16 ニートですが、何か?。
サブタイトルがしんどい(涙目)
うん。無理。
村を回って看護して回る。けどね!?
無理、無理無理無理無理無理。
まず、移動時間が一番の無理。
結局半分も回れなかった。
で掃除して洗濯して食事作って回って×六回。家は二十軒ほどで住人は八十人ほど、動けないほどに重篤な症状になってるのは三割ほどで大人が多い。
動けるのは子供が主体。
大人になれぱなるほど病気が酷くなる。
本当にコレってなんぞ?。
てなわけでリオン家で夕飯頂きながら作戦会議中。夕飯の調理者はリオン。
献立は麦粥。
作ったのが女の子ってだけでもうね。
ゲキマズの麦粥も美味しく頂けるってもんよ!!。
ちょっとだけ嘘です。やっぱり塩欲しい。出汁も。日本人の舌って本当にゼータクだよなぁ。
じーさんには気の抜けたコーラを出した。つか食事をするのがそろそろ厳しい感じ。こうなると一気に具合が悪くなる
。ヤベぇな。
間に合うか。
ちなみにじーさんびーむは今も灼熱熱視線。モテる男は辛いね!!。
今、気が付いたけどこれもし回復したら、思いっきり恨まれてるからこん限り復讐されるんじゃね?。
……色々早まったかもしれん。
特に俺の寿命とか。心に冷たい脂汗をかきながら粥をすする。
「ご馳走様でした」
とりあえずお腹減ってるしなんとか食え、食え、あああ…… 食った。
「ヤッパリ、オイシクナイ?」
「いや、そんな事は……」
「ワタシモ アンマリ オイシクナイ」
そう言ってリオンは笑った。
「そっかぁ」
「オショウユ ホシイ ミソモ セメテ オシオ……」
「だなぁ」つかなんで日本人味覚なんですかねぇ……。リオンもろ外人、いやアニメ人(?) なんですが。髪、真っ赤やし。
「あのさ、リオンは何で日本語喋れるの?」
空気やらなにやら読まずに疑問をぶっ込んでみる。
ちなみにじい様には謎言語なのか、此方の言語は解らないのか、リオンが日本語話す度に機嫌が悪くなる。ワカリヤスイ。すまんな立ち入った事聞くならせめて保護者同伴の時がいいかと思ったんだ。
「エ、アーー ウン ワカラナイ。ケド チキュウ ウウン ニホンノコト スコシオボエテル」
「うん?」
「ワタシ ニホンジン ダッタ トオモウ」
「それって……」
「ゼンセ トカナノカナ ヤッパリ」
異世界転生。なろうの一大ジャンルだよなぁ。十年間前は結構流行ってて俺も引きこもりのお供にお世話になってた。
特に夜想曲の方。
「じゃあ、前世はおっさんかい?」
冗談めかしてそう問い掛ける。
トラックに轢かれるんだよな。違うか。
「ワカンナイ コドモノ トキノキオク シカナイカラ」
記憶を探るように頭を振るリオン。
「オボエテイルノハ ヘヤカラミエルマドノケシキ ダケ」
「ツマンナカッタ サビシカッタ ソレダケ。タブンビョウキデ コドモノトキニ シンジャッタンジャナイカナァ?」
少しだけ寂しそうに笑い自身の疑問に小首を傾げるリオン。
仕草は可愛いけどヘビィな過去だ。
俺の心のポケットには重すぎらァ。
ちょっと聞いた事を後悔しながら、
「そっかぁ……」と頷き相槌を打つ。
「ア、ダイジョウブ イマハ オジイ イルカラ シアワセダヨ?」
「そっか」とやはり頷き、
それって風前の灯火じゃないですかネェ……!?。
心の内に鈍く重い汗をかきながら、微笑む。表情筋仕事しろォォォ!!。
つかね。おじいに執着してる時点で痛ましい。ここは彼女の家で家人はリオンとおじいの二人だけ。
いや、ほらね? いないじゃないですか。
いなきゃいけない人達が。
俺の推測が間違ってなければ、おじいは彼女の最後の家族。
でなきゃ、ワタシ シアワセダヨなんて予防線張らんよなぁ。
それが喪われるかもしれない瀬戸際とキテる。ふふ、確実に運命の神様とやらは俺のストマックを確実に壊しにきよるわ!! 間違いない。
「それでさ、具合悪い人纏めて看病したいんだけど無理かな?」
「マトメル?」
「うん。その方が効率はいいと思うんだよ。マンパワーって言うの? 後、燃料とか炊事とかもそう。後、司祭様も一ヵ所で面倒みれるだろ?」
「ワカッタ ムラオサダイリ二 テイアン シテミル」
「頼む」言葉が解らんからリオンの仕事増えるなぁ。
こくこくリオンは頷いた。
つかなんでそうなってないんだろ、と聞いてみたらムラオサが倒れてから不慣れなムラオサダイリが差配していてそのままズルズル行っちゃったらしい。
食糧事情はじいさん冬はまだ動けたから狩りで無理矢理村を生かしてたらしい。
その上でありったけのお金で司祭様を連れてきたから村の蓄えは零と。
控え目に言ってやっぱ詰んでねこの村?。
そんな感じで打ち合わせしながら夜はふけて行った。
もろもろ済んで宿まで送って貰う。自慢じゃないが迷う自信まんまんだぜい。
「ありがとうリオン助かったよ」
「ン♪ ーーアノネフタミオニィチャン」
「ん? なんだよ」
「ワタシ ズットツマンナカッタシ サビシカッタ。ケド イチバンツラカッタノハ カゾクガ ワタシヲミテナクコト ダッタンダ……」
彼女の突然の告白に絶句する。そりゃ…… そうか。
「ダカラコンドハ カゾクヲマモレルワタシ二ナリタイ ナカセタクナイ ソウオモッタノ…… アリガトウキイテクレテ」そうはにかみ彼女は微笑む。
「ああ。そうだなガンバろうぜ」
「ウン マタアシタネ」
軽く手を振り別れをすました。
「家族を守れる私になりたい、か」
そうだねリオン…… 俺もそう思うよ。
小さくなる彼女の背中を見送りながら幻痛のする右手を握りしめ、俺もまたそう願い祈った。




