三話 初めてのくっころ
気が付くと僕は、街の道端で寝ていた。
周りを見ると、確かの中世風の街並みだった。
ただし! 住民のほぼ全てが、緑色の肌のオークであることを除いては。
僕の周囲を取り巻くように筋骨隆々のオークたちが、僕を見ていた。
「なにこの超展開! 聞いてないんですけど!」
『街とは言ったけど、どんな街かまでは言ってないわよ』
フェイトの声だ。
「やりなおしを要求する!」
僕は言った。
『オーク差別も差別なのよ』
確かに。オーク差別良くない。
「オークの街に放り込まれてどうしろと! こいつらわたしをガン見してるんだけど」
『そりゃ、こんな真昼間にそんなところで寝てたらねー』
フェイトきたない流石フェイト。
憎悪の魔王という設定の名に恥じぬ邪悪さ。
「姉ちゃん、そんなところでそんな恰好で寝っ転がってるとはいい度胸だ」
オークの一人がサイドチェストのポージングで言った
僕はこの展開を知ってる。
現物の本では見たことないが、話は伝え聞いている。
なら、恥も外聞も捨てて言おう。
「くっ、殺せ!」
オークの一人が前に出て言う。いやらしい視線で。
はなく、さわやかオークスマイルで、ダブルバイセップスしながら。
セップスとセックスって似てるよね。
思わず興奮した。で、そのオークが言った。
「よくあるんだよ。オーク差別。女騎士を犯すって奴。でもよく考えてみな? オークはみんなこのガタイにこの顔だ。お嬢ちゃんみたいな不細工でヒョロヒョロの女相手におれたちのこん棒が立つかよ」
「そ、そうなんだ」
彼女いない歴47年。僕はオークにまでその容姿を否定されて泣いた。