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恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル3
38/67

煩悩を飛ばす滝4

ファルオスをガチで落とす事を決めたアイディーン。グイグイ押してくる。こいつは魔王だ。このぐらいで死なない。じゃないと貞操の危機だ。


ファルオスは

「やなのだーー‼」

言うけど、女になったアイディーンの腕力じゃあ、ファルオスの体なんて動かない。今ちょっと落ちるふりしてるのは、もはやイチャイチャの延長みたいなものだ。グイグイ押してくる手と、ちょっと近くなった体がムキになって近づいてくるのは、自分で抱き締めるのとは違った喜びがある。


もうちょっとしたら『なーんちゃってなのだ』っと、抱き締め、ちょっとお仕置きに叫ばせてやるのだ。




その時、


「ぶはーーっ、いたか。大丈夫か?」

色黒のガチムチな腕がそこの岩にかかった。カッパなら緑。バドルなら黒だ。

そして、一泳ぎしたぐらいの顔で激流を物ともとせず、岩に上がってこようとする。


ファルオスは慌てる。今いい所なのだ。もうちょっとの所なのだ。もう少しでちょっとうはうはする予定だったのだ。

「やめるのだ。定員二名なのだ‼」

黒いゴキブリ消すチャンスなのだ。

大人気なく蹴り落とそうとする。アイディーンはそんなファルオスの体を抑えて

「バドル、こっちだ」


女神のように岩の上からバドルに手を伸ばす。その手を掴んでバドルは上がってきた。アイディーンが女になった事で少しスペースが生まれたそこに上がる事ができた。

「やれやれ。なかなかたまには泳ぐのもいい」

なぜか上半身の白装束がはだけ、やたらガチムチの体披露しながらそう言った。


アイディーンは

「よかった……」

少し気が抜けたようだった。こんなアイディーンは初めて見る。

しかし、バドルは気付いた。ファルオスとアイディーン、ちょっと近くないか?と。

バドルは

「こっちにスペースある。もっと寄れ」


そう言うけど、ファルオスは強引にアイディーンを抱き締め

「震えて落ちそうなのだ。だからこれでいいのだ」


離さない。アイディーンは少し抗議するように暴れ

「もう、向こう行って下さい」


そう言ったアイディーンの姿は女の子だ。

ひたすらにかわいい。少し怒ってる顔、めちゃくちゃかわいい。


しかし、バドルはさらに気付いた

「どうして女の子なんだ?」

聞いてみると


アイディーンは少し目をそらし、女の子な高く震えた声で

「狭くて……落ちそうだったから……」

そう言った。


ファルオスは

「そうそう、狭かったから。なのだー」

素知らぬ、すました顔で言う。


バドルは少し首を傾げたままだった。まぁ、小さい方がこの岩の上ではいいか。アイディーンならではの気遣いなのかもしれない。

「まぁいい。さぁ、帰る方法を考えよう」

何も知らず、建設的な話しに移っていった。

バドルは

「アイディーン、霧になって向こう岸までいけるか?」

この激流を泳ぎのうまくない二人が安全に移動するにはロープかなんか必要だ。念のため持ってきたリュックにはそれがある。


アイディーンはビクッとして

「う……」

そう言った。気まず気な顔である。


ファルオスは

「そうなのだ。行くのだ」

言われる。


アイディーンは諦めて

「体がこれだけ濡れると無理だ」

白状した。

これで霧になった時、対処法がバレてしまう。気付いただろうか。この二人の男は……アイディーンが二人の顔を盗み見る。


バドルは気づいてない。

さっさと次なる作戦に移る事にする。もうロープ等と言わず、二人を沿岸に泳いで運ぶ方がもはや早いかもしれない。

「仕方ないな。俺が狼になる。アイディーン乗れ」

そう言った。


するとバドルは狼の姿になる。軽いアイディーンなんて余裕で運んでしまえそうな姿だ。ちょっと下の方に岩に足をかけ、うまく体を岩に乗せている。

バドルは泳ぎが得意なようだし、さっきもうまい事この岩までやって来た。きっと安心だろう。しかし……


アイディーンは

「またがるのか……」

この白装束足開くのはまずいやつなのだが……

今の女の姿で太ももまてガバッと開いて乗るのはすごく抵抗がある。


バドルは下心はないつもりだったが、千載一遇のチャンス

「ああ、軽い方がいい。女のまま乗ってくれ」

黒い狼は真面目な顔してそう言う。


ファルオスも、ちょっとやだなーとは思うけど、今は緊急事態なので、多目に見てうながす。

「乗るのだ」

安全あっての物だ。バドルは気にくわないけど、この際バカな犬はきちんと利用するのだ。


アイディーンは女の子の姿で少し戸惑いながら狭い岩の上を、なんとかバドルの方に行く。ピンクに染まったかかとや指先その足がそーっまたがろうとするが、絶対パンツ見える。それは男の時の物でセクシーな物ではないが、太ももとかも、見られたくないのだ。

ファルオスはガン見している。全然目をそらさない。


アイディーンは膨れて

「見たらダメです」

そう言うとファルオスは

「見えてしまう物は仕方ないのだ」

絶対みる気だ。


バドルは

「早くしろ。後ろ足が落ちそうだ。」

狭く、不自然に岩に引っ掻けたバドルの後ろ足はプルプルしていた。もはや待たせるのは悪い。


アイディーンはひらりとまたがった。素の太ももに犬の濡れた毛の感触がする。

諦めた白い太ももは美しく潔く太陽に照らされた。ファルオスからは一瞬赤いボクサーパンツが見えた。


『赤』


ファルオスはしっかりその心に焼き付けた。

バドルは

「しっかり体も捕まってろ。流されないようにな」

そう言った。だからアイディーンはしっかりと体もくっつける。


ピッタリ


バドルは

「ああ、乳が……」


アイディーンがスパーンとバドルの後頭部叩く

「お前がしろって言っただろ」

女の子の声ですごんだが、全然怖くない。叩かれても痛くなかった。


ファルオスがこのままの状態が続くのも面白くない。

「さっさと行くのだ。エロ犬」


バドルは

「はいはい」

岩を蹴って、水の流れに飛びこんだ。


「ひゃっ」

アイディーンの女の子の声が耳元からした。体の隙間を流れる水が、次の瞬間にはピッタリと張り付いたアイディーンの体で遮られる。さっきこの激流に揉まれたアイディーンは少し怖かったらしい。

できるだけゆっくりと犬かきをする。流されるふりしたり、ちょっと姑息なふりしてこの時間を楽しむ。


アイディーンの太ももがキュッてする。流れが早いからだ。パンツ一枚、素の太ももはバドルの体を離すまいと絡み付いてくる。


ああ……いい……


こんな危機感のある今なのに、ちょっと良からぬ妄想してしまった。

このぐらいの流れはたいした事はない。なのに、こうやって震えて軽いアイディーンを背負っていると、怖くてたまらないアイディーンの初々しい震えやなんかは直に背中に感じられた。

たっぷり時間をかけて浅瀬までたどりついた。


「アイディーン、もう大丈夫だ」

バドルは男の姿に戻る。アイディーンをおんぶして、その生々しい太ももを手で支えてやる。武骨なその手でもわかる。濡れた吸い付くような肌。


「まっ……まって腰抜けた。」

アイディーンは怖かったらしい。まだしっかりと捕まっている。頼りない儚い存在を背負って張り切るのが男。気づいているだろうか。柔らかいそれもピッタリと張り付いていると言う事……背中が天国みたいな事……

浅瀬だが、向こうの岸まで運んでやろう。


するとアイディーンは気付いた。

「裸……⁉」

岸に上がろうとしたバドルは例のごとく全裸だった。


バドルは

「あっ」


とたんに、

「この露出狂。死ぬのだ‼ダークネスアロー‼」

まさか、ファルオスが遠くから魔法打ってきた。


ヒュンとそばをかすめる。


アイディーンは

「ファルオス、やめろ‼」

慌てる。もはや、バドルおろせ‼


バドルは

「やれやれ」

露出狂は良くないのですぐに狼の姿に戻る。

アイディーンは離れながら、まだ腰が抜けてるものの、白装束の太ももの辺りを整える。


「まったく。ちょっと許せばこれなのだ。素肌でアイディーンのもち肌味わうのはやめるのだ‼」

ファルオスは怒って泳いできた。まっすぐやってくる。


それを見たバドルは泳げるんならさっさとロープでも取ってこいよ。このヤローと思った。

ファルオスも岸にたどり着き

「この変態犬め。ビックリしたのだ。ハレンチなのだ。粗末なもの見せて犯罪なのだ。少しは女の子って事も頭に入れるのだ」

なじっていた。


アイディーンは



ポン


男の姿に戻り

「バドルの方が紳士でしょ……」

さっき言った言葉そっくりそのまま自分にも投げ掛けてもらいたい。忘れてないぞ。


『このまま、滝のような猛り狂った気持ちに身をゆだねてしまうがいい』

だったか。ちょっと衝撃だった。


ファルオスは

「こんなフルチンのやらしいのには負けてないのだ」

ここぞとばかりに責める。


バドルは犬の姿で

「それは悪かったと思う。わざとじゃない」

そうあっさりと認めて言う。バドルの方が大人だ。全裸引いたけど。



アイディーンは無事な場所に来た事で冷静になってくる。

スッーーーーと冷えた頭の中、なんかすごいセクハラ受けた事。滝に巻き込んだの差し引いても、俺は被害者。

「飛骨竜の元にかえりましょう。着替えてお昼でも食べて帰りましょう」

そしたら、なかなかどうでも良くなった。

無欲とはよく言った物だ。本当にどうでもいい。なんか、もはや疲れた。


ファルオスは

「お昼なのだー。やったのだ」

もはや、いつもの子供のような顔してる。こっちは無欲にはなっていない。


バドルは

「ああ。でも、なんで滝行なんてしようと思ったんだ?」

そんな疑問を聞いた。


アイディーンは固まった。

首筋にキスされて女の子になるぐらいの煩悩ちょっと飛ばしたかった等とは言えない。

「ああ、無欲になるのかなって。二人が……」

二人をダシに使った。


バドルは

「無理だったな」

子供のようにくしゃりと笑った。


ファルオスも

「なのだー」

ニコニコしていた。


アイディーンは

「う………そうか。なら仕方ない」

無欲などと、そうそうならないか。民間伝書なんてそんな物。アイディーンは諦めてしずしずと体に張り付く白装束のすそをちょっと気を付けて歩いた。



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