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恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル2
16/67

ベリーのパイを作るのだ3

魔王城を出発する前、アイディーンはコック長に先生になってもらう事をお願いしていた。優しい癒されキャラのコック長は愛らしい小太りのおじさんなのだ。時々その優しさと腕のよい料理には惚れそうになる事もしばしある。

「いいよ。作りやすいようにアレンジして材料を準備しておこう」

この時も快く承諾してくれて、材料まで用意してくれると言う。

もはや、見習ってほしい。お子様なだけの空っぽの男には……






こうして、ベリーをもって帰ってきたアイディーンとファルオス。

キッチンに入ったら、まずそのベリーを洗う事から始まった。つぶれやすい熟れた赤い実は、優しく優しく丁寧に洗っていかねばならない。水に浮かせて一緒に着いた余分な木葉やなんかもどけて行く。それができたら水を切って乾かしておく。

これでベリーの準備はOKた。


次はパイ生地を作る。お菓子など作った事のない男二人にとって、そこからはめんどくさい作業だった。


まずは材料を計るらしい。

小麦粉、バター、塩に水。

なので、ファルオスが

「うー……めんどくさいのだ」

やるって言ってたくせにもう挫折しそうだ。


コック長が

「計量は大切な作業だからね。お菓子を上手に作る上では大切なんだよ」

優しくいった。


生ぬるい。

ファルオスにはこうだ。

アイディーンは

「作らないと食べちゃダメです」

この方が効く。


ファルオスは

「食べたいのだー。食べるのだぁ。絶対に」

やはり、効果は抜群だ。


だって、アイディーンの手作りのお菓子だ。作った事のないであろう初めての手作りお菓子なのだ。それを未来の旦那が味わうのは当然のことなのだ。

しかし、未来の嫁はつつましく私がやっておきましょうとは言わない。相手もやるのが大前提だ。


アイディーンはファルオスの計量は信じられないので、計量だけはしてくれた。

粉とバターを入れたボールをしっかりと押さえ、ファルオスを待っている。

「ほら、ボール押さえてるので、早くやって下さい」

本当はボール押さえる係なんていらない。けど、これは初めての共同作業。ファルオスは、自分のなすべき事がわかった。

これはもはや新婚の愛の儀式ではないか?

小麦粉が入れてあるボールに置かれたバターを、金属のヘラで押し付ける。


「っ、や……優しく」


「はっはっは。良いではないか。良いではないか」


「やっ、ちょっ……ダメっ」


「ほらほら、嫌がってもやるのだー」


「やだ。もう、そっとしてってば」


そして、生地が完成した。

周りにすごい小麦粉飛んでいる。



だから、乱暴にするなってばっ‼

そんなアイディーンがにらんでる。せっかく計量したのに、小麦粉減った気がする。


ファルオスは、

「すまん。つい楽しくて」

なんかアイディーンがやらしい感じの事言うのでつい。などとは口が裂けても言えない。


それでもなんとか形になった生地はまとまってコック長のOKも頂いた。この生地は冷蔵庫で冷やすらしい。


その間に、多すぎたベリーはジャムにしようって話になった。ジャムは長期保存できるように砂糖もたくさん入れるらしい。香り付けにブランデーを1さじ鍋に入れて、火をかけてクツクツと煮込み始めた。


時々焦げないように混ぜる地味作業。優しく、優しく混ぜていく。トロリとした赤い汁がいつの間にか鍋に広がって、ベリーのみずみずしさがふんだんにわかる。

アイディーンは

(ああ、癒される……)

とてもいい香りが広がって、水分の多い鍋が時間がたつと半分くらいになるらしい。


嬉しそうに作るアイディーンを見てファルオスは

「いい嫁なのだ」

料理をこよなく愛す嫁になりそうな気配がする。


アイディーンはハっとして

「嫁じゃない‼」

まったく。油断も隙もない。


アイディーンの隣でファルオスはここぞとばかりに男前に

「なら、早く嫁に来るのだ」

力強く言った。


それを見たコック長は、まだアイディーンが男になる事を知らない。大変動揺した。男のアイディーンが口説かれている。

しかも、目の前で、自分の存在無視されてる。


アイディーンは

「冗談はその空っぽな頭の中だけにして下さい」

とてもじゃないが、ツーンとしている。やはり、アイディーンは相手にしない。


ファルオスは、腕を組み、

「冷たいな。アイディーン……」


アイディーンの片手は鍋に。もう片手には木のスプーン。

おや、今ならできるかもしれない。

そして、鍋をかき混ぜるアイディーンのガードはガラ空きなのだ。

柔らかなほっぺしてるのだ。



ちゅ



「なぁぁぁーーーーー⁉」


アイディーンは頬を押さえる。ファルオスの唇を頬に押し付けられたアイディーン。さりげないが、下心たっぷりの軽めのキスだ。


コック長も動揺して、キョドキョドしてる。見てはいけない物を見てしまった。まさか、アイディーンがホモの餌食に。大変だ。


ファルオスは

「ちゃんと、覚悟するのだ」


「う………う………」

アイディーンはほほを押さえたまま、急に霧になって逃げた。

ファルオスは、

「恥ずかしがりなのだー」


あんな事しておいて子供みたいに笑ってる。

まさか、そんな人がホモだとは……これは大変な事になった。

コック長は思ったのだった。





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