4出会い
バイトに打ち込む毎日、少しずつ試合の事を考えなくなってきた。
終わった事をくよくよしても仕方ないのだからと孝史は自分に言い聞かせてきた。
孝史はいつものようにバイトに行った。
「いらっしゃいませ」
マニュアル道理の挨拶、また今日も店長は不在。
最近、歳の近い若い女の子が来るようになった。
少し焼けた肌、制服のスカートのたけは、しゃがめばパンツが見えそうなくらい。
耳には可愛らしいピアス、少しだけ茶色に染めたサラサラストレートの髪。
パッチリ二重の目。
イマドキの女子高生といった感じだ。
女の子がコンビニに来ることは当たり前の風景だろう。
女の子は店内に入ると雑誌を立ち読みをする。
そのあとに必ずといっていいほどの確率でパックのオレンジジュースを買う。
レジの前で元木と孝史が並んで立っている。
「またあの子きたな」
「お前に気があるんじゃねぇか?」
小声で元木が言った。
「やめろよ、聞こえたらどうすんだ」
レジカウンターの下で元木の足を踏み突けた。
「いてぇー」
店内に響き渡る元木の声。
クスクスクス・・・
女の子が二人を見て笑っていた。
孝史は女の子と目が会うと照れを隠す様に「コイツ馬鹿なですよ」って
元木を指差した。
アレ・・・なんで俺照れてんだろ??
知らぬ間に意識してたのか??
孝史は心の中でそう思った。
「ありがとうございまーす」
マニュアル道理の挨拶を二人ハモリながら言った。
いつものジュースを買って女の子は店あとにした。
その背中を見つめている孝史。
「おい」
ボーっとしている孝史の顔の前に乗り込むように元木が割って入る。
「意識してんのか?」
元木の問いかけに隠す様に
「別に・・意識してねぇよ」
「でもさぁ、あの笑った顔マジ可愛かったよな?」
「あ、そうだな」
呆然と立ち尽くす二人の頭の中には女の子の笑っている映像がフラッシュバックしていた。
「また、明日も来るかな・・・?」
「来るんじゃねぇの」
「あ?そうだ・・」
元木が何かをひらめいた様だ。
「2つのレジに一人ずつ立ってどっちのレジに来るかやろうぜ」
斬新のアイデアだった。
「よっしゃ、乗った」
二人のテンションは急上昇して、バイトである事も忘れているようだ。