせる」

「それでシショクの12人(ゼツメツ)と言う訳か」

 はやる気持ちを抑えて(オレ)が操作する立体映像を眺めていた久守(ひさもり)は、目から特大の鱗が落ちたような表情で何度も頷いた。


 万が一(オレ)達の名前があいつらに語り継がれたとしても、実行役に目的を知られる訳には行かないからな。


「反対する訳ではないが、我々は6人だぞ?」

「空席は6個あれば充分だ」

 話がひと段落したと思った直後に(がい)顎髭(あごひげ)を撫でながら当然とも言える問題点を指摘し、(オレ)は準備していた答えをそのまま出した。


 頭の固い(がい)なら必ず突っ込んでくれると思ったぜ。


「以前話してた、操夢(そうむ)のギフトで見せる円卓会議だね」

「運命と責任感を操作してやれば、ステ=イションまで来れた人間への最後のひと押しになる」

 気が緩んだ隙にドクターが先に口を開き、(オレ)は出遅れた焦りを隠して他の4人に意図を説明した。


 ドクター(こいつ)が味方で助かったぜ……


 もし敵に回っていたら、(オレ)の考えた計画は早々に詰んでいただろう。


 とはいえこの計画を阻止するメリットなんてドクターに無いし、どの世界線でも必ず協力してくれるんだけどさ。


「でも、どうやって人間をステ=イションに誘導するんだ?」

「ジゅう人の脳に追加した人間の記憶信号を読み取る機能を利用する」

 勝利を確信して内心笑っていたら久守(ひさもり)が口を挟み、(オレ)は円卓の中央にジゅう人の立体映像を浮かべて頭部を点滅させた。


「この機能をどう使うんだ?」

「簡単な話だ、読み取り機能を逆転させれば人間の脳に直接言葉を送信出来る」

 短い説明では理解出来なかった様子の久守(ひさもり)が更に聞き返し、(オレ)は点滅させた立体映像の頭部から外に向けて矢印を飛ばす。


「技術的に出来なくはないけど、送れるのはせいぜい10文字だよ?」

「それだけあれば釣りが来る、送るのは7文字でいいからな」

 キーボードみたいなものを取り出したドクターが計算の結果を映像の隣に並べ、(オレ)は勝ち誇った気分で肩をすくめた。


()()=()()()()()か……」

「正解だ。女の子を前にしたら突然頭に言葉が浮かぶんだ、誰でも運命だと感じるだろうぜ」

 いち早く気付いたトウカが立体映像に書き加え、勢い良く親指を立てた(オレ)は込み上げて来た笑いを噛み締める。


「やれやれ、まるで物語の主人公だ」

「主人公を取り込んで味方に引き入れる計画なら勝利も確定するだろ?」

「違いない」

 肩をすくめて鼻で笑った久守(ひさもり)は、笑いを噛み締める(オレ)の言葉に釣られて大笑いに変わった。


 今はまだ冗談の範疇だが、未来ではきっと「主人公」が活躍してくれるだろう。

お読みいただきありがとうございました

5/5に続きます

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