迫りくる夏
あれから1週間が経ち期末テストを迎えた。
「おいどうだった?」
ニヤニヤしながら元木が言った
「そういうお前はどうなんだ?」
イライラしながら孝史は言い返した
「42点」
自信満々に言った
「で、狭山はどうなんだ?」
しつこく聞いてくる
「お前見たろ?俺の点」
「うきゃきゃっ、俺の勝ちだな」
「昼飯おごれ」
「ムカつくなお前」
「ウルせー」
孝史は41点で元木に昼飯をおごることになった。
売店まで歩いているときに唯一剣道部の同学年の佐藤にいきあった。
「おう佐藤」
孝史が気さくに声をかけた
「よう、狭山、夏合宿は三年も参加だってよ」
「望むところだ」
自信満々に孝史は答えた
「ところで狭山は進路きめたのか?」
「う・・ん・・大学行くか・・・んな?」
「どの口が言ってんだ??」
元木が横から口を出す。
「ウルせー」
ボコボコ・・・・元木を叩く音
「まあ・・そういうことだから・・・じゃあな」
「じゃあ」
孝史の頭の中に悪夢の試合風景が蘇えった。
メェーンッッ!!
勝負あり!!
クソォ・・・負けた・・・・・
「おい狭山なにをボーっとしとるかね??」
「ん・・?なんでも」
孝史はまだ引きずっていた・・・
しかし・・・孝史は今が楽しかった。
部活に明け暮れていた高校生活から開放されていたから・・・
それと・・・由梨という彼女ができたから・・・・
今が楽しかった。
そして放課後になった。
由梨からメールが来た・・・
エキデマッテルネ・・・
放課後のデートが孝史と由梨の日課になっていた。
「ねぇ孝史」
「なに・・?」
「もうすぐ夏休みだね、どこか行きたいなぁ 、けど受験勉強しなきゃね」
「そういえば由梨は進路どうするの?」
「私は昔から看護師になりたかったから・・・孝史は?」
「俺は・・・とりあえず大学・・・かな?」
「かなってまだ決めてないの?」
呆れた顔で孝史に言った
「あっうん・・まぁ・・・でも大学かな?」
「今まで部活ばっかりで考えてる余裕なかったから・・・」
言い訳を必死に言った
「孝史って部活やってたの?」
ニヤニヤ
「何部?サッカー?」
「よく言われるけど・・いや違う」
「教えて・・よ」
「剣道部・・・・」
「意外・・・そんな感じに見えない」
昼休みの佐藤を思い出した。
「夏は合宿があるんだよ・・・南高名物地獄合宿」
「なにそれぇ」
「とにかくトータルテンボス風にハンパねぇって感じで死にそう」
「3年も出るの?」
「インターハイ予選で負けたのにね・・・」
「受験勉強どころじゃねぇーよ本当に」
「孝史って剣道の話してるとすごく生き生きしてるね」
「そんな事ないよ・・・よーし夏休みは満喫するぞぉぉ」
「おう」
「それじゃバイトの時間になるからまたね・・」
「うん・・頑張ってね」
これから待ち受ける事を知らずに孝史はバイトに向かった。