表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル2
25/67

BBQしよう3

バドルが用意していると、アイディーンがやってきた。


「バドル。バーベキューの用意をしているのか」


バドルは、直前まで秘密にしとこうとか言っていた魔王の出し抜かれた事を知る。いい所は全部持ってく。こんなに下準備ばっかりやらせてあいつは……

「ファルオスの奴め……しゃべったのか」


アイディーンはかわいそうになった。

「まぁ、そうだ。なんか苦労かけているようだな」


目の前でカゴにたくさんの野菜をたわわに収穫して持ってきた男、バドル。たぶん牛も、ファルオスが引き金なのだ。バカ真面目に牛を狩って来た男は被害者だった。咎めるべきはそもそもあっちの魔王だった。


アイディーンも鬼じゃない。この振り回された男が憐れだ。今も農園からたくさんの野菜を収穫してたらしい。まったく、マメな男だ。


バドルは

「まぁ、たまにはいいかと思ってな」


アイディーンは

「なら、手伝う」


まさか、そんな、いきなり二人っきり。早くもマメな男がモテる説は有効か。

アイディーンは手際良く、この前出来たばっかりのテーブルにテーブルクロスを敷いたりしてる。


イスにも薄手の座布団。アイディーンが来た事で、細かい所にも行き届いていく。これで、女の姿になってくれたらなー。なんて思う。


コック長が来て

「食材の準備は任せてくれ」


アイディーンは

「なら、バドルには、バーベキューセットを頼みたい。いいだろうか?」


倉庫になぜかあったバーベキューセット。あれがちょうどいい。


バドルは

「ああ。役にたつ日が来たな。あれは俺の物だ」



おいおいおい。何勝手に私物を人んちの庭の倉庫に置いている‼


バドルは

「いや、いつかできるとは思っていたんだ」

ウキウキしてる男は言った。



アイディーンは

「はぁ……」


もう、突っ込み入れてても始まらない。アイディーンも夜になるなら暗くならないようにしなければならないし、庭も少しは片付けておきたい。


なんだ?この勝手に置かれた何かを燻製にする設備は……中にジャーキーだと?何気なく、ここ、バドルの庭になってってないか?

見た目が悪い。後でどかせよう。











そうこうしていたら、夏の夕暮れ時。上品な蹄の音を響かせて馬車が到着した。そこから降りてきたのはこの世の者とは思えない美しい女性達。

ついさっき手紙を受け取ったとは思えない早さでやって来たアイディーンの家族は3名だ。

妹2人。

母1人

それぞれ美しく着飾っている。バーベキューと言う事で、妹二人はサマードレス。セレーディアはビロードのガチなドレスだ。


出迎えたアイディーンとファルオス。ファルオスはタキシードに身を包み、パーティーかなんかと勘違いしてそうで、セレーディアにぴったりだ。


「アイディーン。会いたかったわ」

などと言うセレーディア。しっかり着飾って、何日も前から準備してたみたいだ。まぁ、パーティー等は好きなので、隙あらばそういう格好できるように普段から準備しているんだろう。


アイディーンは来なくていいのにと思いながら、

「セレーディア。よくもまぁ来て下さいました……」

本音がうっすらにじんでる。


ちゃっかり来るんじゃない。帰れ‼

そう思っていたら横で一緒に出迎えたファルオスが

「相変わらずお美しいお母様だ。そして、その御家族も」


おや?しゃべりがまともじゃないか?どういうつもりだ。


ファルオスは胸に手をあて、

「初めて会う者もいるだろう。私はファルオス。このアイディーンと婚約している」


とたんに、アイディーンは、後ろからスパーンと殴って

「っていう、漫才を考えていたんだ。さっ、余興は終わった。コック長が肉を焼いてくれる。みんな庭に行ってくれ」


手にはスリッパが握られている。

危ない所だった。用意しておいて良かった。いつか使うと思ったんだ。みんなを庭に誘導し、そしたらファルオスは膨れ

「嘘じゃな………」


まだ言おうとする‼

とたんに、アイディーンに口を塞がれるファルオス。

「お前……婚約は一度破棄するって言ってたじゃないか。お友達だろ?」


ファルオスは

「ああ、名目は友達だが、ゆくゆくは嫁だ」

まさか、お友達詐欺‼

この……なら、今回のはいいお披露目会ぐらいに思ってるな‼


アイディーンはちょっと怒って

「もう余計な事言うな‼言ったら口聞かない」

こんな子供みたいな事言った。


なのに

「むむむ………」

ファルオスは口をつぐみ、引き下がった。意外に効く。


ちゃんと口を閉ざしてくれそうだ。なので、庭に向かった。バーベキューセットの上には肉が並び、香ばしい食欲をそそる香りが立ち込めている。適当に始めといてくれって事で家族はそれぞれ談笑している。


父が来なくて良かった。親バカの魔王軍大将は長男をとても大切にしていた。長男以外、自分の血が入ってなさそうだからだ。

父はセレーディアの奔放な所も含めて愛しているから、自分の子供でなくても大切に育てたが、アイディーンは特別可愛がっているのだ。


今日来たのは妹二人。

マリー

ミイユ

この二人は比較的ビッチじゃないので良かった。


ただ、マリーはただ飯大好きなドワーフの血を引くの女の子だ。

見た目こそ、淫魔の血を引くだけあって美しいのだが、やたらお金の計算が早い、がめつい時がある。つり目で好奇心が旺盛。なので、恋は攻めるタイプだ。


ミイユは内気っぽく見せときながら、生き血を好む吸血鬼だ。

血をくれるって言うの引き出すために、弱って見せたり、ふらついて見せたりする。味がタイプだと、キープ君と称して、手頃にすぐ呼べる位置に期待持たせたまま転がしとく。騙されたらダメなタイプな人だ。



それでも、アイディーンの家族の中ではまだ協調性のありそうな人を連れてきたので助かった。アイディーンの家族はセレーディアの血の影響か、突拍子のない人が多い。まともなのはアイディーンぐらいだ。


マリーは高そうな物を何円くらいか値踏みしてるし、ミイユはスッゴい生肉見てる。


セレーディアは夜の蝶のような美しさで話し掛けた。

「アイディーン。相変わらずうまくやっているようね」

さっきの婚約うんぬんの話しだろう。すぐ真に受ける人がいるんだからやめてほしい。


アイディーンは

「あんな冗談。本気にされたら困ります」

上手に誤魔化したはずだ。


そしたら、妹達もやってきた。

マリーが

「なんであんなええ男ひっかけたん。あたしにちょーだい」


くそっ、しゃべりがチャキチャキなのが玉に傷なんだ。かわいい顔なのに……


ミイユが

「どんな味がするのかしら~。魔王なんて美味しいに決まってるわ~」


ミイユは顔は何でも、味さえ良ければスライムでもすするような女だ。ビッチではないが、悪食でえげつない。


そんな女達にモテてるらしい。ファルオスは……



セレーディアは

「魔王様も気合い入れたファッションね。あれは本気で家族に婚約宣言する気でいたって事ね」


ファルオスは、さりげなく社交界でも出るのかって格好だ。なんだ。そのタキシード。髪型もビシッとオールバックに決めるな。余計に腹立つ。


マリーが

「ねー魔王やん。婚約するん?うちの兄やんとー」


絡んでいってるーーーー‼


アイディーンはあわてて

「こら、マリー、相手は魔王様だ」

いくらなんでも初対面でそれは馴れ馴れしい。言葉使いも気をつけてくれーーーーー‼


マリーはヒラヒラ手をふって『えーやん、えーやん』って風情で

「堅苦しい事はなしでいこー。やって家族やん?あたし達」

そう言って、その手をファルオスの腕に。


アイディーンは

「こらーっ‼さっきのは漫才だ。真に受けるな。手を放せ」

よくよく考えてみろ。相手は魔王だ。雲の上の人だぞ。


ファルオスは実に気分良く、焼いてくれるフィアンセは可愛いのだって顔してる。それがまたムカつく。

「マリー。婚約者が怒っている」


マリーの腕をどける。マリーは

「キャーやっぱ婚約者ーやばー」

テンション上がってる。


こら‼ファルオス‼そう言う事言ったら口聞かないって言っただろ‼


ファルオスはすっかり忘れたように

「妹君もお美しい。しかし、心に決めた女性は1人。アイディーン。君だ」


しゃべり方おかしいぞ。家族の前だからってキャラ作ってくるな。正式な場では、『なのだ』って言うなって言ったけど、カッコつけるな‼


アイディーンはもう聞いてられない。

「まぁ、全部その人の妄想だ。勝手に言わせておけ。ファルオス、もう口聞かない」

きびすを返して、怒って行ってしまった。


ファルオスはあわてて

「アイディーン‼」

呼んでもアイディーンはさっさと行ってしまう。


ミイユがクラゲのようにフワーと寄ってきて

「魔王様、振られてます?」

ここぞとばかりに声をかける。


ファルオスは取り乱し

「なぜなのだ。何がいけないのだ‼」

ついに、『なのだ』が出た。


マリーは悪いけどって顔で

「魔王やん、本気で好きなんや。兄ちゃん恋に対して潔癖やからな。オカンがあばずれやから、そのせいで軽く好きとか言うと毛虫みたいに扱われるで」


遅いのだーーーーーー‼


ミイユも

「だいぶ冷たい対応でした~。もう無理かと」


ガーン



セレーディアもやって来て

「それでも好きなのでしょう?魔王様」

セレーディアだけは味方なのか。ファルオスは希望に満ちた目でセレーディアを見ると


「アイディーンはお酒を飲んだ事がないの。飲ませてみてはいかが?」

息子を売り払う鬼畜だった。


ファルオスは

「やってみるのだーーーー‼」

ファルオスはそこの飲み物を手にとって行ってしまった。


そうなると、自動的に妹達のロックオンはバドルに向く。


マリーが

「なーめっちゃ肉焼いてくれるやーん。兄さん何系の魔物ー?」


なついてきた女の子。

バドルは、やはりアイディーンの家系は美人揃いだと思う。

「狼系だ」


そしたら、マリーは

「えーマジかっこいじゃーん。狼系って女の子にもそうなん?」

グイグイくる。バドルも悪い気はしない。


ミイユも寄ってきて

「お兄さんの太い腕……美味しそう」

その美味しそうは違う意味だ。ご飯としてだ。


バドルは

「はは。参ったな。さぁ、みんな食べてくれ。肉は今朝取り立てだ。野菜は裏の農園で出来た物だ。新鮮で美味しいぞ」

一生懸命振る舞うのだった。











自室の片隅でムスーっとするアイディーン。ファルオスは

「アイディーン……」


電気も着けずそんな所にいたアイディーン。声にも背中を向けたまま、プイッと横を向く


ファルオスはそんなアイディーンに近寄って

「アイディーンがいなくちゃ意味がないのだ。だから怒っているなら謝るから、一緒にバーベキューしてほしいのだ。」

一生懸命訴える。


アイディーンは怒ってるらしい。返事もしてくれない。さっき口を聞いてくれないって事だったから返事なんてしてくれないのだ。


ファルオスは少し反省する。

「悪かったのだ。反省して、ずっとここにいるのだ。飲み物なのだ。ジュース」


ファルオスは甘い系の飲み物を手渡した。

ファルオスもまた、若干鬼畜だった。

それは酒だ。


アイディーンの態度はまだ硬化したままでも

「勝手に……家族にあんな事言われたら困ります」

やっとしゃべってくれて、飲み物を受け取ってくれた。


ファルオスは

「それでも、知ってほしかったのだ。ちゃんとアイディーンの家族にも、自分の事を家族だと思ってもらいたいのだ」


アイディーンは

「それでも……俺は待ってほしかった……」


アイディーンは私と言わなかった。プライベートな時のアイディーンは『俺』と言う。心を開いてくれた証拠だった。


アイディーンはジュースをあおり、

「なのに、あんなさっき約束したことも守れない男なんて………んー。ん?」


アイディーンは飲み物の入ったコップを見た。

怪しんでる‼


ファルオスは汗がダラダラ出る。バレた。怒られる。


アイディーンは、まぁ、いいやって顔して、

「んーだから……そんな男…………ちゅーしたいー」


まさか‼急にデレるだと⁉


ファルオスは

「ちゅーしたいだと⁉」


アイディーンはくねっとして、

「ちゅぅ…したい……♪」



ポンッ



急に体が女の子に変わった。服に対して体がちっちゃくなり、目がウルウルして、ほほも唇もふっくらする。立っていられなくなったのか床にへたりこんでいる。

そでが合わなくなって自動的に萌そでになる。萌え袖を口元に持ってって恥ずかしそうに口元を隠してる。胸元はパツっとなる膨らみ。


ちゃんと女の子だ‼けど、なんか見てはいけない物を見たのだ‼

ファルオスがあわてていると、


「さぁ、今がチャンスよ‼」


セレーディアの声がした。

ファルオスは慌てて

「だ……ダメなのだ。そんな……」

後で死ぬほど怒られるやつなのだ。


アイディーンは

「お母たま。なでなでしてーーー」

セレーディアに向かってった。むぎゅってなって、その大きな胸に埋もれている。そして、幸せそうな顔。


壊れてる。いつものアイディーンじゃない。


セレーディアは

「抑圧された感情が解き放たれているわね」

とりあえず、自分の乳に埋もれたアイディーンの頭を撫でる。


ファルオスは

「抑圧された……?」

いつも我慢してるのか?母になでなでしてほしいと……


セレーディアは面白そうに

「そう、今ならこの子の本音が聞けるわね。ねぇアイディーン。お母様をどう思う?」

聞いてみる。


アイディーンは女の子のキラキラした笑顔で

「すごく美人のビッチ」


本当にひどい言い様だった。セレーディアは

「嬉しいわ。そんな風に思ってくれてたのね」

猫にするみたいにほっぺたをグリグリする。アイディーンは余計に嬉しそうだ。


母は、常にそう在りたいと思っているらしい。わからない親子。


セレーディアは

「魔王様の事はどう思ってるの?」


ファルオスはあわてて、

「まっ……待ってほしいのだ」

心の準備が‼酷い事言われそうなのだ。


アイディーンは可愛すぎる笑顔で

「クズの美形」


ファルオスは叫んだ

「あーーーー‼」

嬉しいようで、ダメなような。でも美形‼顔だけは好かれてる。たぶん。


セレーディアは確信に触れようと

「好きか嫌いかは?」

聞いた。


「んー。んふふふふ。えへへ」

なんか幸せそうに笑っている。なかなか答えない。もじもじしてほほを染めるばかり。


ファルオスも確信に触れたい。

「アイディーン。答えてほしい」

真摯な顔で訴える。


と、

「すーーーー」

眠ってる。


セレーディアは、

「………」

寝たわ。そんな顔でファルオスを見た。ファルオスはとりあえずそこのベッドに寝かしとこうと思う。


「寝かせるのだ」

そのアイディーンの体をベッドに横たえておいたのだった。









しばらくして、目を覚ましたアイディーン。記憶はさだかではない。それはともかくバーベキューに戻って来たアイディーン。

いつの間にかベッドにいたなんて……ふらふらする。どうしたんだ。


ファルオスはその姿を見つけるとすぐにそばに来て、

「あ……アイディーン。大丈夫なのだ。支えるのだ」

やたら、甲斐甲斐しい。背中に手をあててくれる。


アイディーンはまたはっきりしない頭のまま、

「うーん。なんか……ふわふわするんだ」


そして、さっき誰かに頭撫でられた気がする。あと、なんかスッキリしてる。


ファルオスは目線が泳ぎ、アイディーンは

「なんか……いいな。バーベキュー」

少しまだ酔いの残ったまま、少女の姿のアイディーンは言ったのだった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ