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恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル4
53/67

鬼ごっこ1

ファルオスは

「遊んでほしいのだー。アイリーン」

子供っぽい視線を向けて、執務室の机の上にドーンと体を投げ出す。


アイディーンは

「アイディーンです。アイリーンは消えました。はい、どいてください」

また写経していた。心が落ち着かないからだ。


ファルオスは

「こんな物こんな物こんな物ー‼」

グシャグシャーっと丸めてしまう。そして、キッとアイディーンをにらみ、


パクン



「あー‼ちょっと、何するんですか‼体に悪いです。ペッして下さい」

あわてて子供に言うような言葉になる。


ファルオスはモグモグやって

「アイディーンが悪いのだ。モグモグ」


アイディーンはファルオスのほっぺた押さえ

「ダメですったら。お腹壊したらどうするんですか‼」


口を開けさせようとする。するとファルオスは

「んぐぐぐっ」

拾い食いした犬みたいに絶対口を開けない。


アイディーンは、

「口開けて下さい。じゃないと女の子にならないです。」


ファルオスは

「あー」

あっけなく口を開けた。しかし、半分写経した紙はファルオスの口の中にはもうなかった。


アイディーンはファルオスの口を隅々まで除き混み

「ああ……ない……」

どうしよう。お腹壊したら……。墨って何でできてるんだろう。紙は木からできてる植物性ならたぶん消火できるはず。


ファルオスは

「は……恥ずかしいのだ」

なぜか照れる。


アイディーンは

「もう……やんちゃばっかり」

少しふくれると、


ファルオスは

「アレより俺を優先しなかった罰なのだ」

そう言って少し顔が寄ってきた。


アイディーンは

「ファルオス様?」

キスしようとしてるな。


ファルオスは

「んーーーーっ」

顔を近づけてくる。


なのでアイディーンは

「ちょっと……」

そのおでこを押さえた。


ファルオスは

「女の子になるって話だったのだー」

言うが、アイディーンもキスするとかは言ってない。


「やです。やです。やですぅーっ」

キスされたら女の子になっちゃう。


そしたら

「う……お腹……痛いのだ」

ファルオスの手が緩む。


アイディーンは

「えっ?」

とたんに、ファルオスはアイディーンの腰に手を回し、その艶やかな眼差しを向けた。


「ん……」

深く唇が重なる。



ポン



アイディーンは女の子のアイリーンの姿に変わってしまう。ファルオスの背中をグーっで殴ってる。しかし、なかなか唇は離れない。ファルオスはわずかに離し

「見るほどに愛しくなる……綺麗なのだ。アイリーン」

そう呼ぶ。


女の名前で呼ぶなー‼


アイディーン……いや、アイリーンはファルオスの胸のへんで抵抗を続ける。するとまた


「はっ……む」

ファルオスは息を吸い込んで、再び口付けた。



あーーーーっ‼


アイリーンの心の中の悲鳴。

唇がだんだんハム、ハムっとされて、アイリーンの心も混乱が絶好調になってきた時、



あっ、霧になれるんだった。



アイリーンは霧に変わった。ファルオスの腕がスカっと空振る。

「なっ!」

ファルオスはその霧を捕まえようとしたけど、声だけする。


「このエロ魔王。知らない‼」

女の子の声がする。そのかわいい声や台詞にデレーっとしたファルオスは

「照れないでいいのだ」


アイリーンは

「アイスロックプリズン」

氷の塊で閉じ込める魔法だ。でっかい氷に顔だけだしてるファルオス。


アイリーンは実体化して

「ふーんだ。エロ魔王」

軽く蹴り入れてから出ていった。


ファルオスは

「ふんっ」


バキーン。


氷が粉々に砕ける。

「魔王には数秒しか足止めできないのだ」

等と言う。そして走り出した。


廊下を歩いていたアイリーンはギョッとして振り替える。そして、アイリーンも走り始めた。

「な……もう出てきたんですか‼」


「少し手加減しすぎたようだが、まだまだなのだー」

ファルオスの全力走りは早い。


アイリーンは危機感を感じる。これはヤバい。捕まったら何されるかわからない。

「ちょっ……止まって下さい。やです。怖いです」

追いかけてくるファルオスの目がマジだから怖い。


ファルオスは

「捕まったら全身お触りの刑なのだー」

いつぞやのかくれんぼの時のセレーディアみたいな事を言う。


これだから悪い影響与えるんだ。あのビッチのせいでー‼

アイリーンはひたすら逃げる。男に戻ってる暇もない。捕まったらまたキスされて女にされてしまう分、一瞬も無駄にできない。気を抜けない。


アイリーンは

「ブラッククラウド」

目眩ましの黒い雲をファルオスの方に放つ。これもわずかな時間しかもたないだろう。しかし、角を曲がって、ファルオスは距離感掴めず壁に激突した。

「ぎゃんっ」

ファルオスの潰れた音か?小気味いい音がしたな。アイリーンはニヤリと笑う。


これをチャンスに霧に変わって一気に隠し通路に入り込む。ファルオスはすべての隠し通路を把握してないのだ。




ファルオスがプルプルと首を降って黒い雲が目の前から消えた時、アイリーンにも逃げられた事に気づいた。近くに気配はない。


ファルオスは

「……面白いのだ。受けてたつのだ」

これはきっとそう、鬼ごっこだ。ファルオスはワクワクした。


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