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恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル1
2/67

野菜を作ろう2

岩のむき出しになった土の荒野。この地に生きとし生けるものは死にたえ、ありとあらゆる者の侵入をはばむ。ここを通ってこようなどと、魔物か勇者ぐらいだ。

魔王城をのぞむここに畑を作ろう等と、まず無理だったのだ。闇の障気を含む風。視察に来たものの、土も痩せて小石も多い。何もかも無理た。


そしたら

「やれやれ、お困りのようだ。アイディーン」


ふいに声をかけられた。そこに黒々と日に焼けた、やたら筋肉隆々の男が立っていた。アイディーンと同じ、側近という役職の男だ。

濃いい以外の何者でもない男だが、この男もそれなりに整った顔をしていた。ニヤニヤ笑いながら

「またファルオス様のわがままに付き合ってるんだろう?」


そう言って組んだ腕をほどいた。アイディーンは

「バドル…お前がいつも都合の悪い時にいないからだろう。さっきもどこにいってたんだ」


そう言うと、バドルはやれやれと手をあげて、

「嫌な予感がしたんだ。あたっただろ?」


ドヤ顔でいった。それを見たらアイディーンは血が沸騰するかと思った。それも、心にしまって、

「しかし、困った…どうやら無理なようだ」


そんな呟きをバドルは見逃さなかった。黒豹のような体をしならせ、後ろを向いてしまったアイディーンの視界に入り、

「つまり、どういう事だ?」


興味津々なようだ。しかし、もうここには用はない。アイディーンは

「いや、いい」


行こうとしたら、バドルは

「アイディーン。言ってみろ。」


そう言って行こうとした前に立ちふさがった。もはや邪魔だ。この大男め。アイディーンは

「ファルオス様は野菜を作りたいんだそうだ。」


話すだけ話してさっさと通してほしい。そしたらバドルは

「ほほう。だからここに…なるほどな」


思ったより食いついていた。アイディーンは

「またバカな事を思い付いたもんだ。お前からも言ってやってくれ。無理だから諦めろ。このバカアホマヌケって」


そしたらバドルは

「ふふ。投げ出すとはな。アイディーン。お前は無理といったな。」


そう言ったので、なんかめんどくさいフラグ立ちそうで逃げようとしたらバドルは

「俺がここに畑を作ることができたら、お前より優れていると言うことだ」


ビシィィィ


っと指を指してきたので、アイディーンはその自分に突きつけられた指を優しく折り曲げ、

「無理だ。やめとけ」


にこっ


そしたらバドルは

「いや、これは俺の有能さを証明するいい機会だ。俺がいつまでもお前の下で甘んじている男ではないと言うことをわからせてやろうではないか」


そういうのでアイディーンは

(あっ、めんどくさい。こっちにもいた。バカアホマヌケ)


そう思いながらも早くここから立ち去りたいのだ。アイディーンは

「それならどうぞ。楽しみにしています。」


にこっとして、社交辞令だ。さっさと逃げるに限る。そしたらバドルが

「ハーハッハッハ。俺が勝ったあかつきには…」


そう言って、振り替えったら、アイディーンはいなかった。バドルは

「ふっ、まぁいい。思い知らせてやる。アイディーン」


こうしてバドルは自慢の肉体で、そこの大きい岩をどける作業から始めたのだった。





 ーまた、場面変わってー



そして、数時間後。アイディーンはテラスで

「そうです。あっ…まって、そんな一気に…」


困ったように言った。ファルオスは

「いいのだろう?ほら、もっとだ」


ホームセンターの野菜の土とやらを、プランターに命一杯流し込む。アイディーンは、やめろ、このクソバカ。などと思いながら、

「そんなに入れたら苗が入らないじゃないですか」


そこに、袋に入ったトマトの苗が1本。そしたらファルオスは

「ふふ。魔王ジョークだ。笑え」


無茶をいった。アイディーンは

「はははっ。もういいですか。じゃあ苗植えてください」


塩対応だ。ファルオスはしょぼんとして、

「もう、やらない。アイディーン冷たい」


すぐにすねる。アイディーンはイライラした。誰が好き好んでさっき人間のふりして、ホームセンターなんぞに行ってきたと思ってる。ふざけるな。


心の叫びもしっかりと心の中にしまって、

「冷たかったですか。謝ります。さぁ、トマトの苗が待っています。植えましょう」


いったい、外見20歳過ぎの男に話しかける言葉だろうか。口からヘドがでそうでも仕事人間のアイディーンは、これは仕事、これは仕事と、繰り返した。ファルオスも機嫌をなおし、

「そうだな。よしよし、って、これ、トマトなってないぞ。むしろ草だ」


ああ…そこから説明しないといけなかった。アイディーンはめまいを覚えた。アイディーンは

「ファルオス様。トマトはこういった草の実なんです。ここから育てて収穫しましょう。毎日水をあげてると花がさいて実がなるんですよ。楽しみでしょう?」


もはや、幼稚園児か何かと思えば腹も立たないのだろうか。ファルオスは

「そうか。そしたら明日トマトできるか?」


「…無理です」


アイディーンの笑顔が張り付いた。ファルオスは

「明後日か?」


「…」


殴ってもいいだろうか?いやいや、これは上司、これは上司。

「これは夏頃ですかね。収穫できるの」


そしたら鉢に植え終わったファルオスは

「そんなに待てない。フンっ」


そしたらトマトの苗はアホみたいに育ち、花が咲き、トマトがなった。ファルオスはたわわに実った大粒のトマトをもいで、

「できたー。これ一個やる」


一つ渡してきた。アイディーンは

「…うそ」





 ーある日ー


そして、1ヶ月後、荒野に畑ができているとか、いないとか。そこは密かにバドルのプライベート農園になっているのだ。


バドルはいい笑顔で、

「キュウリ、ナス、カボチャ。ふふ。有能すぎる自分が怖い」


自慢の畑を愛でながら水をやり、雑草を抜くのだった。


一方、その頃アイディーンは

(あの仕事しない男、最近もっと仕事しないな…)


もはや、畑の事なんて忘れていた。

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