弟よ2
「なんなのだぁ?」
未来の嫁が、なぜか庭の噴水で雄の人魚と戯れているのだ。そして、あろうことかほっぺたをつまんでいるのだ。
俺のほっぺじゃ満足できず、その辺のほっぺつまんでいるのはゆるせないのだ。
それに、そんなふわふわのほっぺじゃないのに『いいほっぺだ』はないのだ。そんなほっぺ0点なのだ‼
ファルオスはそこの扉から飛び出し
「浮気現場なのだぁーーーー‼」
空気を読まず飛び込んだ。アイディーンは
「ふぁ……ファルオス様」
こんなめんどくさい所に。もう少しでセレーンを追いやれたかもしれないのに。
セレーンはセレーンで
「浮気現場……ですか?」
この人が婚約者の方ですかって顔だ。
アイディーンは
「魔王、ファルオス様だ。そして、こっちが人魚の弟……セレーンだ」
等といってみるとファルオスは急に
「弟君。私はファルオス。あなたの兄になる者だ。」
態度ひるがえしていた。もう無駄だろ。
セレーンは
「それで、浮気現場なのだーでしたか?」
ほら、しっかり食いついてきてる。従来細かい所をつついてくる性格だからやっかいなんだ。ボロ出さないでくれ。
ファルオスはサラリと髪をかきあげ
「将来の妻が半裸の男のほっぺたをつまんでいたら、疑ってしまいたくもなる」
ほっぺたを?
なんじゃそれ。
アイディーンは思う。
セレーンは
「なるほど。そうですね。私はほっぺたをつままれるのが快感ではありますが、そういった背徳的な気持ちももっております」
アイディーンは
「おいおい……」
どこまで本気なんだ?
魔王おちょくって遊ぶ気じゃないか?
ファルオスは
「背徳的⁉ダメなのだ‼二人は兄弟なのだ。まったく恐ろしい事なのだ」
ほら、本気にした。このほっぺたつままれるのが好きな変態の魔王はすぐ本気にするんだから。
アイディーンはファルオスがほっぺたつままれるのが好きになったのが自分からもたらされた物とは気付かない。
セレーンは
「めくるめく、兄弟の世界。美しいじゃないですか。そこでほっぺたをつまみあう。」
ファルオスは
「や……やらしいのだ」
アイディーンは
「何がですか。ほっぺたつまみあったって話しでしたよ。今の」
ファルオスは
「俺のほっぺは遊びだったのか⁉」
セレーンも
「もてあそばれたほっぺた。憐れです」
止まらない。
よく考えろ。ほっぺたなんてお遊びだろう。なんでみんなほっぺた、ほっぺた言うんだ。
セレーンは
「それに、半裸の男……とおっしゃいましたね。見てください。ほら、私は下もはいておりません。したがって全裸です」
パシャーんと魚の下半身を持ち上げ、どっかのイルカみたいだ。全裸だと思うと、とたんにハレンチだが。
ファルオスは
「アイディーン。見ちゃダメなのだ。裸恥ずかしいのだーー」
アイディーンは、
「さっさと服を着ろ。」
セレーンは
「やです。このまま話を進めましょう。どうしてここに私が来たか知りたいのでは?」
この。強引に話を進めてくる。その間も次なるポーズへと変化させる。
ファルオスは
「……なんでくねくねするのだ?」
ほらついに頭の悪い子供のような奴にも言われたぞ。
セレーンは
「楽しいからです。一緒にいかがですか?噴水の一部になりきる遊びですよ」
ファルオスは
「高尚な遊びなのだ……」
ツッコミ諦めた。弟だからか、攻めが甘い。こう言うのバッサリ切り捨てる魔王のくせに。
アイディーンは
「それで、なんで来た?」
話が進まないんだ。もう、小ボケはさむな。
セレーンは
「お兄様が結婚すると聞いて。家族みんなに知られてしまいました。私は先に知ることができたので、ご挨拶に。ついでに、どのような方か知りたかったのです。家族中大反対で向こうは少し揉めていまして。もうすぐ乗り込んでくるのではないでしょうか?」
アイディーンは
「みんなに……だと」
それは父や、ダイール、アトレイシア、ティアトにも知られたと言うのか。
セレーンは
「お気の毒ですが、ビッチと守銭奴と悪食以外、みんな反対してますよ」
ビッチはセレーディアか。守銭奴はマリー、悪食はミイユか。ひどい言いようだな。
ファルオスは
「なんで反対するのだ?」
まったく心当たりないみたいに言う。
セレーンは
「みんな兄様を溺愛しております。異常なほどに。」
ファルオスは
「幸せにするのだぁ」
不服みたいに言うが、まったく大変な事になった。




