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「不遇スキル」「もういらない」と言われる不遇職テイマーたちと、そんなテイマーたちの地位向上に取り組む全異世界テイマー組合理事たちの会議の話

「それではこれより、第37回全異世界テイマー組合連合会の臨時代表会議を開催致します」




理知的な眼鏡とキツそうな目線、色んな所が絶妙に見えそうで見えないセクシーな服装の女性――全異世界テイマー組合連合会の副組合長、《美しきテイマー(アフロディーテ)》マティルダが宣言した。


マティルダは、くいっ、と眼鏡を挙げて言った。


「今回の議題は予め告知の通り。近頃、各異世界に於いて『テイマーは底辺職だ』という誤った情報が拡散していることについてです」


錚々たる顔ぶれを前にして、マティルダは臆面もなく言い放った。


「手元の資料を御覧ください」


マティルダは魔法投影機を操作し、資料を示した。

スクリーンに様々なグラフ、数式、各種データが表示される。

マティルダが各種のデータについて説明する度に、居並ぶ面々から不機嫌そうな咳払いや唸り声が聞こえてくる。

ここに居並ぶテイマーたち全員が、それなり以上に名を挙げ、名声を築いた者たちばかりだ。

そんな彼らが、今は寡黙に腕組みをし、マティルダの質問を苦虫を噛み潰したような顔で聞いている。


あらかた全ての資料の説明が終わったところで、マティルダはまた眼鏡をあげた。




「……以上の資料が示します通り、最近では『テイマーはハズレスキル』、『不遇スキルのテイマー』などと、とかく我々テイマーを軽侮する内容の情報が度々見受けられ、なおかつそれが各異世界で半ば常識化されつつあることについては、残念ながら事実であるというほかありません。悲しいことに、最近ではテイマーであるという理由だけでギルドをリストラ、ないし追放されてしまった、ダンジョンに置き去りにされた、という組合員からの報告も入ってきております」




そう、テイマーは現在、空前の不人気職となっていた。




そもそも、テイマーとはなんであろうか。

テイマーの原義とは、つまり『調教師』――。

人ならざるものを飼い慣らす特殊なスキルである。


ドラゴンを手懐ければドラゴンテイマーに。

猛獣を飼い馴らせばビーストテイマーに。

魔獣を配下にすればデーモンテイマーとなる。


おわかりの通り、人ならざるものを飼い慣らすというのは非常に困難が伴う行為である。

人間の善き伴侶である犬や猫でさえ、トイレの場所を教えるのにも一苦労を要するぐらいである。

それがましてやドラゴンや猛獣だった場合、それを《テイム》――いわゆる飼い慣らし、戦闘や人間の生活従事させることには、時に命の危険さえ伴うのだ。


であるから、テイマーはテイマーとしての己に誇りを持っている。

獣たちと心を触れ合わせ、友だちになる技術を持った自分を、決して卑下はしない。

それは人々の安全や平和を守り、世を豊かにする技術であると信じているのだ。


であるから、現状の謂れなき中傷は耐え難い――。

自身もテイマーであるマティルダにとっても、今回の会議は意義あるものとしたかった。




自分たちは決して底辺などではない。

ましてギルド追放やパーティ追放など有り得てはならない。

マティルダも、ここに居並ぶ人々も、きっとそう信じているに違いなかった。




クイッ、と、マティルダは眼鏡を持ち上げながら言った。


「この悲しむべき現状を打破する術について、各員にお知恵を拝借したく存じます。どうすればテイマーがハズレスキルではなく、上等なスキルであると示すことが出来るのか――忌憚なき意見をお聞かせください」


そう締めくくると、まず始めに口を開いたのは、恰幅のいい禿頭の男である。


「あー、副組合長。私からいいかね?」


そう言って発言を求めたのは、西の異世界の名テイマー、《竜王(ドラゴンマスター)》テレンスである。

マティルダはテレンスを見て言った。


「テレンス様、発言を許可致します。それと、私のことであればマティルダで結構」


テレンスは頷きながら言った。


「まぁ、皆様が現状に危機感を持っているのは確かだ。だがね、よくよく見れば、現在のこの風潮はそう悪いものともいい切れないのではないか?」


テレンスは膝に抱いた竜の赤子の背中を撫でながら、よく通る野太い声で言った。


「えぇ……この資料を見る限りではだね、『底辺職だったけど無双』とか、『ハズレスキルだったけど最強』という文言が頻出している。これは我々テイマーをけなしているように見えて、実はテイマーという職業を偉大なスキルだとして敬意を払っているということにはならんかね?」


初っ端から話の腰を折るような話だったが、全員がそんな事はおくびにも出さない。

テレンスは組合立ち上げ時からこのテイマー組合に在籍しているとびきりの古株だった。

各異世界のテイマーに声をかけ、束ね、まとめ上げた、その手腕と献身。

そしてその世界のほぼすべてのドラゴンを育て、飼い慣らしてしまったという、その圧倒的技術。


「オヤジ」と――全てのテイマーにそう慕われる、豊かな経験と温かい人柄があってこそ、彼は理事の座に就いているのだ。


今まで撫でられるままになっていた竜の赤子が目を開け、テレンスの人差し指にぱくっと吸い付いた。

そのまま、母乳でも吸うようにちゅくちゅくとテレンスの太い指を吸う。


「まぁ追放やリストラは言語道断だが……いてて。そんなに悪いことだとも思わんがね。第一、私の異世界ではテイマーは少なくなりはしたが、一定の人気も得とる。……こら、離しなさい……あぁすまない。まぁ、すぐに対策が必要なレベルではないというのが私の意見なんだがね」

「甘いわね、テレンス様ともあろうお方が。事態はそう楽観視できるものじゃないの」


そんな声が聞こえ、全員の視線がそちらを見た。

テーブルからやっと顔を出せるぐらいの小柄な少女が、出された茶を啜りながら静かに瞑目していた。


「それはあなたの世界ではテイマーのスキルが後天的に選べるものだからよ」

「ん? まぁそれはそうだが……」

「第一、私の世界では15歳になった時点でテイマーとしてのスキルがあるとわかると、人生に絶望してしまう若者は多いの」


赤い頭巾を被った人形のような少女。

彼女の名前は《魔界の小公女(リトルプリンセス)》イリレス。

若干9歳にして、幽鬼の王一族をまるごと手懐けてしまった天才である。


若すぎる天才は茶を啜りながらしずしずと続けた。


「テイマーではお金にならない、テイマーは出会う魔物次第の運任せ、テイマーでは冒険者パーティに入れてもらえない……それが私の世界の常識よ」


そう言ってイリレスは空になったティーカップを虚空に差し出した。

途端に、マグカップは虚空に飲み込まれるようにして消え――次の瞬間には、なみなみとおかわりが注がれた状態でテーブル上に出現した。

彼女の配下である幽鬼が亜空間を暗躍しているのだ。


「皆さんは自分の世界でそこまで悪し様に言われているのか……」


対面の席に座った線の細い眼鏡の男、《迷宮の探索者(ダンジョンソーサラー)》ウーンファースが顔を歪めた。

彼はとあるSSS級ダンジョンのモンスターの殆どをテイムし、そのダンジョン攻略に多大な貢献をした功績で組合の理事に選出された経歴のある男だ。


「確かに、ダンジョンを攻略するのにテイマーのスキルは不向きかもしれない。狭いダンジョン内にはドラゴン等の強力で巨大な魔物を連れてくのには制約があるからな。だがそれだけでテイマーが侮られるのは、私個人としても許しがたい」


ウーンファースは言った。

元々研究者肌である彼はこういった分析や考察が得意だ。

理路整然とウーンファースは続けた。


「だが、御存知の通りダンジョンは広くて広大だ。剣士でも魔法使いでも力には限界がある。そこでテイマーのスキルが活きる。現地で生き残ってきた魔獣たちを戦力に使えるのは一種のアドバンテージだからな。そういう線でテイマーの人気を復活させることは出来ないかな?」

「最初から戦闘力などアテにされていないのではなくって?」


《悪役テイマー令嬢》、レベッカがそれに答えた。

彼女は癖の強い巻髪を指先で弄いながら気怠げに言った。


「ここにある資料を読む限り、どの資料にも『まったり』とか『スローライフ』という言葉が頻出していますわ。どうもこれはテイマーの技術を戦闘面に活かそうという意識がそもそも希薄なのではないかしら」

「それはそうだが……しかしそのまったりスローライフとは一体何だ?」

「都会の喧騒や煩わしい人間関係を捨てて隠棲することですわね」

「テイマーが隠棲? 実態通りとは言えないな。我々だって戦闘面も評価してほしいものなのだが……」

「全く、この資料の通り、テイマーがペットたちに囲まれてモフモフ暮らしているだけの楽な職業ならばいいんですけれどね……」


レベッカはここにいるどのテイマーとも違う経歴を持っている。

彼女は婚約者である王子に婚約破棄を宣言され、怒りに燃えて全ての貴族令息令嬢をテイムして魅了し、王子を逆に国外追放に追い込んだという逸話のある激情家である。

人間をテイムし魅了する技術というなら、おそらくこの令嬢の腕に敵う人間はこの場にはいないだろう。


「ヒヒヒ……なんだか皆さんお困りじゃねぇかよ」


下卑た笑い声と共に発言したのは、《傷だらけの狂犬(マッドドッグ)》と渾名される狂気のテイマー、ヴァロンだ。

彼は傷だらけの顔で、酷薄に笑った。


「テイマーが底辺職かどうかなんてこの顔と身体を見りゃ一発でわかる……わかんねェ奴が愚かなんだよ……そんなもん、実力行使でわからせるしかねェだろうが」

「失礼ですがヴァロン様、ここは会議の席上です。あまり過激な発言は……」


発言を遮ると、ヴァロンが狂気の笑顔を向けてきた。


「ゲヒヒ……マティルダ、てめェ随分と偉くなったじゃねぇかよ。……このカーバンクルマスター・ヴァロン様の発言を遮るとはなァ」


そう言って、ヴァロンは肩に乗せたカーバンクルを撫でた。

途端に、キイ! と鋭い声で鳴いたカーバンクルがその手に思いっきり噛み付いた。

少々血も出たようだが、噛みつかれたヴァロンは再び下卑た声で笑った。


「ゲヒヒ……これだからカーバンクルのテイムはやめらんねェ。こいつらは顔の割に気性が荒いからな……底辺職とか寝言言ってるバカにはこのカーバンクルを抱かせてやれ。三日もありゃ泣いて土下座して戻ってこいとくるに違いねェ」


それでヴァロンはこの顔なのである。

この男はカーバンクルのテイムに取り憑かれ、全身を傷だらけにしてもなお辞めない狂気の男であった。

謎の多かったカーバンクルの生態解明とテイム技術の確立は高く評価され、組合の理事に選出されたのである。


「確かに、今のヴァロン様のご意見は省みるに値します。テイマーがどれだけの叡智と経験に基づくものであるか、各異世界に周知を徹底する必要があります」


マティルダがそう言うと、理事たちはうんうんと頷いた。


「……だがどうやって? テイマーが置かれた状況はそれぞれだ。中には『ざまぁ』とやれないヒヨッコテイマーがいるのも事実だ。根本的に実力が不足している彼らをどうやって支援する?」


ウーンファースが言うと、理事たちは難しい顔でため息をついた。


「パンフレットでも作るか? 『求む! 明日を作るテイマーたち!』とか」


「イヤですわおっさん臭い。第一そんな資金がどこから湧いてきますの? 今でさえカツカツなのに」


「ヒヒヒ……資金なんて理事会の積立金を崩しゃ一発だろ……なぁに、決算で帳尻合わせときゃなんとでもなるさ……」


「ヴァロン様、それはダメよ。この間《蛇使い(レッドスネークカモン)》のスヴェン様が巨額横領して首吊ったばかりじゃない。組合員の理解が得られないわ」


「パンフレットはダメか。それならマスコットでも作るかい?」


「あ、それは賛成ですわ。『モフモフ君』とかどうでしょう?」


「おいおい、私のテイムするのはドラゴンだぞ。モフモフのドラゴンなんていない。ちょっとは私の立場も考えてくれ」


「ヒヒヒ……カーバンクル、カーバンクルがいいぜ……なんせこいつらはモッフモフだからなァ!」


「いやっ、ツバが飛んだわ! ヴァロン様、興奮しないで!」


「しかしマスコットだと、どうにもペット屋のようなイメージが先行してしまうな。言い出しっぺの口から言うのもナンだが」


「モフモフしてないドラゴンテイマーやデーモンテイマーが肩身狭い思いをするかもしれませんわね」


「第一、マスコットなんぞ作っても根本的にテイマーの地位向上には繋がらないんじゃないのか?」


「私がテイムしてるのは幽鬼よ。そもそもテイムするモンスターの可愛さを強調しても人気が出るとは思えないわ」


「ヒヒヒ……じゃあどうすんだよ。八方ふさがりじゃねェかよ。会議どうすんだ」




ヴァロンのその言葉に、会議室には重い沈黙が垂れ込めた。


これがテイマーの限界なのか。

やはりテイマーとは底辺職なのか。

為すすべなくギルドを追放される運命なのか。

『ざまぁ』『もう遅い』とせせら笑う自由はないのか。

どうあっても我々テイマーは最初からその価値を認めてもらえないというのか。




「組合長……」


マティルダは救いを求めるように、一番上座に座った人物を見た。


ほぼ真っ白の眉毛と髪。

立派な黒紋付の羽織と袴。

生きているんだか死んでいるんだかわからない、皺に埋もれた目。

そして、その老班と皺一本一本に染み付いた、圧倒的なオーラ――。




そう、彼こそがこの全異世界テイマー組合連合会の組合長であり、「生ける伝説」と謳われる男――《テイマー仙人》北山寺(きたやまでら)観柳斎(かんりゅうさい)重々(しげしげ)である。




100年をゆうに超える間、彼はテイマーとして数々の伝説を打ち立ててきた。

千を超えるドラゴンを手懐け、圧倒的に不利だった戦争をひっくり返した。

108人の美女をテイムし魅了してハーレムを築き、孫を5000人作った。

SSSSS級ダンジョンの最下層階にひとりで取り残されたのに傷ひとつ負わずに地上に舞い戻った。

異星からやってきた異星人をもテイムし、その母船に乗って他の惑星を植民地にした――。


そのどれもが規格外のテイム技術は「伝説」と呼ばれ、圧倒的な名声と支持とでこの組合の組合長に就任して50年。

引退するどころか、もうとっくに墓に入っている年齢の彼がこの場にいるのも、ひとえに彼の力が圧倒的すぎて後任が見つからないからなのだ。


マティルダは重々を見た。

彼なら――生ける伝説である彼なら、きっとこの事態を打開する知恵を持っているはず。

マティルダは懇願するように言った。


「組合長、今のやりとりはお聞きしていたかと思います。どうか組合長からもお知恵を!」

「そうだ――組合長、組合長なら!」


テレンスが椅子から腰を浮かせた。


「そうだ組合長、あなたならなんとかできるはず!」


イリレスが詰め寄った。


「組合長、どうかその叡智を我々に!」


ウーンファースが頭を下げた。


「組合長様、私たちを助けると思って!」


レベッカが必死の声で言った。


「ヒヒヒ……組合長殿、俺たちを導いてくれよなァ!」


ヴァロンが下卑た声で言った。


その瞬間だった。

シワに埋もれていた重々の目がくわっと見開き、(おこり)のように震えた。

そして立派な髭に覆われた顎が開かれ、そこから嗄れた大音声が迸った。






「歌」






その一声は、雷の如く響き渡った。


歌。

その一言に会議室は色めきだった。


「さすが組合長! その発想はなかったわ!」

「なるほど、テイマーたちの歌を作ればいいのか……!」

「確かに、歌は人々の心を庇い守り、時に励ますわ!」

「その手があったか……やはり組合長の叡智は圧倒的だ!」

「どうして考えつかなかったのかしらね!」

「ヒヒヒ、組合長殿ォ! さすが組合長だぜェ!」


理事たちは次々と喝采を叫んだ。

重々は喜ぶ理事たちに目を細め、それから、すう、と息を吐いた。

その瞬間、彼は長過ぎる旅の終わりを悟った。


もうこれで大丈夫だ、彼らに全てを預けることが出来る……。


肉体を抜け出た重々の魂は今までテイムした多くの獣たちにいざなわれ、空へと旅立っていった。




享年、109歳であった。





「なぁ、北山寺組合長が亡くなったって知ってたか?」

「えっ、マジかよ! 知らなかったな!」

「あぁ、これで一時代が終わるな」


名もなきテイマーの青年二人は、テイマー組合から送られてくる会報誌を見ながら話し込んでいた。

『広報テイマー』――そんな気の抜けたタブロイド版には、表一面を使って組合長逝去を伝えていた。


「しかし、なんだか今回は妙な歌がついてきてたよな」

「あぁ、なんでも理事会の方で『テイマーの歌』を作ったらしいな」

「う――」


歌。

その言葉に、一人のテイマーの青年が絶句した。


「歌ってなんだよ?」

「歌だよ歌。理事会では俺らテイマーの地位向上を画策してるらしいな」

「んまぁ、最近テイマーは不遇スキルだとかゴミスキルとか言われてるけど……だからってなんで歌なんだよ?」

「知るかよ。とにかく作ったんだとさ、ほら」


そう言って、一人の青年が広報を裏返した。

『テイマーの歌』――そこに楽譜と歌詞が載っていた。

テイマーの青年はそれをしげしげと見て、それから諦めたように首を振った。


「なんだよこのヘンテコな歌詞は」

「理事会の方で必死こいて考えたんだろ。まずはラーラララー……だな」

「えっ、お前楽譜読めるのか?」

「まぁな、ちょっと歌ってみるか?」


一人の方はしばらく四苦八苦したようにトントンと机を指先で叩きながら、そして歌い出した。




〽テイマー テイマー おおテイマー


我らが尊き生業の


誉れは高く輝けり


我が手に懐く獣らの


曇りなき眼の美しさ



テイマー テイマー おおテイマー


不遇職だと指さされ


ハズレスキルと噂され


それでも歩む一筋の


テイマー道の美しや




テイマー テイマー おおテイマー


もういらないと嘲笑う


仲間に思う面憎さ


それでも弛まぬテイマーの


腕に瞠れや両眼を




テイマー テイマー おおテイマー


勝利を占むるもの テイマー




「……マジで作ったのかな?」

「さぁ」

「これで俺たちが不遇スキルだとか外れスキルだとか言われなくなるのか?」

「冗談キツいよ、お前」


そうとだけ言って、青年は会報誌を屑籠に放ってひとつ伸びをした。


「まぁ、テイマーが底辺職だって言われてんのも、俺は別にイヤじゃないけどな」


青年は首をゴキゴキと曲げながら言った。


「まぁ、いいんじゃねぇの。追放されてから大事さがわかって戻ってこいって言われるなんてさ」

「でも、不遇だとかもういらないとかって言われんのは流石に面白くはないぜ」

「そりゃそうだけど」


青年は苦笑した。




「ちょっと面白いだろ。底辺だの不遇スキルだの言われててもさ、自分の中に『頼む! 戻ってきてくれ!』って言われる才能が眠ってたりするんだ。そう考えれば、テイマーってなんだか夢のあるスキルだと思わねぇか?」




「そうかなぁ。テイマー全員に最初からそんな才能がありゃいいんだけどな」

「ま、あくまで個人の意見だけどよ――」


青年たちがそう言ったときだった。


「おい二人とも、ちょっと来てくれ」


このギルドのギルドマスターに呼ばれ、二人は慌ててギルドマスターの部屋に入った。

何を言われるのだろう。

緊張した面持ちで次の言葉を待つと、ギルドマスターが言った。




「落ち着いて聞いてくれ。はっきり言って、お前たちテイマーはこのギルドのお荷物なんだ。今日限りでクビ、ここを出ていってくれ」




――そう、ここに伝説がまた始まる。




テイマーが底辺職、不遇スキルである限り、物語は続いていくのだ。




ここまでお読みいただきありがとうございます。

思ったより短い作品になってしまいました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 読ませていただいたのは二度目ですが、北山寺観柳斎重々さんがネロのように多くの獣に伴われて天に召される描写が面白かったです(不謹慎)『テイマーの歌』だから良かったものの『テイマーのテーマソン…
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