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勇者

 ドラゴンサーガ3。


 俺的ベストRPGだ。

 最初にプレイしたRPGで、多分ファンタジー世界に最初に触れたのも、このゲームだったと思う。

 我ながら思い出補正が過ぎると思うのだが、その後のシリーズよりもこの3が最高傑作だと思っている。

 このゲームの主人公は「勇者」だった。

 昔のゲームなので、その姿はパッケージや攻略本でしかはっきりとは描かれていないが、

 俺にとっては「勇者」といったらこのドラゴンサーガ3の勇者なのだ。


 その勇者のコスチュームを着た娘さんがベットの脇に居た。


 うん。


 二度寝しよう。


 布団を被る。


「ちょっと、寝ないでくださいよー!」


 ……いや、顔を見た時から薄々分かっていたけど、声を聞いて確信した。

 とりあえず、起き上がって話をしてみる。


「何しに来たんだ? 天使」


 そう、あの天使が何故か勇者コスでベットの脇に居るのだ。


「一緒に世界を救ってください!」

「いきなり言うなワケが分からん」





「えと、あなたがこちらに転移したように、こちらの世界からあちらに転移した人が居まして……」


 他にも居たのか。


「その人、実は魔王の国のナンバーツーだったらしく……」


 魔王なんているのかこの世界。


「で、それまでその人に抑えられていた過激派の人たちが穏健派の魔王に対してクーデターを起こしまして」


 穏健派の魔王ってなんだそれ。


「現在魔王の国は滅茶苦茶になってて……

 過激派優勢な状態で、国を掌握するのも時間の問題という状態になっておりまして……

 そうなったら、人間との全面戦争になって、この世界は滅んでしまうらしいです」


 …………


「何だ? そのらしい。ってのは?」

「魔王の国が内乱状態になっているのを神様に見つかって、そう言われました」


 バレたんか。


「で、神様直々にナンバーツーの人にこっちに戻ってくるように言ったんですが……

『胃薬が手放せない生活はもう嫌だ』

 って断られちゃいまして」


 神様のお願いを断るとは、さすが魔王国ナンバーツー。


「それで、神様からは

『じゃぁお前が勇者になって何とかして来い』

 ってココに転送されました」


 …………


「ここに? 直接?」

「はい」


 神様、手伝えってことですか。




「はいはい、分かりましたよ。

 流石に一般人の俺には神様の指示を断るとかできませんよ。コンチクショウ!」


 まぁ、天使にサポートとか必要なのかも疑問だけどな。


「ところで、お前何ができるんだ?」


 とりあえず聞いてみる。


「剣術得意ですよ。ルーちんがグレた時とか、剣でぼっこぼこにしてやりましたし」

「いや、ルーちんとか知らんし、そんな人間でもできる事じゃなくて、もっと天使ぽい能力とか……なぜ目を逸らす?」


 嫌な予感がする。


「天使の力なしで何とかしろ。って言われちゃいました。剣術以外できないですはい」


 世界の危機なのに、何で制限プレイ!?

 何か、もう、色々滅茶苦茶だ。

 この天使も役に立つのか分からんし……


「そういやお前、名前は?」

「名前?」


 天使とか呼ぶと周りに人が居る時に変に思われるだろうし、名前は聞いておきたい。


「あれ? 知りませんか? 私、結構有名人だと思ってたんですが」

「いや、天使の顔なんて知らんし」

「そういうものですか。

 えー、改めまして。

 天使のミカエルです。

 今は勇者ですけど」



 ……は?



「こっちの世界でもそれなりに名前が知られているので、ミカとでも呼んでください」


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