温泉3
「アルプス一万じゃーく子槍のうーえで♪」
アイディーン……もとい、女の子の姿をしたアイリーンは慈愛に満ちた瞳でファルオスを見つめる。ファルオスと向かい合って子供のする手遊びをしてるのだ。
ファルオスは
「あっ、間違えた」
などと言いながらも一生懸命手を叩いたりしてる。これにアイリーンはうっとりなのだ。
ファルオスは
「あーっ、また、難しいのだー」
などと甘えた声を出すも、アイリーンは優しく笑いかけながら
「上手ですよ。もう一度最初から。はい、アルプス一万じゃーく♪」
また最初から始める。
ファルオスはまたアイリーンの手に触れながら、これが目当てなので、またニコニコしながらやる。
バドルが
「茶番だな」
今、ファルオスのあざとさに気付いているのはバドルくらいだ。
ファルオスが
「バドルがすねてるのだ」
ケラケラ笑ってくる。
アイリーンは
「じゃあバドル。しましょ?」
なぜかそうなってしまうも、断れる訳もなく
「ああ……」
バドルはやるのだった。しかもすごいやりこんでいたのですごくうまかった。なかなか子供の多い環境で育ってるな。当たり前か。普通の大人だった。学校も卒業してるようなやつだった。だから完璧だった。
アイリーンはそれでも、どうだ?って顔してる不遜な態度のバドルはかわいい
「良くできました♪」
誉めてしまう。
ファルオスはムカッとして
「アイリーン、お膝座りたいのだー。窓の外見えないのだー」
こうして、汽車の中でも楽しい時間を過ごし、膝を取り合って、ワイワイしたり、アイリーンをナンパしにきたオッサンをファルオスが頭突きで追い払ったり、別の車両から走ってきた子供と交流して走り回ったり。バドルも巻き込まれ、探検だ。ついてこいってなってた。
アイリーンはそれを見てニコニコしていた。
汽車は駅に着いた。
仲良しになった子供達とも別れ、その子達は凄く綺麗なお姉さんに凄く美味しいお菓子もらったーと親に言っていた。アイリーンは素直な子供も、かわゆー。と萌え萌えしていた。
それはともかく、駅を降りたら山深い紅葉も一際鮮やかな場所へと着いていた。温泉街は湯気が立ち込め、観光にも良さそうだ。季節ごとの美しさがあるだろう。
アイリーンは赤や黄色の木葉のひらひら舞う中、歩を進める。その美しい、儚い姿にファルオスも心がキュッとなるようだった。
アイリーンは
「あの旅館ですね」
きれいな指を差した先に木造の建物がある。趣ある古き良き佇まい。ファルオスはそれを
「オンボロ……」
とたんにアイリーンは口を塞いでくる。
「めっ、そんな事言っちゃダメです」
普段城とかそんな所ばかりで寝泊まりする者にそう言った趣は理解できないらしい。
バドルは
「風情あるいい宿だな」
大人発言には定評がある。
アイリーンは
「うんうん。ですねー」
そう。そう言ってもらいたい。時を重ねた木の重厚感とか、ここを訪れた旅人の気持ちとか。
ファルオスは
「木でできた家はいいのだ」
わかってる。要点は非常に付いている。そう、それだ。
アイリーンは
「入りますよー。失礼な事言っちゃダメですからね。」
たぶん女将とか、仲居さんとかいるはずだ。
中に入ると、いきなり生けた花がドーンと美しい。秋の花々。ユリを中心に白を貴重とした清楚いとした花は旅の疲れを癒してくれるようだ。
女将に案内され、部屋の中に入ると、リンドウの花が生けてあった。その心遣いにもアイリーンはグッとくる。
どう見ても親子じゃない子供二人連れは女将に不思議に思われたらしく。
「この時期は御家族連れが多いんですよ。皆様はえーと、ご兄弟ですか?」
実にわかりづらいご兄弟だろう。
アイリーンは
「弟と、そのお友達なんです。私しか予定が合わなかったものですから」
両親いるよってアピールだ。これで変に思われないだろう。
女将も
「あら、そうでしたか。伸び伸び旅行できて楽しそうですね」
等と言って、お茶の一式の道具や、説明をしてくれた。アイリーンがよくわからない顔していると、
「こうやって入れるんですよー」
入れてくれた。緑茶が香り高く注がれ、アイリーンは入れ方の要点はわかった。セルフでやるらしい。
夕飯は7時にお持ちします。って事で女将は出ていった。
ファルオスは
「お茶苦いのだ。砂糖入れたいのだ」
そうだった。紅茶しか飲んだ事のないファルオスは砂糖いつも必要としていた。
バドルは
「これはこのまま飲む物だ。諦めろ」
ずずーっと涼しい顔で飲む。
アイリーンもお茶を頂きながら、畳の風情や、木をそのまま使った柱や、その窓の向こうに見える紅葉の美しさに目を止める。
不思議だ。こんなに時間の止まったような場所があったなんて……
日々の疲れも、慌ただしい時間もここでは感じられない。少し風が吹けば、ハラハラと美しい葉がひるがえりながら優しく落ちていく。
そう……このまま何時間でもいれる……
そう思いかけた時、
「風呂行くのだー」
アイリーンの袖を引っ張った。
アイリーンはハッとする。どこか飛んでいってたみたいだ。
手にしたお茶が少しぬるくなっている。それをぐいっとやって
「お風呂じゃなくて、温泉。行きましょう。ちゃんと水着持ってきてますか?」
ファルオスは
「あるのだーむふふふ」
なんか笑っている。
なんだろう?アイリーンが自分のカバンを開けると……
「あれ?水着……」
競泳用の水着がない。太腿、二の腕まである安心の水着だ。その変わりに、真っ赤な水着が……
ファルオスは
「あの水着は捨てたのだ。理由はセクシーじゃないからなのだ」
この悪ガキ‼
バドルは
「おいおい。やりすぎだろう」
そうは言った。そのそばでテローンと取り出したアイリーンの水着見て
「しかし、変わりの水着があるならいい」
むしろ、グッジョブだ。
この水着……セレーディアの所で見たやつだ。ファルオスめ。そしてファルオスにこの水着渡したセレーディアめ。
アイリーンは
「後でほっぺたプニプニしますからね‼」
そしたら
「捕まえられたらなのだ」
などと捕まえるように誘ってくる。
アイリーンは
「プニプニしますーぅ」
怒ったふりして、追いかけ始める。そこそこ逃げ回っていたファルオスをバドルが捕まえてプニプニの刑にしたらバドルには
「いい子」
特別プニっとした感触のバグをもらった。バドルはデレッとなった。
温泉は天然の岩を使った露天風呂だ。広々してて、混浴なので、余計に広く作ってあるのだろう。プールみたいだ。水着が着用できるからそれもありがたいが、普通は別々で水着などの着用はなしの所が多いらしい。
何はともあれ、男女で着替える場所は別々だ。
アイリーンは
「かわいいから気おつけて下さいね」
等と、二人のかわい過ぎるチビッ子に言ったのだった。
中で、ハデな真っ赤な水着に着替える。こんなハデなの着てる人はいない。ピンクとか水色とかだ。
こんな責めた赤を着てくる人ってどうなのだろう。よっぽど自信あるようで、アイリーンはため息がでる。確かにアイリーンの赤い髪に合ってビキニからの腰に巻いた優雅な布が上品で、大人な女のようだ。
ピラピラとめくれれば、太ももと布の少な過ぎるビキニの腰の紐みたいな部分が覗く。絶妙に見え隠れするようなビキニのチョイスはセレーディアのセンスだが、確かに綺麗に見えるのだ。
アイリーンは
「うーむ」
恥ずかしい。あと、まだ女に慣れてないアイリーンは女の脱衣場ってかなり勇気が必要だった。あまり見ないようにしながら、さっさとロッカーに鍵をかけて温泉の方に向かった。
ファルオスは早くもバドルと遊んでいた。プールみたいにお湯を掛け合っている。
アイリーンは
「こらっ、他の人にかからないように。静かに遊びましょう」
お姉ちゃんみたいだ。諭すように前屈みになる。と、谷間がプリっとした。
ファルオスは
「うわあぁー。女神なのだー」
目を奪われた。
バドルも振り替えるとその美しさに息を飲んだ。
白い肌が水着の隙間から覗き、谷間も柔らかそうで美しい。すべらかな肌と、情熱的な水着。引き立つアイリーンの清楚な空気に、そんな水着選んじゃうの?っていうようなやらしさが感じられていい。
「めくるのだ」
ファルオスは子供ならではの特権使ってめくってきた。
アイリーンは
「きゃあっ⁉」
あわてて押さえる。
「ビキニなのだ。セクシーなのだ」
調子に乗ってるファルオス。
バドルはビックリしすぎてあわあわしてる。アイリーンは押さえるけど、ファルオスは前っかわだけでは満足できてないらしく、お尻っかわもめくろうとして、アイリーンはあわててお尻側も押さえる。
ファルオスは
「甘いのだー」
言うと、
「調子に乗ってると男もどるぞ。」
めっちゃすごんだ声をアイリーンが出した。怒ってる。
ファルオスは
「冗談なのだー女の子のスカートめくるのは10才の社交辞令みたいな物なのだ」
誤魔化した。
バドルは
「う……」
なんかさっき見た赤のヒモのビキニの光景が目に焼き付いている。
アイリーンは
「もう、エッチな子」
それでも10才ってだけで許される。
ファルオスはこれは乳もんでも許されるのだ?限界に挑戦して見たくなる。
バドルが
「ほら、大人しくしてろ」
内面大人のバドルは気まずい物を見てしまったとは思うけど、不可抗力。だから少し大人ぶって言う。
アイリーンは
「あぁー。気持ちいい」
温泉入って変な声出ている。ヤバいからあんまりセクシーにしないでほしい。
アイリーンは
「バドル、肩もんでくれませんか?」
そしたら、バドルは
「ああ」
ファルオスは
「左やるのだ」
二人それぞれ肩を揉ませてアイリーンは極楽
「あっ……いい」
ちょっとヤバい声を漏らした。




