音楽を奏でるのだ4
当日、バドルは張り切っていた。自前のサックスを持ち出してこれ見よがしにアイディーンの執務用の机の上に置く。
ファルオスはニヤリと笑う。今朝たっぷりワサビ塗っておいたのだ。アイディーンの前で恥ずかしい思いすればいいのだ。
ファルオスがニヤリとしていると、アイディーンが
「バドル、悪いんだが、お願いがある」
等といった。
ファルオスは
「ん?」
なんなのだ?何か話しているのだ。
アイディーンは
「やはり考えたら、サックスは曲にあってない。だからこれにしてもらえないだろうか?」
そう言って差し出したのは、タンバリンだった。
バドルは
「なっ⁉」
あまりにも違いすぎる。サックスとタンバリンはかっこよさが雲泥の差だ。
ファルオスは
「……むむ?」
まさか、アイディーンはワサビに気づいたのだ?
そう思っていたら、アイディーンは
「バドルならこんな楽器もうまく演奏できると思うんだ」
等と言う。
バドルは
「く……そうだな。できないことはない。」
ぷるぷるしながら手に取る。そして、何か吹っ切れた目をした。
シャン、シャン、シャン、シャシャシャーン、シャン
手、ひじ、肩、そしてシャシャシャーンしながら手首のスナップを使って振り、最後に腰にポン。
なんだこれ。使いこなし感はんぱない。引いたアイディーンの横で
「すごいのだー。見直したのだ」
ファルオスは食いついている。
バドルは
「ふっ、まぁこんなものだ」
やりきった顔してるな。そんなにかっこよくないぞ。そこの10才の大人の姿した魔王は喜んでるけど。アイディーンは
「……いいようだな。じゃあ、これでいこう」
何はともあれ、整った。
アイディーンはトライアルを取り出す。そして、
「1、2の3、はいで始めますよー。いいですね?」
ファルオスもチューブをくわえ、
「いいのだ」
バドルも
「ああ、いつでもいい」
シャン
返事がわりに鳴らすな。なんか腹がたつな。
アイディーンは
「1、2の3、はい」
ドードーソーソーラーラーソー
シャンシャカシャンシャン
チリチリ、リーンリンリンリーン
なんか良い感じだ。バドルがノリノリで踊ってるのが腹が立つ。キレッキレだ。
ファーファーミーミーレーレードー
シャシャシャンシャシャンシャシャシャンシャン
チリリンチリリンチリリンリン
そして、静寂に包まれる。すると、アイディーンが
「ブラボー‼」
パチパチパチパチー‼
拍手喝采。まさか大成功。間違い一つないなんて。
ファルオスは照れ照れして
「なんか音楽と一つになったのだ」
なんか大それた事を言う。
バドルも
「楽しいな。もっとやろう」
ファルオスも
「やるのだ‼」
まさか、思った以上の情操教育。アイディーンは
「いいですね。やりましょう」
そして、また、みんなで演奏を始める。みんな思い思いに奏でて、なんか一つになった。
翌朝、ファルオスは
「音楽に目覚めたのだ」
シャシャシャン、シャシャシャン、シャシャシャンシャン
めちゃくちゃ踊りながらタンバリン体中で鳴らしてた。
何か失敗したらしい。アホの子みたいになった。




