表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
真・地獄転生リベリオン  作者: 木村さねちか
真・無職転生 新百合好きな僕は異世界に転生するときに可愛い女の子にしてもらいました。
9/31

 九話 支倉シンイチローという地雷原

 僕、早波瑠衣はその原稿を見て言った。

「これは没……ですね」

「なん……だと!?」

 支倉シンイチロー先生は原稿を奪い返して見る。

「だれも書いたことのない傑作だぞ?」

 僕はカプチーノを飲みながら言った。

「誰も書かないのはね、それが面白くないからですよ」

「異世界恋愛は最新のトレンドだろ?」

「まず主人公が性転換した男の時点で読まれない」

 シンイチローは激しくテーブルを叩いて言った。

「新機軸だろう! 合法的男の娘恋愛でもある!」

「新しすぎて感情移入できないでしょう。それに今日はミスターソックスの最新刊を受け取りに来たんであって、そこに新作をブチかまされても」

「他には?」

「あくまでもそれで行きたいならまず前作? らしきものから始めないと。読者が付いていけません」

「読者が付いてこれないスピードで書くのが俺だ」

「それならラストドラゴンをとっとと完結させてください」

「あれはキャラに動くに任せてたら駄作になりつつあるので書き直している。元プロットどおりに」

「僕はいいですけど五木編集長は干す気でいますよ? 勘定は経費で落とすんで。それじゃあ」

 そう言って僕は席を立った。

 支倉シンイチローは五年前にサッカーを主題として書いたコメディー、ミスターソックスを書いて入賞した自称、天才の変人作家だ。他に異世界ファンタジー、ラストドラゴンを書くも売れず、一発屋という認識をされている。

 だが創作にかける熱意はすごく、だれも考えないようなアイデアをひねり出すこともある。

 しかし、そのギャグセンスとストーリーテリングの手法はやや古く、僕は最近の若者が読むようなものをとしつこくオーダーしている。

 そのざまがこれだ。

 最新のトレンドをプライドの高いシンイチローは読み込まないで、キーワードだけで勢いに任せて書くからこうなる。

 僕は電車のホームから、進撃文庫、五木編集長のデスクに電話をかけた。

「五木です」

「早波です。お疲れ様です」

「おう、どうだった? 支倉先生は」

「まるで話になりません。消えつつある作家だという危機感がまるでない」

 五木編集長は深いため息をついた。

 支倉シンイチローは周囲の反対を押し切って編集長が受賞させたのだ。デビュー作ミスターソックスは三巻まで刊行して一巻が十一万部、二巻が六万部、三巻が四万五千部と、打ち切りの話が上がっていて、その最終巻のプロットができたからと言われて僕は行ったのだ。

「もういい、早波。支倉先生には俺が話す。編集部に戻れ」

「お疲れ様です。戻ります」

 そう言って僕はスマホを切って、電車を待った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ