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恋する魔王のスローライフ  作者: フローラルカオル
恋するレベル1
13/67

結婚だと4

翌朝、ファルオスが目を覚ます。

あまりにも堂々と、人のベッドで眠っていたファルオス。その快適だった眠りを示すように、表情はゆる~く、にま~とした物だった。


ファルオスは

「アイディーンの臭いがして、よく眠れたのだ」

そう言ってベットから降りた。



そもそも、これは今までも何度もやっていた。城に泊まるようになったアイディーンが、この部屋を使うようになって、犯行は常習化していた。昨夜、アイディーンは実家に帰ったそうだからこれはバレてないはず。

ここにいないアイディーンには気付きようもない。今日も気づかれていない。

そんなしれっとした顔でファルオスは部屋を出ていく。



ファルオスはご機嫌だ。それもそのはず、まさかあのアイディーンが婚約をすんなり承諾するとは思ってなかったからだ。

きっともっとごねると思っていたのに、よろしくお願いしますなんてつつましい。


アイディーンのやっと素直になった可愛らしさには、もはや神聖さすら感じる。そんな透明感のある、美しい少女に変わったアイディーンを妻として迎え入れる事ができるなんて……。


まさか、セレーディアの手紙通り自分を好きだなんて。

長い念願が叶う時が来たのだ。


「なんてかわいい奴なのだ……」

感無量。

ここまでアイディーンに世話をさせるため、子供のような顔で過ごしてきたが、それもそろそろ終わりにして、大人の関係に移ってもいいのかもしれない。だって、夫婦になるのだから。アイディーンもつつましい顔で受け入れてくれるだろう。


そう、まずは手始めに、手をつないでやろう。


そしたら、ウキウキした。






「お待ちしておりました」

自室に戻ったファルオスの、部屋の前で、ビックリするほど冷たい顔をした、男の姿のアイディーン。


ファルオスはビクッとした。

え?

なんでそんな世界の終わりみたいな顔を?

「ど……どうしたのだ?」


昨日とは打って変わってテンションの低いアイディーン。

ファルオスはニコッしてみる。

「どうした?我妻よ」


アイディーンは近づいてきたファルオスと距離を取り、

「婚約……破棄します」


そしたら、ファルオスは

「なぜっ⁉」

昨日はよろしくお願いしますって言ったのに。


アイディーンは

「愛していません。別れましょう」


ファルオスは慌てる。

「何をいってるのだ。昨日キスしたら、アイディーンは女になったではないか。それが何よりの証拠だろう?」


アイディーンは

「違います。キスが初めてだったのでビックリしてしまいました。だから、女になってしまっただけです。だから、結婚はしません」

かたくなだ。


すぐに納得しすぎて、おかしいとは思っていたが……まさか、翌日に破棄ときたか。

ファルオスは

「好きなら抑えられないのだろう?」


アイディーンは、

「好きなのはキスの方で、ファルオス様ではありません。」

かたくなだ。ビッチな発言も辞さない。


なぜそんなに機嫌が悪いのだろう。

ファルオスは

「何か怒っているのか?アイディーン」


そしたらアイディーンは

「昨日部屋で寝てたのは襲う気でしたか?」

何かが誤解されている。


ファルオスは

「た……ただアイディーンの香りに包まれて寝たかったから……」


アイディーンはビクッとなる。それはそれで、変態っぽい。


ファルオスは

「アイディーン。今さら婚約を破棄するつもりはない。」


アイディーンはもう騙されない。

「いいえ。結婚は両者が愛し合って初めてする物です。」


ファルオスは

「なら、どちらも愛し合っているではないか‼」


アイディーンは

「私は違います。婚約しません‼」


そしたら、不意にやたら低い声が響く

「そうだ。アイディーン。そして、俺と結婚するんだ」

そこの柱の影から、格好つけて現れたのはバドルだった。


ファルオスはややこしいタイミングで……などと思う。このゴキブリはせっかくした婚約を邪魔しようとする。


バドルは言う

「アイディーン。結婚しよう」


アイディーンは

「え?やだ」


誰がするか。調子に乗るな。


即座に断ったアイディーンに


「のぉぉぉぉぉ⁉」


叫ぶな。うるさい。


アイディーンは

「悪いが、男と結婚などする気はない。だから、諦めてもっと手頃な女を探してくれ」

まったく取り合わない。


ファルオスはやっと巡ってきたチャンス。このチャンスを逃す気はない。もとより、アイディーン以外を嫁に貰う気なんてなかった。


「アイディーン。手頃な女など探す気はない。お前が嫌でも、こっちは昨日もいった。男でもいいと」


バドルは

「げっ……」

まさかの発言。

バドルはそこまでじゃない。男のアイディーンなら無理だ。


アイディーンは

「嫌です。」

かたくなに拒否している。


ファルオスは無理強いしても、まだ受け入れられないのだとおもった。

早すぎた。

ならば、待てばいい。

「なら、こうしよう。一度婚約は置いておいて、友達から始めるのはどうだろう」


アイディーンは

「………」

少し考える。


ファルオスはキリッとして、

「魔王でも側近でもない、そこから始めよう」

やたら、かっこよく言った。


アイディーンは少し考えてから

「……側近ではなく?」


そんな対等な関係、おかしいじゃないか。二人を繋ぐのは、ただの主従関係。


ファルオスは

「それに、もう魔王と言う体制は変わる。この世界はもはや魔王を必要としていない。なら、側近なんて関係はないはずだ。」


ファルオスにしてはまともな事を言う。

バドルも

「まぁ、城にもどんどん人いなくなっていってるしな」


そう、魔王が勇者の管理下に着いてから、みんな出稼ぎや、なんかで徐々にいなくなっている。だからこそ、アイディーンは忙しいのだ。それでも魔王と言う体制を維持しようとしてた。魔王という存在はそういう物だったから。


アイディーンは

「友達……」

そしたら、アイディーンは友達になら言うだろう。


「顔以外がポンコツなので嫌です」

そしたら、ファルオスは


「ポンコツではないーーーーー‼ヒドイではないか。そんな風に思っていたのか‼」


アイディーンは

「友達……友達なら、今のような事も言えますね」


ファルオスは

「え……」


アイディーンは

「友達から始めましょう」


バドルは

「あっ、なら、ついでに俺も。でも、アイディーン結婚しよう」


アイディーンはニコッて笑って

「やだよ。黒筋肉」


「それヤメローーーーーっ‼」


ファルオスは突然の友達という同列のライバルに戸惑った。


アイディーンは

「友達なら、言いたいことを言わせてもらう。付き合ったらもっと言う。結婚したら尻に敷く‼」

力強く宣言する。


強気になったアイディーンにファルオスは

「望むところなのだ‼」

尻で敷いてくれ。喜んで‼


アイディーンは

「なら、仕事、しようか。ファルオスも」


急に『様』がなくなった。

なので、ファルオスは

「キュンってするのだ」

それはそれで喜んでいる。


アイディーンは

「早く終わらせましょう。やれやれ、これでほとんど元通り。さぁ、持ち場についてください。」


アイディーンが二人にプロポーズされたのなかったことにしようとしてる。

ファルオスは

「しかし、バドル、さっさと消えるのだ。邪魔なのだ」


バドルも

「それはお前の方だろう。ファルオス」


ファルオスは

「お前の呼び捨ては許してない。気持ち悪いのだ」


バドルは

「お友達からだろ。お友達の、お友達は、お友達だ」


嫌な理屈だ。どっちもアイディーンを好きだと言っているのに。

アイディーンは

「さて、書類の仕事はバドルにまかせます。今日は城の屋根の痛み具合を調べて来るとしましょう。」


ファルオスが

「ああ。一緒にやるのだー」

ちゃっかり着いていったら、すごくこき使われたのだった。


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