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17Days  作者: ブッケ
5/9

5オレンジジュース

待ちに待ったバイトの日がやってきた。


「今日もマジメに仕事を頼むよ」

いつもは居ない店長がなぜか今日は居る。



「店長居るじゃん」


「まぁ居ても居なくても変わりないな」


「あぁそうだな・・」

孝史と元木は影で話をしていた。



その時

カランカラン・・・

店の入り口の戸が開いた。


二人はすかさず振り向いた。

「いらっしゃいませ」

万遍の笑みがやけにキモい二人。


中年のおばさんだった・・・

「違うじゃねぇか」

元木がボソッと言った。



そこへ店長がやってきた。

「いいスマイルするねー君たち」

「やればできるじゃない」

「ホッホッホッ(笑い声)・・・・・」



「そうですか・・・ハハハ・・・」

孝史は愛想笑いをしてみせた。

「おい、引きつってるぞ」

元木が孝史の袖を引っ張り小声で言った。




しばらくして・・・

再び戸が開いた・・・・

カランカラン・・・の音が

キランキランに変わって聞こえた。


眩い光の先には制服姿のあの子だった。


「ひぃらしゃいませ」

あまりの緊張から孝史の声は裏返ってしまった。


クスクス・・・

あの子が笑った。

目が合って恥ずかしそうにすぐそらしてしまった孝史。

顔が少し赤くなっている。



いつものジュースを目当てに棚に進む。

「すみませーん、オレンジないの?」と聞いてきた。

まさかのアクシデント

孝史は商品棚を覗き込む。



「しばらくお待ちください」

元木は紳士的に言うと直ぐに店を飛び出した。


「おい待てよ」

孝史が声をかけた時には元木は走って行ってしまった。


「あの人何処行ったの?」

不思議そうに女の子は言った。


「アイツ馬鹿だから・・・隣のコンビニまで行ったんじゃないの」

冗談混じりに孝史は言った。


クスクス・・・

「変な人」


孝史は女の子に見とれてしまった。


カワイイ・・・



店内には二人きり・・・

女の子と目があった瞬間

時間が止まるような気がした・・・


ヤバイ・・・何か話さないと・・・

孝史は焦っていた。


すると女の子の方から話しかけてきた。

孝史の制服をみて

「南高にいってんだ」

「私、北高三年、君は?」

優しい透き通る様な声だ。


「俺も三年」


「同級生だね、よろしく」


「よろしく」


「君の名前知ってるよ。狭山孝史でしょ?」

驚きを隠せずに

「なっ何でしってるの?」


「おしえなーい」


「教えてよ」


「名札見れば解るじゃん」


「あぁ・・・・ほんとだ」


ドラマのワンシーンでも今時ない会話だ。



「君の名前教えてよ」

以外にも孝史はスラリと聞いた。

すると、レジの方に向かった。

あわてて、孝史もついていく。


不要になったレシートの裏にスラスラ書き始めた。


高野 由梨

繊細な字だ。


タ・・カ・・ノ・ユ・・・・リ


どっかで聞いた名前・・・・


「ビューティーなんとかの人と同じ名前じゃん」

「だから書いたの・・馬鹿にするとおもったから」

由梨は少しすねた顔をした。


「ついでにメールアドレスとか書いといてよ」

孝史は調子に乗って言ってみた。


すると由梨は軽く応じてくれた。


孝史は心の中でガッツポーズをした。


やった・・・・



「遅いね・・・」

由梨は待ちくたびれた様子。


「俺、また棚を見てくるよ」


リンゴジュースの陰に1個だけオレンジジュースが隠れていた。


「あったよ」

レジの所に居る由梨に手を振る孝史。

由梨は喜んで買っていった。


「友達帰ってきたら、宜しく言っといて」

そういい残して由梨が店を出ようとしたとき。


「メールしていいかな?」

勇気を出して孝史がいった。


「・・・」

「返事返さないけどね・・」

笑って由梨が言い店を跡にした。



「何だよそれ・・・」


うなだれている孝史のところに店長がやってきた。


「いやいや・・青春だねぇ・・・・」


「見てたんですか?」


「ホッホッホッ(笑い声)・・・」


「元木には黙っててくださいよ」


「ホッホッホッ(笑い声)・・・」


店長はまた裏の方に隠れてしまった。



しばらくして・・・・カランカランとドアが開いた。


汗をかいて息を切らして手にはオレンジジュースをもった元木が立っていった。

キョロキョロ店内を見回している。

「あの子はどうした?」


「ユ・・あの子は帰ったよ」

危なく名前を言いそうになった。


「マジかよぉ」


「あっ・・なんか友達がなんちゃらで待ってられないって言って帰ったよ」

必死の元木の姿を見てジュースがあったこと名前とメルアドを聞いたことをさすがに

言えないと思った孝史は嘘を言ってしまった。


ショックそうな元木は手に持っていたオレンジジュースを見つめると

一気に飲み干した。


嘘をついた罪悪感からだろう、そんな元木を孝史は直視できなかった。

















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