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恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル4
54/67

鬼ごっこ2

アイリーンは男の姿に戻ろうかと思ったけど、少し考え直した。まさか、女の方が素早さが上がってるらしい。さっきいつもより早く走れたのだ。

女に変わるとステータスも変わるらしい。力や体力では落ちる物の、別のステータスが上がるらしい。この様子だと、魔力も上がってる気がする。

さっきの魔法も本気では無かったが、魔力の調整がしやすかった。女には女の戦い方があると言う事なのだろう。


しかし、ファルオスがあんな風に強行な手段に打って出るとは……魔法も思ったより効かなかった。腐っても魔王だ。やはり力で対峙した時はかなわないか……


いつか恐れた状態になったのかもしれない。見つかったらどんな目に合わされるか……

捕まえたらお触りの刑とか、セレーディアの変な言葉覚えて、せっかく純粋で可愛い魔王だったのに……

アイリーンの本音が零れる。


隠し通路は掃除してないから蜘蛛の巣だらけだ。けど、ファルオスの動きがわからないからなかなかどこに逃げるべきかさだまらない。


入り口に張り込んでいて捕まるかもしれない。別の隠し通路から追ってくるかもしれない。

アイリーンは一度外に出るかと思い、外へ向かった。


「やれやれ。まったくとんでもない目に合った」

アイリーンは日差しの下にたどり着く。パンパンと服を払って蜘蛛の巣や誇りを落とすと、そろそろ男に戻るか。等と思うと、


ブーン


覗き見目玉だ。

アイリーンは

「これは……⁉」


すぐに城から土煙をあげ、誰か走ってくる。

「げっ、ファルオス様」

アイリーンは引く。まさかすごいダッシュだ。


ファルオスは

「見ーつーけーたーのーだー‼」

嬉々として走ってくる。


アイリーンは

「やですー‼」

きびすを返して逃げ出した。


どんな体力だ。どんなスピードだ。暴走バイク並みのスピードで追いかけくる。

クソッ魔王の体力ではいつか追いつかれる。ファルオスは

「どうせ隠し通路にいるとは思ったのだー。アイリーンの事だからほとぼりが冷めるまで安全な所に逃げると思ったのだ。だから外張り込んでおいたのだー」


どうやら、ない頭使ってたみたいじゃないか。それにさりげなくアイリーンとか呼んでるし。


アイリーンは

「いい読みですね」

少し余裕ぶって笑う。しかし、いつまでもこんな事続けてられない。


「ぴーーーーっ」

口笛を吹く。

飛骨竜を呼ぶ合図だ。しかし、いつもならすぐ来る彼らなのに来ない。


ファルオスは

「あー。さっき眠り草入れたチキン食わせたからグッスリなのだー。ちょくちょく奴等、邪魔なのだ‼」


まさか姑息な‼こいつ悪知恵だけは働くタイプか。クソッ飛骨竜なら、なんとかなった物を……


アイリーンは荒野は避け、森の奥を行く。この先は絶壁の崖に連なる山。荒野は広すぎて不利だと思っていたが、荒野の方がマシだったか……


しかし、障害物があった方が逃げやすい。ファルオスはトップスピードが出せず木を避けている。対してこっちは体も小さくて小回りが効く。


ファルオスはちょっと楽しんでるようだ。

「うおっ、うはっ、イタタッ、おでこ打ったのだ」

避けるの下手くそか。


アイリーンは振り反って笑ってしまう。女の子になると、すぐに木の影に隠れてしまう小柄な姿からくり出されるふわっとした微笑み。ファルオスはまた見たくて追いかけるけど、追い付かない。

じりじりした気持ちと、楽しい気持ちが沸き上がってくる。アイリーンは避けるのうまくて、次の瞬間には見失う。


「あっ、アイリーン?」


木の上から気配を消して様子を伺うアイリーン。アイリーンはまたアイリーンとか呼んで……なんて思いながらジーっとする。いつ気づくだろう。


すごくキョロキョロしているファルオス。それを見ているのは少し楽しい。アイリーンは形のいい唇にきゅーっと上がる微笑みをこらえきれない。


「アイリーン。アイリーンなのだ」

少し不安そうな声を出す。


アイリーンはささっと木に隠れつつそれを見ているのだが、上にいるなんて思わないからちっとも上を向かない。


「まさか、穴かなんかに落ちたのか。アイリーン大丈夫なのかー?」

キョロキョロと足元を探し始める。


灯台もと暗し。


アイリーンはそろそろこそっと逃げようかと思い掛けて、今なら当たる気がする。そんな気持ちに突き動かされ、踏みとどまる。


このコーナーからとんで、あの頭目掛けていける気がする。頭に角生えてるから邪魔だなー。無難にムーンサルトニードロップでリングに沈めるか。


ムーンサルトニードロップとは、回転してそのスピードや威力を高めつつ、膝でドーンと決める技だ。狙いは後頭部。ファルオスは死ぬ訳ないので安心だ。今の後ろ向いた状態なら確実に当たる。


アイリーンは仁王門立ちから、枝を蹴り


「ムーンサルトニードロップ‼‼」


その体を空中に踊らせる。細い手足が丸められ、空中を回転して、その勢いのままに膝……


振り返ったファルオスは

「なっ」

まさかこっちを向く


「あっ、顔……」

こっちを向いたせいで、膝がしっかりと顔にヒット。すべての威力のました膝の一撃をファルオスは顔で受け止め……


グベホッ‼


「ぐふ……っ」

リングに沈んだ。


アイリーンは慌てて

「違うんです。顔狙った訳じゃなくて頭を……」

膝から地面と顔の間でメキョッってした感触を感じたアイリーンはファルオスを抱き起こす。


えっ、まったくダメージなさそう。


ファルオスは目を閉じて気絶してるようだったが、普通なら顔変わってしまいそうな一撃受けたのにどうともなっていない。鼻血すら出ていない。

しかし、その体はぐったりしている。


アイリーンは

「……気絶したふりしてます?」

気付いた。が、遅かった。


「捕まえたのだーーーーっ‼」

ファルオスの手はアイリーンの体を包む。


「やっ……」

バカだった。技決まったら走るべきだった。この……エロ魔王。


ファルオスは

「妻のやんちゃぶりにはいつも驚かされるのだー」

そう言ったファルオスの目はやっと捕まえたのだって顔だ。嬉しそうだ。


アイリーンは女の子のまま、そんな顔で

「追われたら逃げるのが女の子なんです……ぅ」

少し文句を言ったような顔になる。


ファルオスは

「そうなのか。それは気づかなかったのだ。女の子と言うのは難しいのだ」

そう言いながらも手を離さない。


アイリーンは

「もう、手を離して下さい」

かわいく言ってくる。


ファルオスは

「かわいいのだー。もうチューするのだ」

アイリーンのほほに唇を寄せる。


チュッ


そしたら

「きゃっ……」

アイリーンは思いがけず、自分で可愛い声出してしまったと、頭の中がカーッと熱くなる。


ファルオスは

「お触りの刑なのだー」


とたんに、

「アイスロックプリズン(容赦なしの奴)」


カチン


ファルオスは氷に包まれた。アイリーンは

「早く帰ってきて下さいね。先帰ってまーす」


ポン


アイリーンは男の姿のアイディーンに戻って帰っていった。


ファルオスはしばらく動けなかった。




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