婚約破棄されたけど幸せになれました。
小説を一つ完成させたくて、短編チャレンジしたのですが難しい……皆さんすごすぎる。展開早くえぇ!?ってなっても良い方よろしければお読みください。
「婚約を破棄して欲しい」
「………は?」
皆さんこんにちわ、俺はリクって言います。
実は俺、将来を誓い合った…そう、つまり婚約者がいる…あぁ、いたになっちゃった訳なんだけど…え?いや待って。え?婚約が破棄されちゃったの!?俺捨てられたの!?
「あずーる…ど、して…」
「好きな人が出来た」
「しゅきっ!?な、……ひ、と……!?」
え、俺は好きな人じゃなかったの?あれ?え?
「だって…俺の修行終わったら結婚しようって…だから、俺…」
突然ですが俺とアズールは男同士です。
俺の前世は日本というところの男の子だったんだけどもその時から俺は同性が好きでした。
まぁ、誰とも結ばれることなく一生を終えたみたいだけど。
今世の俺も同性が恋愛対象だったんだけどこの世界では特に問題なかった。
この世界では魔物がいるからか戦う為に男が生まれる率が高い。つまり男同士で結婚とか普通なんだ。
相棒の延長で…っていうの?背中を預けてたら…てのがよくある。
子供?あぁ、勿論男同士じゃ出来ないけど世界樹になってる実を育てると子供が生まれるので問題ない。ちなみに俺もそうやって生まれた。うん、俺の両親も男同士です。冒険者で魔物に殺されましたが。俺はそれから教会で育てられた。そこで色々あって召喚士の才能が発覚。
ショックだったよ。だって俺両親と一緒で冒険者になるつもりだったから剣とかすげぇ鍛錬してたのよ?それが友達が魔物に襲われた瞬間ピカッて光って何かお犬様が出てきて魔物倒して!その後は早かった。偉い人が来て俺は召喚士だ今までやったこともない魔力とかいうのを感じろ使えって意味分からん!
武器は剣から魔力伝達に良いとかで杖になって。もう泣いた。
しかもその召喚士の修行とかで愛しのアズールと離されてもうこの世の終わりだった。
アズールは貴族の八男(この世界では戦力の為にたくさん子供を作る)で、俺が剣の鍛錬をしてる時に出会った。アズールは生まれた順番からもまったく継げないので騎士になる為に鍛錬してて、俺にも教えてくれたんだ。
もうアズールかっこいい!
あ?うるさい?はい…。
あ、でな、俺の夢も騎士になりました。あ、はい。単純なんです。でも魔物倒せれば冒険者でも騎士でもいいやっていうね。騎士になるの簡単じゃないけど俺は頑張ったんだよ。頑張って頑張ってアズールに告白して、んでアズールも好きだって返してくれていやぁぁぁぁ!アズールかっこいいぃぃぃ!……で、そこで召喚士の才能発覚ってとこに戻る。そして俺旅立ち。うぉぉぉぉん!アズール言ったのに!帰ってきたら結婚しようって!アズールの両親にも、教会の神父様にも挨拶したのに!
「俺はコレットを愛してしまったんだ…」
あ、現実に戻された。つーか女の子なの!?
…あぁ…女の子なのかぁ。
「コレットは俺がいないとダメなんだ…」
「…俺っ!……だってアズールと一緒にいたいから!…なれるからって……召喚士の修行…1年で終わらせたのに…」
「……悪い。…でもお前は俺が守らなくても大丈夫だろ?」
一緒に騎士目指した俺にそれ言っちゃう?
その後は泣きながら帰りました。教会に。
「……っぐ、俺、…がんばっだのに…」
「えぇ、えぇ。私の可愛いリクは頑張りましたよ。普通召喚士の修行は1年じゃ終わりませんからね」
「じんぶざまぁぁぁぁ!」
「……お前をこれ以上泣かせたいわけじゃないが…たぶんソイツとその女とヤッてるぞ」
「……ひゃい?」
「どういうことですか?」
「リクは修行だったから当然だけど、神父様は学園の噂知りませんか?」
「…まさか」
「なに、何!?」
アズールの好きなコレット嬢は何でも騎士学校(騎士の試験に合格すると入る)にいるらしい。普通女の子は守られる側なんだけど勿論絶対じゃない。冒険者になる女性もいれば騎士になる女性もいる。
んで、コレット嬢はその一人ってわけだが、複数の男性と付き合ってるとのこと。
もう町でも有名なんだと。毎回違う男の子とデート。そして宿に入るところも目撃されてる。
「……は?」
かも、とからしい、とかじゃなくてもうそこまでいってんの?
「第六王子、騎士団長の息子、副団長の息子、近衛騎士の息子、アズールだな」
「…よくそこにアズールが入りましたね」
「え!?神父様そこなの!?アズールかっこいいよ!!」
「…まぁ顔はいいからな」
「…そうですね」
「二人とも酷くね!?アズールは優しいし剣も強いよ!」
生暖かい二人の目が俺を見る。
「お前がいた頃はともかくアイツ今じゃ下から数えた方が早いぞ」
「…ウソ」
「俺はお前にだけは嘘はつかない。助けられた時から俺にとってお前は特別だから」
「……ウィル。それは…」
「それは後にするとして」
「……神父様……」
「ウィル。言っときますが今じゃリクはあなたより上ですよ」
「……分かってます」
「俺は分かってないけど!?」
俺が上って何!?
「リク…普通召喚士一人に対して召喚できるのも一人なんですよ?」
「………え」
だって、俺は今犬のワンちゃんと蛇のシューちゃん召喚してますけど…。
ワンちゃんのお腹にのって、そして泣く俺の目元をシューちゃんが冷やしてくれてる。
「……他にも友達いますけど」
「さらに召喚出来るのか!?」
というか友達!?とかウィルが叫んでる。
いや、だって魔力の使い方俺には分からなかったんだ。その魔力で従わせるとかさ。んで取りあえず魔力だろうもんを感じて出して、んで俺のこと好きになれそうなら遊ぼーって感じで待ってたら皆が来てくれたんだ。今じゃ名前呼ぶだけで来てくれて、俺も召喚士として合格したってわけさ!
「リク、お前覚悟しといた方がいいぞ。……俺も、した」
「え?」
ーーーーー
その後は早かった。
偉い人たちが俺に求婚してきたのだ。
しかも俺に教えていた師匠まで。
何でも召喚士の才能があるだけでかなりの有望株、らしい。俺の力が発覚した時点でかなりの求婚の申し込みがあったらしいがそれは神父様とアズールの両親がとめていたとのこと。俺はアズールと婚約していたからだ。でもそのアズールとは婚約破棄。実はそれも外でされたから皆が知ってる。……とのこと。
恥ずかしいぃぃぃ!俺鼻水や諸々出しながら走り去りましたけど!?
ははっ、そのまま教会帰ってきてそこにいたウィルに抱きつい………あ。
あとで洋服弁償しよう。ごめんウィル。
それにしても俺すげぇ人気だなぁ……モテるのは嬉しくないわけじゃないけど俺の力が目的じゃなぁ。寂しい。
「ちょっとアンタ!」
「へ?」
教会の庭で黄昏れていた俺にかかったのは知らない怒った女の子の声。
「何なのよアンタ!召喚は私の力なのに!」
「はい?」
「全員攻略して後は隠しキャラのウィル様だけなのに!」
「え?隠し?あの、え、ウィルは隠れてないけど……」
「バカなの!?ウィル様は帝国の第二王子なのよ!?今はこっちに交換留学してるだけで…学校のイベントでウィル様が襲われているのを見て私の力が覚醒するはずなのに…アンタが!アンタが私の力を盗ったから!」
えぇー!?何この子電波!?
ウィルのことも何言ってるか分かんないし、召喚の力盗ったって…盗れるわけねぇだろ!
もし盗れたなら俺はあの時に誰かにあげてたわ!そうすればアズールと離れなかったし!
「アンタがいなければ…そっか!いなくなればいいんだよね!」
「あの、ちょ、頭大丈夫か?!」
熱でもあるんじゃないかとその手をのばす。…瞬間、女の子はナイフを振りかざした。
そうですよね、騎士学校に通ってるんだからナイフの一本や二本振りかざすの朝飯前ですよね。って最近の女の子怖い!話し聞いてくれないんですか!?
「リク!!」
そこに現れたのはウィル。
こちらも懐からナイフを出して投げ……投げちゃうの!?あら上手ぅ!これ女の子の手にちょうど刺さ……刺さっちゃうよ!?
ダメだろ!?
「「え?」」
二人ともナイフを弾かれて呆然としてる。
『無事か、リク』
「うん。ありがとガオちゃん」
俺を囲んでるのは黒いドラゴンだった。
「……リク?」
駆けつけてくれたウィルだけじゃない、何故かその後ろにいる騎士さん達も口をあんぐりと開けてる。
「あ、ウィルもありがとう!助けようとしてくれて!」
「あ、あぁ…」
『リク、なでなでは?』
「あ、はいはい。ありがとうなー。助かったよ」
なでなで
うりうり
お、ここか!ここが良いんか!!
腹を見せ俺に体を擦りつけるガオちゃんに何故か皆の顔は引き攣ってる。
あれ?ここ癒やされる場面じゃないの?
その後、女の子……この子がコレットちゃんだった。が、騎士達に連れてかれた。何でもこんな設定なかっただとか俺が悪いとかずっと言ってるらしい。
貴重な召喚士様…俺を害したからとしばらく牢屋に入れられた後解放された。罪が軽いって?いやぶっちゃけ俺コレットちゃんあの時会ったのが初めてなうえ、あんなしょぼい攻撃どうってことないからどうでもいいんだけどなぁ。アズールの相手だって分かったのも後だったし…分かってたら嫉妬でどうにかしてたんだろうか…。ちなみにコレットちゃんと関係を持った人達はアズールと同じく皆勝手に婚約破棄してたんだと。相手の家から抗議文がきて大変らしい。俺の場合は孤児なので家関係ないしなぁ。でもアズールの両親と神父様にも話は通すべきだったとのこと。結果王子様も皆も廃嫡された。…うん、まぁ子沢山だからね。別に一人いなくなってもどうってことないよね。
ちなみに軽いって言ったけど解放された方がつらいからってウィルが言ってた。あ、そうか。皆貴族で衣食住が保障されてたんだよな。騎士学校では自分で自分のことしてただろうけど全部が全部じゃないだろうから限界があるだろうし。
「それじゃあ済まない」
「え?」
見てみろと連れてかれたのは冒険者ギルド。
「どうして依頼が受けられないんだ!」
「誤解招く言い方すんなよ。護衛だとかは無理だって言ってんだよ」
ギルドにいたのはアズールとあとなんかイケメン数人。たぶんコレットちゃん囲んでるからあれが廃嫡されちゃったメンバーだな。
まぁそうだよね。着の身着のまま放り出されたから冒険者ギルドで金を稼ごうってな。確かにそれしかないわ。
話を聞いてると薬草とかの採取系しか受けられない。だけどアズール達は護衛とかの依頼を受けたいと。
「いや無理でしょ。冒険者ギルド登録したばっかじゃ」
「あぁ、それが常識だな」
依頼受けてポイント貯めて冒険者ランク上げないと護衛なんて上位の依頼受けられるはずがない。
「そんな誰でも出来るようなもの俺達にやれっていうのか!!」
あぁ、プライドの問題ですか。確かにこれはつらいな。だって生きてけないじゃん。折れない限り。
「私達は騎士学校で学んでいたんですよ!?」
「卒業したんなら騎士になってるはずだが?」
ぐっとつまる彼等。ちなみに既に心が折れてるのかブツブツ言ってるのは王子様かなぁ。そりゃ折れるよな。騎士だけど王子だったんだ。将来は騎士を率いる隊長になるのが確実だったのに今じゃなぁ。
しばらく怒鳴った後彼等は何の依頼も受けず出て行った。
ちなみにすれ違いざまアズールは大きく目を開いた後そらしたけど、コレットちゃんはずっと睨んだ上に罵倒してきた。他のメンツもその対応に俺のことが分かったみたいでお前の所為だって手を出してきましたよ!
本当話し聞いてくんない!アズールとコレットちゃんはともかく他の人俺関係ないから!
しかも最終的にはアズールまで加わったからね!俺が召喚士なのが悪いって。理不尽!
全員俺を殺しにかかりましたよ!当然殺されたくないので返り討ちにしました。これでアズールへの好意一切なくなるどころかマイナスだよ!むしろ他の人もだけど滅びろ!
あ、俺のその後聞きたい?
へへっ!俺、ウィルと結婚しました!そ、ウィルの嫁になったのさ!男だけど!実はウィルって俺に一目惚れだったんだって。だから孤児院に通ってたとのこと。でも俺はアズール一筋だったし、自分の所為で俺が召喚士として目覚めてアズールと離れることになったから余計に俺に罪悪感あって言う気はなかったとのこと。でも帰ってきたら俺は婚約破棄。しかも他の人達が殺到した為焦って気付いたら自分の父ちゃんと俺の国の王様と神父様に了承とってたとのこと。
んで俺に毎日愛を伝えてくれた。最初は弱ってるからかなと思ってそれじゃウィルに失礼だしとか考えてたんだけど女の人と一緒にいるウィルを見た時自覚しまして…俺も!ってなりました。
平民だけど俺の実力半端ないというかまぁ俺はすごい召喚士(笑)ですしね!!皆に受け入れてもらえました!
ちなみに今は新婚旅行という名の魔物退治旅行中です。行く先々の町や村で祝福されてます!
俺、婚約破棄されたけどすげぇ幸せです!
ーーーーー
あぁ、皆さんこんにちわ。
リクの旦那のウィルです。
皆さんは俺の大切な大切な嫁さんに酷いことをした奴らのそれからを知りたくないか?
俺は知りたかったから見張りをつけといた。
だって解放をさせたのは俺だぜ。どうなるのか分かっててもちゃんと見届けないとな。
まず最初は王子だった。自分の今の状況に耐えられず自殺したそうだ。
二人目は近衛騎士の息子。王子を守れなくてかなりショックを受けたらしい。王子で周りが焦りだしてやっと採取の依頼を受けてその日を食いつないでいたがそれだけだ。野宿する日も当然ある。普通周りの冒険者が最初は面倒を見てくれるんだけどリクや神父様の知り合いが多いのとあのやり取りみて助ける人はゼロ。うん、ある日王子と同じ場所で自殺してたそうだ。
三人目と四人目は騎士団の息子二人。もう精神的に追い込まれていたんだろう。お互いに罵りあって剣で斬り合ってそのまま二人仲良く死亡。
あ、ちなみにコレットって女は王子で怖くなったんだろうな。あの後自分だけでも助かろうとしてメンバー以外の他の男に色仕掛けしたらしいけどもれなくメンバー全員から強姦されて死亡。幸せだったんじゃないか?大好きな奴らの愛で死んだんだから。
あ?アズール?……アイツ毎日教会に来たんだってよ。んで剣を教えてくんだと。誰もいない空間に笑って。
あぁ、そういえば俺達の祝いをこの前教会でやったんだ。神父様にリクの花嫁姿見せたかったし。リクを驚かせたくて前もって下見に言った時に死体が転がってたなぁ。勿論片付けたさ。
あぁ、俺も幸せだ。
初恋の相手と結ばれたんだから。
コレットちゃん
実は乙女ゲーに似た現実だったのにあまりにゲームの舞台と同じだった為王子が死ぬまで本気で召喚士になってウィルと結婚出来ると思ってた。
アズール
リクが好きだったけどコレットちゃんに言い寄られて簡単に堕ちた人。リクと婚約破棄後家族全員に見捨てられた。リクと家族皆仲良しで本当に可愛がってたので婚約破棄の話しを聞いてすぐだった。両親は恋愛結婚。先代がドロドロだったのでその反動で一途になったらしい。アズールも可愛がれてたので手順をきちんと踏んでいたなら怒られながらも見捨てられることはなかった。