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11 ニートのスマホは万能です。

「リオンは間違ってねぇよ!!」

 そうだ間違ってねぇよ……。

 悪りぃのは襲ってきた奴等の方じゃんかよ!!


「リオンは!! リオンは俺を、俺達を守ってくれたんだ!! だから、だから……」だから泣かないでくれよ……。


「アリガトウ、フタミオニイチャン……」

 彼女は涙を溢し、泣きながら此方に笑ってみせた。


 おろおろする俺を尻目に彼女は自分の涙を拭う。


 チクショウ。こんな小さな子に守られてんじゃねーよ。


 泣かしておきながら溢す涙も拭ってやれない。情けないにもほどがあるぜ。


 動画が流れるスマホに目を落とす。


 ……つまりこの動画は。


 彼女の罪の証か……。


 でも、変じゃないか? ええっと何が変なんだ。いや、変と言えば全部変で何もかもが俺の理解なんて越えちゃってるんだけど。


 そう…… まず例えば彼女のモラル。だろうか。

 それが高過ぎる気がする。

 まるで日本人のようだ。


 これはいい意味じゃあ、ない。


 どう考えてもここはヒャッハー世界。

 人の命の価値なんて便所紙以下なんじゃないか?。


 そんな世界で他人に迷惑をかけてはイケません。人間の命は地球より重い。

 子どもの頃から数多のヒーローヒロイン、所謂正義の味方という文化に慣れ親しんだ、いっそ洗脳されてると言っていいそんな日本人のコモンセンス、常識はここでは通じないのではないだろうか。

 仮に中東の戦地でそんなの保持したままなら生きてて辛いだけだ。


 しかしリオンは日本人ではない筈だ。

 じゃあなんでそんな感じに育ってんの?

 超絶良い子?。かもしれない。だけど。


 アイエエエナンデ? ナンデ? イイコナンデ?


 小ネタを挟みつつ気になるけど。今はいいか。


「えっと動画を流すのは止めよう」


「ドウシテ? オジイタスケル、イルンデショ?」


「いや、保険というか宣伝用? かな。えっとコレ何か解る?」スマホをもう一度見せた。


「スマホ?」解るのか。うーーん?。


「うん。で何故か此れは向こうと地球と繋がってまーす」適当に掲示板やYO!!チューブの動画サイトやテレビなど見せる。


「オオ!!」


 彼女のテンションが上がる。

 なんでスマホが解るのかな。ええい、それも後だ。


「つまり……」


「ツマリ?」


「向こうの人達に質問が出来ます」

 なんか格好いい言い回しをしたくてタメたが、思い付かず直球ですよ、何か?。


「オイシャサマニ、キケル!?」

 絶望の中に一筋の希望の光を、地獄において蜘蛛の糸を見つけたようにリオンは喜ぶ。


 そう。解らなければ解る奴に聞けばいい。

 それが弱者の戦術。だけど。


「あーー それは難しい。診療報酬が払えない」それが第一希望なんだが異世界相手に電話で診察してくれるようなサービスは知らない。日本なら遠隔診療もあるっちゃあるがそれなりの設備がそも必要だった。此処にはない。


 対価だって払えない。貯えは…… 俺が蓄えた訳じゃないけどそれもあるっちゃあるんだが、こちとら異世界、向こうのサービスカウンターはあまりに遠い。


 そんなの誰も相手にしてくんねーだろ。


 だから、相手の善意、無料の奉仕と人間愛に期待する。


 ぶっちゃけ乞食行為のクレクレ君である。

 みっともねぇ。


 でも知識を助けを貰えないとおじいは村の皆は死ぬしかない。ならこの軽い頭なんざ幾らだって下げてやる!! こちとら必死なんだよ!!


「お医者さんが反応してくれりゃ、いいけど普通お医者さんは忙しい。けど医療の知識を持つのは医者だけじゃない」

 例えば医学生とか? 信頼性は当然下がる。けど複数に考えて貰えればワンチャン。三人寄れば文殊の萌え。一人位当たるキャラクターがいるだろ!?


 船頭多くして以下略な気もするが。

 何せこっちには正しい知識を見抜く力がないからなぁ。


 うぉ、ぷれっしゃあ……。


「ツマリ、ダレニドウヤッテキクノ?」


「そこで動画投稿だ。この動画は話題になる。これで話題になってコメント欄やツブヤイターで聞いて治療方法の当たりを探す」


 つもりだったんだけど……。


「ワカッタ。オネガイ、ツカッテ、フタミオニイチャン」


「……ダメだ。コイツは使わない」

 俺は彼女の戦いの動画を消去した。

 最後にスイカさんの生前の姿を見てしまい、彼の重さを両の腕に思い出して気分が悪くなる。


 なら彼女はもっと、か。


「ダメ!! オジイ タスケル!!」

 泣きそうになりおれからスマホを取り上げる彼女。特に抵抗せず渡してやる。

 もう消したし。


「アア……」

 彼女は動画が消えている事にショックを受けている。


「大丈夫。わた…… もとい俺にいい考えがある」

 フラグ臭いが大丈夫。人事だから。


「ホントウ!?」


「うん。でやっぱりリオンの協力がいる」


「ワカッタ。ナンデモスル。オジイタスケル!!」


「応!!」


 と二人で気勢を上げた。


 そして今に至る。


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