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待宵草  作者: ステレイ
4/5

寒暖

誤字脱字がありそう。

×××


体の痛みで意識が浮上した。


「痛い……。」


「当たり前だろ?オマエ、二発は撃たれてんだからなァ?」


レオンは銃を眺めながらこちらに視線を寄越すことなくそう答えられる。


「此処は、」


「まだ移動中だ。」


シグレは椅子に座ってコーヒーを飲んでいた。


そうか。ふと毛布の下で違和感を感じた。片手を持ち上げるともう一方の片手が付いてくる。

手錠から手枷にグレードアップしていた。

足枷は付いていないようだった。


「………趣味、悪い。」


「ボスの命令だ。」


「俺らの趣味じゃねェよ。」


溜息を付いて立ち上がろうとしてふらついた。倒れる瞬間シグレに支えられた。


「貧血だ。大人しくしてろよ?」


無言で頷いて、言った。


「トイレ行きたい。」


「……。」


「俺は此処にいるからなァ?」


「……」


シグレは無言で私を抱き上げてトイレに連れて行ってくれた。


×××


どうやらここは電車らしい。超高級な。

溜息を付いて大人しくベッドに横たわっていた。

シグレは何か用があると言って別行動だ。


「レオン。」


「あァ?」


「寒い。」


「俺は暑い。」


「じゃあ、ちょっと暖をとらせて。」


「はァ?」


「こっち来て。布団入って。」


「チッ。しゃあねェなァ。」


特に嫌がられること無く来てくれた。

ほんとに、寒い。血が足りてない。


「オマエ、まじで冷たいな。」


「うん。寒い。レオンはあったかい。」


「はァ……」


「?なに。」


「寝てろ。」


「そうする。」


レオンに擦り寄ると温かいからかストンと意識が落ちた。


×××


「はァ……」


自分の腕の中で眠る彼女はとても無防備だ。


「シグレ早く帰って来い……」


本人は撃たれた事に何も思っていないのか、レオンに対する接し方は変わらない。

だが、もし怖がられたら。と思うと情けなくなる。

人殺しなんてモノを何時もやっているのに。


×××


再び目が覚めた。

目が覚めた理由は体が揺れているからだ。

抱き上げられて運ばれている最中らしい。


「レオン?」


「あ?起きたのかよ。」


「着いた?」


「あァ。ボスからのお仕置きが待ってるぞ。」


「行きたくない。」


という会話をしながら長い廊下を歩いてエレベーターに乗り込む。

エレベーターに乗ってからはお互いに無言だ。


にしても、


「寒い。」


「我慢しろ。」


チン


という音と共に扉が開く。

銃を構えたガードマンが待ち構えている。

が、レオンの顔を見て銃を下ろした。


エレベーターを降りてからレオンには下ろしてもらった。まさかボスの前でお姫様抱っこなどという醜態は見せられない。


大きな扉の前にも二人のガードマンが立っていた。レオンの顔を見るとゆっくりと扉を開けた。


「レオン、只今戻りました。」


「同じく宵待、戻りました。」


高級感漂う机に両肘を付いて待っていたボスは顔を上げた。


「レオンは下がれ。報告は報告書に纏めて提出しろ。よく宵待を連れ戻してきてくれたな。」


「ありがとうございます。」


いつもの荒い口調が嘘のように滑らかな敬語でレオンが応える。

そして私を一瞥して部屋を出て行った。


「さて宵待。」


びくりと肩が揺れる。顔を伏せたまま次の言葉を待つ。


椅子を引く音がしてから、こちらにくる足音もした。そして音は真正面で立ち止まった。


「宵待。」


「……はい。」


「今の格好も中々だが、首輪も増やしてほしいのかな?」


「いえ。」


思わず即答した。

クスリ、と微笑んだ気配がした。


「宵待。君は自分の価値を知っているよね?そして、立場も。なのに、未だ鬼ごっこをするのかな?」


「すみません。」


「僕はね、そんな言葉が聞きたいんじゃないんだ。」


と、革張りのソファーに放り投げられた。

傷口が痛かったが、それどころじゃない。

覆いかぶさってくる彼を見上げて謝罪する。


「ボス、すみません。」


「やっと僕を見たね。」


顔を上げてしまっていた。


「あ、……」


「僕は君に見て欲しいから礼儀とかは要らないと言ったはずなんだけど?」


「いえ、……はい。善処します。」


放り投げられたせいか頭がぐわんぐわんする。平衡感覚が戻っていない。


「ま、今日は疲れてるみたいだし?ここら辺でやめといてあげるよ。」


「……」


「いいよ。戻って。早く復帰してね。」


「ありがとうございます。」


ボスが退けたのを確認して、一礼してふらつきながら廊下に出た。壁に手を付いて目の回るような感覚をやり過ごす。


よたよたとエレベーターに乗って下に降りた。

エントランスではレオンが隅の壁に寄りかかった状態で腕を組んで待っていた。


「早かったなァ。」


「うん。なんか気遣ってくれた?のかな。」


「そうか。」


何時もより言葉尻が短かった。

疲れてるのかな。


レオンは高級マンションの上階に住んでいる。部屋は一括払いで買ったらしい。


「帰らないの?」


「帰る。……オマエは?」


「私は医務室に寄ってからかな。」


「そうか……暫くは変な事すんじゃねェよ。」


「分かった。ありがとう。」


レオンはさっさとビルから出て行った。

私はそれを見届けてから医務室に向かって歩き始めた。




ネタが……ネタがァぁぁぁ!!

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