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恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル2
14/67

ベリーのパイを作るのだ1

翌日から平常運行のアイディーン。徹底して今まで通りの暮らしを守ろうと、なんとかうやむやにしたい本音を垣間見せる。執務室にこもって、仕事三昧。

ファルオスに隙を見せないように自室には鍵を取り付けた。


態度にはやや、近づき過ぎるとビクッとするって事が追加されただけ。甘ーい言葉を囁きたかったファルオスのそんな空気を察しては、

『一緒に仕事して下さい』

等と、仕事を持ち出してサクッと逃げてしまう。


ファルオスは考えた。

このままではダメだ。


アイディーンはちょっとビビるようになっただけで、まったく進展していない。もっとなんとかしたいのだ。


そんなこんなで考えたのだ。








アイディーンの執務室にファルオスがやって来て、かまってほしい視線を向ける。ボールで遊んでほしい子犬のようだ。しかし、そんなお子様な態度には騙されない。


「ちゃんと仕事やって下さい」

ツーンとしているアイディーン。婚約は受けません。それを全面から滲み出させている。


絶対流されたりしない。キスされてフワッとしたぼんやりした状態で、人生の大切な選択はしない……と。この悪党の敷いたレールに乗っかてはいけないと……


アイディーンは話を変えるために、ついさっき渡した仕事の件をたずねる事にした。

「それで、どうなりました。さっき渡した数学のドリル……終わりました?」


あまり頭の良くないファルオスには、それを渡してあった。10才なんてそんなもんだ。このポンコツにはちょうどいい。


ファルオスは涙目で、そこまでバカにされてるのも悲しかった。

しかも、満点とって見返してやろうと思ったそのドリルは難しかったのだ。

「もう、ドリルはなんて嫌なのだ。バドルは仕事で、なんでこっちはドリルなんてやらないといけないのだ‼」


アイディーンは考える。癇癪起こしたお子様は面倒だ。致し方ない。


「バカな男は嫌いだからですよ」

そう言っても、数学のドリルができるくらいで好きになる訳でもない。小学生程度の賢さではどうにもならない。


ファルオスはそれでも希望を見いだした。

「な……なら、頭が良くなれば、その態度も少しは変わるのか?」


失言だった。アイディーンは少し青筋浮かべ、

「ほぅ。その態度?」

好きだといってる癖に、態度が悪いなどといってくるなんて、随分上からじゃないか。


ファルオスは

「う……好きなのだ」

しかし、そんな態度すらも愛しているのだ。破滅的なほどに。


アイディーンは

「なら、ドリルして下さい」

もはや、好きとかなんかはスルーされて、取り合わない。


ファルオスはこれではいかんやつなのだ。

と、

「ベリーのパイを作るのだ‼」

アイディーンの机をバンっと叩いて言った。


アイディーンはちょっとビクッとする。やはり、急に近づくと、まだまだこんな反応する。その態度には傷付くが、意識されているいい変化と前向きに検討‼


アイディーンは

「また急に……まさか、一緒に作れと?」

ちょっとビクッとしたドキドキを押さえて言った。


ファルオスは

「と……友達なのだから、一緒にやるのは当然なのだ。そして、みんなで食べるのだ」

みんなとか、そんななら少しはやってくれるはず。しかし、本音はアイディーンの手作りお菓子が食べたいからだ。


アイディーンはまた逃げようと、

「仕事……」

今まで通りのワガママを通そうとする男に文句言おうとしてる。



ファルオスは

「仕事ばかりではダメなのだ‼もちろん賢いばかりでも‼これからの魔王はもっと開かれたグローバルな存在にならなければならないのだ。だから、足掛かりとしてまずは、簡単な所から始めなくてはならない。アイディーン、ベリーのパイを焼こう。まずはそこからだ‼」

拳をふるって熱く語った。



アイディーンは

「………」

少し考える。

バカだと思っていたファルオスが、バカな事を言っているが、なかなか考えてる振りをしてまで、何か言ってる。はぁ、何か言ってるなぁとは思うけど……

まぁ、少しは考えたんだろうけど……


アイディーンは

「仕方ないですね。早く作ってしまいましょう」

山が動いた。


ファルオスは嬉しさをこらえきれない。

「ピクニックの時のベリーがうまかったから、あのベリーで作るのだ。アイディーンにも食べてもらいたいのだ」

これで手作りお菓子は頂いたような物。きゃはっとして言う。


アイディーンは

「なら、お菓子を作る材料や手配は私がするので、ベリーを摘んでくるのをお願いできますか?」


いつもなら、うまく転がされる所だ。アイディーン、たぶんコック長に丸投げして、デスクワークする。

ファルオスも少しは学んだのだ。なかなか距離を、置こう、置こうとしてる。


なので、アイディーンと離れてしまっては、意味がない。


ファルオスは

「やなのだ。一緒にいくのだーーー」

アイディーンの服を引っ張る。


さらに子供っぽくなったファルオスに

「わ……わかりました。服引っ張らないで下さい」

ちょっとビクッとするアイディーン。仕方なく立ち上がったのだった。




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