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恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル3
41/67

絵を子供ぶって書くのだ3

とりあえずコスモスの咲く広場の辺りにピクニックシートを広げ、それぞれ好きにさせる事にした。

なんせ、三人は中身は大人で結構な魔物なので、連れ去られても、だいたい返り討ちになるのが関の山。セレーディアはそこでくつろいでいるだけでいいらしい。

チビッ子姿の三人はとりあえず何枚か書いてみようとの事で、コスモスの前でスケッチブックにえんぴつで奮闘し始めた。


その小さなファルオスと、バドルの後ろに座ったアイディーンは

コスモスを書きながら


ああ、ファルオスの白い右のほっぺと……バドルの黒い左のほっぺ……もっとこう……寄ってって、ピターッとくっつかないかな。アイディーンは思う。ファルオスとバドルの二人の距離がほどよく空いてるそこ、くっついてほしい。そして、むいっとしてほっぺたとほっぺたくっつけてほしい。


だんだんアイディーンのスケッチブックに二人の姿が書き出される。二人の少年がピッタリと寄り添い、ほっぺたをくっつけて絵を書いている所だ。

アイディーンの妄想は止まらない。それをセレーディアがのぞきこみ、

「まあ、そうなったのね」


決して現実ではない世界。もはや、コスモスなんて背景だ。

セレーディアは指差して

「ここに、小さなタンポポを描くといいわ」


妄想に花を添える。

ちょうど二人はこのタンポポを見て、コスモスなんて目に入らないように、競うように書き合ってるようで微笑ましい。アイディーンは

「お母様……わかってらっしゃる……」


もはや垂涎物だ。アイディーンの妄想はタンポポという花を飾られ、現実とは離れていくが物語を感じさせる作品にはなった。


セレーディアは他の二人の絵を眺める。

ファルオスはアイディーンとおぼしき女の子を書いていて、一応アドバイス通り人に見えるように書かれている。これならまぁ、やんちゃな10才の男の子が、好きな子書いたんだなーって伝わる範囲だろう。下手なりに一生懸命で微笑ましい。むしろ、下手だからこそいいのかもしれない。みずみずしい感性だ。


バドルの絵を見たら、なかなか上手だ。コスモスはちゃんと描かれて、影も綺麗に入れながら書いている。ちゃんと大人が描きましたという風情。ここで、いきなり七色に塗るのはどうだろうかと思うぐらいだ。10才ならこれは大賞狙えるかもしれない。



セレーディアは二人にもアドバイスしようと思ったが、このままで良さそうだ。

やたら鼻息荒いアイディーンの後ろから見たその姿を見つめたのだった。







アイディーンは書き終わり、夢一杯の大作にすっかり満足していた。

すると、目の前で一生懸命に書いてる二人の姿が気になる。

バドルは真剣に絵に向かい合っている。ファルオスはうーん。なんか美人にならないのだーって顔だ。


そろそろ休憩はさんで、ほっぺたつまませてもらってもいいだろうか?真面目に頑張ってるバドルにはいいにくい。なのでアイディーンはファルオスの所へ行き

「ファルオス様。いい事しましょ?」


こそっと言う。ファルオスは驚いた顔で

「いい事……なのだ?」


それを言うとアイディーンはコクンと頷き

「ほっぺた……いいですか?」


目を潤ませてくる。ファルオスはわかっていたけど、ちょっとがっくりしながら

「いいのだ」


筆を置いた。アイディーンは腕を伸ばし、そっーと指先で撫で、

「いいです。すっごくいい」


その張りの良さとすべすべさを堪能する。そのふくよかな子供ならではのほっぺたは極上。この感触……まず、こうやって最初はそっと触れながら優しくしますよーって油断させていく。

そして指を折り曲げて、その指の背で撫でていく。ちょっとこれから揉んでくかもしれないですよーって言う気配を感じさせておく。

そして親指……からの手のひらを沿わせていく……

「あああ……」


アイディーンは悶える。手のひらにしっとりと馴染んでくる。たまらない。この辺まできて、さらに嫌がる様子を見せなかったら一気に……

「ああーーーーーーっ」


アイディーンはもにゅっと揉む。ファルオスの凛々しい顔がむいっと変わって

「めちゃくちゃ伸ばすのだ……」


思ったより引っ張る。どこまで伸びるかって所を確かめられているのだ。そんなアイディーンの目はキラキラとしている。アイディーンは

「素直なほっぺですねー?」


なんか誉められてるようだ。しかし、素直なほっぺの意味はわからない。ファルオスは

「いいほっぺなのか?」


「いいですよ。すっごくいいです。素直部門では百点です」


そんな話がチラチラ耳に入って仕方なかったバドルが、

「まったく意味がわからないのだが……」


そろそろ突っ込みを入れた。バドルはもはや、集中して書けない。こっちもそろそろしてもらってもいいだろうか?バドルは

「俺は何点だ?」


等と言う。アイディーンはドキッとしながら

「えっ……」


キュンってしてる。バドルは

「俺のほっぺたは素直じゃないのか?」


そう言って近づいてくる。ファルオスは

「固くて0点なのだ。岩石みたいなのだ」


だから、しっしとしてくる。アイディーンは

「もう。子供のほっぺにそんな物ある訳ないです。そんなの鍛えすぎてほっぺたまで固くなったオッサンぐらいです」


そう言って、バドルが自ら言ってきたのをこれ幸いとばかりに

「さぁ、来て下さい。おいたはダメですよー?」


等と中身は大人の男を煽った。バドルはぐっとこらえ

「……ああ」


などと短く返す。ファルオスが

「むっつりスケベなのだ」

プリプリ怒っている。


アイディーンは子供にもてるのは最高なので、そんなファルオスの姿もいい……と思う。

「ファルオス様、待っててくださいね。バドルのを採点します」


ファルオスにしたみたいにさわさわと撫で始める。最初は指の腹を使ってその質感を楽しみ……

「ああ……」


なんてすべすべ。バドルのほっぺはファルオスほどボリュームはない。青年へと成長しようとする気配を感じさせ、それでも子供としてのほッぺの柔らかさ。これは大人になろうとする戸惑いを表現するかのようなのだ。

「わかります。その気持ち……戸惑いと不安」


アイディーンの不吉な呟きに、バドルは

「いや、そう言った物はないが……」


何をほっぺたから感じ取ったのだろう。アイディーンは

「しーーーっ」


そう言って、何もかもわかってますよーって顔してくる。だからバドルは取り敢えず黙る。

アイディーンは指の背で撫で、そしてそっとほほに手を添えていく。

「はあぁぁぁ」


なんて……なんて伸びやかなほっぺた……ファルオスより伸びはいい。ファルオスはふんわりしているのだが、バドルのほっぺたは非常に伸びがいい。

バドルの険しい表情もむいっと変わっていく。アイディーンは

「ああ……いいです。未来に羽ばたいていく……不安やなんかを退け、飛んでいきます……」


なんの話をしているのだろう。どこか飛んでってしまったのはアイディーンの方だ。恍惚としている。バドルは

「何点だろう?」


抽象的すぎて、ファルオスに勝ったかどうかわからないのだ。アイディーンは

「ふむ。そうですね。伸びやかな自由に満ちたほっぺたですね。頑固な子が見せるこう言った少年のような心はいいです。したがって素直になれない。ツンショタ百点です」


ファルオスは

「納得いかないのだー」


等と言う。アイディーンはバドルのほっぺたに片手を残したまま、ファルオスのほっぺたもなでなでして

「そもそも、子供のほっぺたに優劣つけようなんて。子供はみんな天使なんです」


アイディーンにとったらそう言うことらしい。つまりほっぺたでは優劣なし。バドルは

「ならアイディーンはどうだ?」


そっと手が触れる。アイディーンは

「おいたはダメって言いましたよー?」


ファルオスも

「自分だけ触るのなんてずるいのだー。俺も揉み揉みするのだ」

もにゅっとほっぺた握られた。子供に両方からほっぺた触られる……

「ああ……悪くないです」


子供のもみじのような小さな温かい手。その手がペタペタと触れてくる。なかなかアイディーンは幸せそうな顔するのだった。






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