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恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル2
23/67

BBQしよう1

アイディーンは何も知らなかった。仲の悪い二人が手を携え、バーベキューを企画している事を。












「バーベキューなのだ」

その日あまり頭の良くない魔王ファルオスは言った。


1日に振り回されて、疲れきったバドル。ブランコ作りなんて面倒臭い仕事の大半はやった。耐久性の気になる物だったから、手を抜かないで作りたいバドルはこだわった。そしたら、そのほとんどを自分でやってしまっていたのだ。


ファルオスは無難に計測や、ペンキ塗り。ちょこちょこと下っぱのような事はやってくれた。


ブランコが完成したから疲れて揺られていたバドル。なのに、まだまだ終わりじゃない事を知る。出来たら終わりなんて、そんな甘い事はなかった。


バドルはもう、おもりは嫌だ。


わがままばっかり言って自分がやった方が早いのに、むしろファルオスは何もしなくていいと言いたくなる。アイディーンのようにはうまく転がせない。


「いや、コック長にでも頼めばいい」

面倒見のよいコック長に丸投げしようとした。自分より親身になってくれそうだ。


そしたら、ファルオスは

「なんか避けられているのだ」


一度は頼もうとしたのに、うまい事逃げられたのだろう。

だからこっちに来たか……


かわいそうにコック長に嫌われているようだ。かわいそうなコック長。コック長こそが、かわいそうだ。


バドルは、気のいい人にまで避けられるなんて、よっぽどだな。などと思う。なんか迷惑かけたんだな。


ファルオスはそれでも諦めなかったらしい。


力んで熱弁する。

「だから、アイディーンを喜ばすために、バーベキューを俺達の手ですれば、評価が上がって、アイディーンが少しは女になるかもしれない」

意気揚々と言う。


バドルは、とたんに

「やろう‼」

力強く言った。


単純な構造の男だった。バドルは男のアイディーンは好きじゃないが、女となれば、誰より好きだ。清純な身持ちの固い女で、婬魔で自分だけにデレてくれたら最高だ。そんなアイディーンの女の子姿想像すると、やたら張りきってしまうのだった。










そんなこんなで男達は仕事をほっぽりだして消えてしまった。

バトルもファルオスはどこ行ったーーーー‼

アイディーンは怒りでプルプルしてる。













灼熱の燃える大地。見渡す限り植物はない。植物の種は風で運ばれた先、すぐ炭へと変わってしまう。ここは、割れた地面から、マグマや火が吹き出す。どこか薄暗いのに、赤々と光が灯る。


こんな命を感じさせないここにも、命はある。火ヤモリ、火カエル。意外にも普通にいる。


バドルは汗を拭いながら、

「まずは肉だ。これがうまくないと、バーベキューなんてただの焚き火だ」

やたら暑苦しくそう言った。


ファルオスはもっともだと思う。肉ばかり食べる男達にとって同意である。


ファルオスは黙ってついてきたけど、なんか変な所にいるのだ。と思う。

「どうしてここなのだ?」

ちょっと道間違ったじゃすまないぐらい変な所にいるのだ。牛の肉なら牧場に行けばいい。それでなくても、本当は肉屋で買えばいい。


こんな牛がいるだけで、焼き肉になってしまいそう環境で何をすると言うのか。おかしな話だ。


バドルはやたらドヤ顔で

「炎牛だ」

若干イラッとくる顔で言った。


あっ、なんか牛か?


ファルオスはバドルがバカだと思っていたのを改め、話を聞く気になった。


バドルは得意気に

「肉なら高級な物もたべた。しかし、この牛に勝てる物はない。食べたとたん、肉汁も染みだし、油も上品だ。臭みもない。まさにアイディーン好みだろう?」


もう勝った気でいるのかはわからないがイラッとする。しかし、まさかよく考えている。知らないうちにアイディーンの好みまで語ろうなんて、この黒いウジ虫はどっかで潰さなくてはならない。ファルオスはそう思った。


バドルは、その辺を歩きながら

「炎牛は警戒心が強い。まずは二手に別れよう。見つけたら呼んでくれ」


そう言うと、ファルオスは

「呼ばないのだ。自分の手柄にして、アイディーンに誉めてもらうのだ」


バドルは、ちょっと、切れて

「このっ、なら俺だって呼ばない。誉められのは俺だ‼」


二人はにらみ合い、ファルオスは

「牛を狩った方が誉められる。バドルはせいぜい野菜でも出したらいいのだー」


バドルは鼻で笑う。

「なら、牛を取れなかったファルオスは何を出すんだ?野菜すらだせないようだな‼」


ファルオスはプクーっと膨れ、

「もうバドルなんて知らないのだ‼」


バドルもプイッ

「俺だって‼俺だって知らないっ」


二人はそっぽ向いてしまった。早々に仲間割れしてしまった二人。やはり、ライバルが協闘など、ブランコがせいぜいだったらしい。



二人それぞれの道を先、炎を纏った牛が現れる。



バドルは素手で殴りかかる。


ファルオスは剣で一撃。


ふふ。これで誉められるのは俺だ。二人はニヤリとした。









そう思いながらファルオスが城に帰るとその門の前、わずかに先に着いたバドルが城にも入れてもらえず、そこで正座させられている。そこの脇に牛が転がっている。


「牛……どうしたんです?言ってごらんなさい?」

静かに怒っているアイディーン。バドルは萎縮したように小さく見える。

ファルオスは牛をかついだまま、でっかい岩影に隠れ、見守る。


バドルは何か答えようと

「いや……牛……うまいだろ?」


なんとか誤魔化そうとした。バーベキューの事はまだ言ってはいないらしい。ギリギリまでアイディーンには秘密にして、ビックリさせようという約束を守っているらしい。


アイディーンは

「それで仕事を投げ出して狩りにいってたんですか?あなたは‼」

怒っている。仕事の大半するようになった犬がいなくなったら困るからだ。


ざまーバドル。ファルオスにはちょっと気分がいい光景だ。


バドルは

「くっ……俺はお前に美味しい牛肉を味わってほしいから……」

ぐすってしてる。


アイディーンは、畳み掛ける。

「仕事‼これ以外で俺を喜ばせれると思っているのか‼牛なんて一頭取ってきてどうする‼こんなに食えるか‼どうやってさばくんだ‼」

そこに転がってる牛を見た。でかでかとした真っ黒い牛が横たえている。それは、バドルよりも大きいのだ。


何人の、何日分の食事だ‼


そのぐらいの牛だ。


ファルオスはすすっと担いだままの自らの牛を見た。ここにもう一頭いるのだが……?


バドルは、

「それは考えてある。だから、城に入れてくれ」

もはや、頼んだ。


アイディーンはふんって城に入っていく。あきれ倒した。そんな顔だ。


ファルオスはそっと牛しょってやって来て、

「バドル。牛作戦は失敗か?この牛二頭どうしたらいい?」

いいタイミングで帰ってきたファルオスを、バドルは殴りたい。


俺だけ怒られた。バドルは、こらえ、

「とりあえず、さばいてコック長の冷蔵庫貸したもらおう。ファルオス……悪いがお前の権限で頼んできてほしい……」


ファルオスは牛を置いて

「行ってくるのだー」


走っていった。




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