五話 初めてのデート(不本意
「それと、お前さんは勘違いしてるけど」
勘違い? 僕が?
それってツンデレのあれかな?
か、勘違いしないでよね? 別にあんたのことなんか好きでもなんでもないんだから。
「違うよ。ここはオーク街だけど、普通の人間も暮らしてる。魔王様のおかげでここは平和なんだ」
「魔王? ということは……」
「そう、RPG風に言えば、ラストダンジョンだよ!」
「フェイトめぇぇぇえ!」
やっぱりラストダンジョンじゃないか!
これだとタイトルを『女好きが高じて異世界に行くときに女神に性転換をお願いして女騎士になった僕は百合好きのニートの童貞魔法使いですが魔王に支配されるラストダンジョンにいきなり放り込まれました』にしなきゃならないだろうが!
「その魔王も日本人。それもお前と一緒の作家だが、ワナビでエタリ魔のお前とはわけが違う。あの支倉シンイチローだぜ?」
「豚耳エルフと理想郷の?」
「そうだ。昼間は城は解放してるし、案内してやるよ。お前が人間の街に帰るにせよ、見ておいて損はないぜ?」
「見る見るぅー」
僕は魔王の城下なんて見たことがないから興味津々だった。
彼女いない歴四十七年の僕はディズ〇ーランドさえ行ったことはない。
テーマパークを巡る気分だった ゾンビ街や獣人街、いろんなものをみたが、一番ぐっと来たのは無論サキュバス街である。
巷では中世風ファンタジーの美人といえばエルフなのだが、サキュバスはまず恰好がエロい。
ダークエルフの比ではないエロさ。
僕は食い入るように彼女らをみておもわず乳首が立った。
乳首痛いんだが。
「というか、さねちかだっけ? 元男だと思っても興奮するな」
「ボクは興奮しないが」
ボクっ娘でいくことにした。
「なんで鼻息が荒いのかはわかるが、エイル何とかとういう名前じゃなくてチカでよくね? さねちかのちかから取って」
チカか。悪くない名前だ。僕が密かに想いを寄せている女の子の名前も千香だった。
即採用。今日から僕は冒険者チカだ。
というかオークもやはり鼻息が荒い。
「こ、これは違うぞ! 別にデートみたいだからって興奮してるんじゃないぞ? ここがサキュバス街だからだぞ?
「どうだかな。怪しいもんだ。お前も童貞なんだろ」
「そ、そうだが」
「「あー、セックスしたい」」
「キモっ! こっわ」
通りすがりのサキュバスがその話を聞いていたのか、思い切り引いていた。
セックスしたいは男の生理なんだよ。
わかってくれるだろう?
だから毎日オナニーするのはしょうがないんだ。
「ますます引くわー」
サキュバスにまで軽蔑されるほど僕はエロかった。エロすぎた。ふくらはぎを愛しすぎていた。
電車内ではいつも女子高生のふくらはぎを見ていた。