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天使

目が覚めると真っ白な部屋に居た。


えっと、地震がきて……

ああ、ここ病院か?


でも、病院独特の薬の匂い(?)がしない。

ついでに寝ているのもベットではない。床だ。


避難所か何かか?


それにしては、他に人が居ない

……いや、1人居た。


俺の前で土下座をしている。天使コスの子。


「えと、キミ……だれ? ここはどこ?」


恐る恐る声をかける。

災害現場で天使コスとか、アレなヒトだったらどうしよう……


「申し訳ありませんでしたー!」


いきなり謝られる。

え? なに? 処置ミスったとかそういう事?


「いや、いきなり謝られても、状況が分かってないんだけど。

とりあえず、キミ誰?」

「私は天使です。

……ああ、待って行かないで!

カワイソーな子を見る目で見ないで!

あ、ほら、私飛べるんですよ!

人間には無理でしょ!?

ほらほら!」


俺は無言で天使? の頭上に手を伸ばす。

次いで、足を下の方に伸ばす。


うん、釣ってないし、透明な台とかにも乗ってない。

正真正銘、飛んでる。

つまり、マジ天使。


「あー。疑ってスマン。本当に天使みたいだな」


……


「あれ? てことは、俺死んだの?」


問うと、天使はバツが悪そうな顔をした。


「し、死んではいません。

ただ、異世界に転移してしまっただけで……」


良かった、死んでなかった。……って、


「異世界!?」


「はい」



天使の話はこうだった。

俺たちの住む世界とは別に、神様が作った世界が無数にあり、

それぞれ独自の生命・文明を持っているという。

俺たちと同じような世界もあれば、もっと科学が発展した世界。

逆に原始的な世界、剣と魔法の世界などなど。

それらの世界の1つが、俺たちの世界とぶつかったらしい。


「いや、ぶつかった。というより、ほんのちょーーーっとかすったんです」

「で、そのせいで俺は異世界に放り出された。と?」

「はい」

「その世界、何で俺らの世界とぶつかったの?」

「かすっただけです。

えーそのー、ちょっと世界の位置を調整してましてー、

移動させたと言いますかー」

「誰が移動させたの?」

「私です。はい」


とまぁ、こういう事らしい。


「まぁ、やっちゃった事は仕方がない。元の世界に戻してよ」


そう言うと、天使は目をそらした。


「……無理です」

「は?」

「個別の世界の人間を、意図的に別の世界に連れて行くとか、神様じゃないと無理なんですよー!」

「じゃぁ、神様に頼んでよ」

「いや、ソレはちょっと……」


オイマテ。


「お前この事、上司(神様)に報告せずに隠蔽しようとしているな!?」


露骨に目が泳いでいるぞコラ。


「と、いうわけで、元の世界には戻れませんので」

「神様ならできるんだよな?」

「も ど れ ま せ ん の で !」


隠蔽するのは決定らしい。


「この世界で生きていくために、何でも3つ。願いを叶えてあげます」


そんな事を言ってきた。


「……何でも?」

「はい。ああ、言葉はサービスで分かるようにしていますので、願いは不要です。あと、100個にしてくれ。とかも無しで」


ちぃ、先に言われた。

けど、言葉サービスは有難いな。

じゃぁ、ちょっと考えるか。

でもまぁ、とりあえず……


「若いイケメンになりたい」

「若い……イケメンですか?」

「おう」


若くなっても、俺は残念な顔だし、イケメンになっても微妙にオジサンだからな。


「何か、2つの願いぽいですが、良いです。サービスします。えい!」


ボン と音がした。

天使がどこからか出した鏡を見せてくる。

おお、思った通りのイケメンが映っている。


「どうです? まぁ、貴方の理想を再現したので、文句は無いはずですが」

「ないない。じゃぁ、2つ目は……」


うん、アレにしよう。


「何度でも人生をやり直せるようにしてくれ」


元の世界で何度か思った事だ。

無理くさいけど、言うだけならタダだろう。


「やり直せるように……分かりました」


ボン と音がした。

が、今度は変化が分からない。


「本当にやり直せるようになったの?」

「その時が来れば、分かりますよ」


ホントか?嘘くせぇ……

さっきの願いをやっぱり2つとカウントしたんじゃないだろうか?

まぁ、だとしても文句は言えないかも知れない。

元々ダメモトで言ったのだ。


「では、3つめの願いを言ってください」


天使が促してくる。

最後は、あれかな?


「大金持ちになりたい」

「あ、やっぱりソレですかー」


ボン と音がした。

俺の側にデカい袋が複数現れる。

中を確認すると、金貨と思われるコインが入っていた。


「こっちの世界のお金です。それだけあれば、5生くらい遊んで暮らせますよ!」


うん、それだけの金が貰えるなら十分だ。


「では、願いは叶えましたので、後はご自由にお過ごしください」


天使がそう言うと、辺りは光に包まれた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



目が覚めると空が見えた。


さっきのは夢だったのだろうか?


いや、俺の側には金貨の入った袋がある。


周りを見ると、街道のような場所だった。


こんな場所は日本では無いだろう。

ここは、異世界なのだ。


ズン!


また地震?

音が聞こえた方に視線を向ける。


―――――!


見たこともない怪物が居た。

とっさに立ち上がる。

異世界って、こんなのが居る世界なのかよ!?


とりあえず、袋から金貨を掴み出して投げつける。


が、全く効いていない。

次の瞬間、俺は怪物の攻撃を受けて、意識を失った。



チクショウ……金なんて役にたたねぇ……


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